美術室の・・・ 下
夏が終わり、秋に変わりそうな頃。
まだ蝉の鳴き声が耳にのこるような陽気、
と私は以前のように仲のいい幼なじみなのに、
言い知れぬ違和感を感じていた。
シャツの裾のファッションのためだけのボタンが
一個とれてしまったような違和感だ。
机の上で肘を立てて、白いモヤがかかっているような緑の黒板を眺めてつぶやく。
「このごろの様子が変だ」
「前も聞いた気がする。
それより、俺は木綿豆腐と見つめ合って彼女ごっこをしている兵助のほうが変だと思う」
ハチが指差した方向に兵助がいる。
ハチの言葉を如実に表している兵助がいた。
大丈夫。通常通りだ。と私は立ち上がる。
「ちょっと美術室行ってくる」
結構考えても分からないことはぶつかるしかない。
意を決して立ち上がる私に、雷蔵が私の腕を掴んだ。
「三郎その前にちょっといいかな?」
雷蔵に連れてこられたのは屋上だった。
空は青くて、雲が白くて、私はが描いた昔の絵を思い出していた。
を思い出して苦い思いも思い出す。
あのあと、あのクソ女は私がゲイだショタだなんだのって嘘をばらまいた。
おかげで、男に告白されるは、から離れろとか知らない男に絡まれた。
知らなかったのだけれど、本当にはそっちの方々にモテていた。
曰く雰囲気が好みらしい。
私はそんなヤツらを一人ひとりとのしていっている。
にそんな気持ちを持っている奴がいることも不快で、
奴らの妄想でもを穢されていくのが我慢ならなかった。
おかげで女遊びではなく、喧嘩がめっぽう強くなっている今日この頃だ。
は今なにをしているだろうか。変な男に連れ込まれていないだろうか。
目の前には雷蔵がいるのに、このごろの私はのことばかりだ。
「どうした?雷蔵」
屋上に来てから、結構時間が立っている。
そろそろ美術室に行きたいんだけれど、
迷っているならまた今度話を聞くから、と言う前に、
雷蔵、私の前世からの友人で、前世の変装名人だった私に
顔を貸し続けてくれた一番の親友、不破雷蔵は、
目で私の口を黙らせ、言葉で心を射ぬいた。
「三郎、好きだよ」
言っていることが分からなかった。
いや、私だって雷蔵は好きだ。大好きだ。
きっと、母より父より好きだ。
ああ、私だって好きだよ。と簡単に言う前に
雷蔵が私に近づき、そして触れるだけのキスをした。
唇に温かいぬくもりが感じる、同じ顔が近い。
「それはそういう意味の好き、ねぇ、好き。三郎」
言っていることが分からなかった。
もう一度キスされそうになって、私は雷蔵を突き飛ばした。
「いやだ!!」
やってしまったことは取り返しがつかなくて、
私と同じ顔のくせに、ぜんぜん違う。
とても優しいとても好きな彼に私は、私が大嫌いな顔をさせた。
「あ」
それからのことは覚えてない。
口をゴシゴシとこすっても拭えない感覚に支配されて、
私は走った。
私は、いつだって周りがみえてない。
前世からずっとずっと待っていた雷蔵が私をどう思っていたのか
なんて知らなくて、気づかなくて。
あんな顔させたくなかった。
自分自身を殴ってやりたい。
戻って、ごめんって謝って、キスして受け入れて慣れてしまえば
雷蔵と今まで通り一緒にいれると分かってるのに、
雷蔵だって笑うだろうに、口をこする自分。
どこまで走ったのか分からなかったけれど、
着いた先は美術室だった。
「」
私は無意識にを求めていた。
雷蔵が変なんだ。
私もしかしてヒトリになってしまいそうなんだ。
助けてくれ。と救いを求めていた。
でも、案の定、美術室は鍵がかかっていた。
こういうのは決まって横の部屋に
隠し扉があるものだと確信のない根拠をもとに、
開いている隣の部屋に入ると
ビンゴ。
私はそろりと美術室へ入った。
久しぶりだ。此処にくるとと正面から見つめ合っているような気がしていたたまれなかったのだけれど、
今は嫌に懐かしい。
椅子に腰掛ける。ふわりと油絵具の匂いと
の匂いがして、落ち着く。
両手で顔を覆う。
雷蔵が自分を好きだったこと、それは私の好きと違うこと。
私がそれを拒否すればヒトリになること。
でも、受け入れることができないこと。
くるりくるりと回る答えのでない問題は
ゆっくりと時間が流れるこの部屋が癒した。
少し経ってから顔を上げる。
どうしようもない。雷蔵とのことはどうしようもないのだ。
時間がいつかすべて解決してくれる。
私にはまだがいるから。
そう思えば心は軽くなって、周りを見渡せるようになった。
絵が数点置かれていた。
包装されているものをよけ一点一点確認する。
は、だけは、変わらない。
安心して美術室から出ようとすると、
奥に一枚白い布の掛かっている絵を見つけた。
「そうか。そういうことだったんだ」
ようやく合点いった違和感の正体に涙が溢れて止まらない。
雷蔵が私の心臓を一回刺したならば、その絵は私を殺した。
昔のお話をしよう。
私が鉢屋三郎の何者でもなかった頃の話を。
目が覚めておぎゃー。最悪な気分でむかえた次の生。
私は私であることを認められなくて、当然母親父親なんて認められない。
前世から私は変わらない。
仮面をかぶって体育座りをして人を睨んで威嚇しているだけだ。
私の心の支えは、不破雷蔵と同じ顔だった。
前世を覚えている私がいるのならば、彼らだってこの世界にいて、いつか出会える。
それまで我慢しようと、自分に言い聞かせていた。
そんな灰色の世界の中で、一人独特の色を持っている奴がいた。
彼の名前を。横の家に住んでいた一つ年下の男の子。
年下だというのに落ち着いて、あまり喋らない彼の横は、新鮮な空気があった。
私は彼の横ならば息をすることを覚えられた。
くっついてまわる私には嫌な顔をしなかった。
なにか大きな出来事を私に与えることもしなかった。
はなにもしないことで私を救ったのだ。
中学にあがって、私は悪ガキになった。
と言ってもタバコなんてしないし、教師を泣かせたこともない。
代わりに女の子はたくさん泣かせたけど。
そして、私はそこでという人物を真に知ることになる。
私の学園に妙な夢を持ったやつがいた。
「空になる」馬鹿げた夢だ。
文集にも宿題にも夢という題にそう書き続けてきた
彼は、諦めることなく、気球を作り始めた。
周りは彼を冷やかした。
「そんなんで空になるつもりかよ」
彼は周りの罵倒なんて気にせず黙々と手を動かしていた。
私は冷やかす声を聞きながらその通りだと女を連れて横を通り過ぎた。
そして、ある日、完成間近だった気球はバラバラにされていた。
どこぞの大馬鹿者が、彼の夢を壊したのだ。
中学生なんてバカで阿呆でどうしようもないので、
やった犯人はすぐに分かった。
「遊んでたら壊れちゃったんだよ。そんな怒るなよ。
簡単に壊れたってことは飛べないってことだし、
むしろ助けてやったんじゃね?それにさ。飛んでもお前は空になれない」
妙な夢を持つ男は静かで寡黙で怒った姿なんて誰も見たことなかったけれど、
顔を真っ赤にしてああああ。と普段の何十倍の怒声を出し、
鬼のような形相でその男に殴りかかった。
結果、二人は職員室送りにされた。
夢を持った少年の悲しい背中だけが私の記憶に残った。
話はそれで終わりなはずだった。
少年は気球を作ることも空になることが夢だなんて言わなくなった。
しかし、二週間後。気球が元に戻っていた。
いや、気球には、空よりも空の絵が描かれていた。
気球の中心には男がいた。
男は気球を見て呆然と立ち尽くしてから、青い絵の具まみれの少年と対峙した。
その男と対峙していたのはだった。
「これ、君が?」
「そうだよ」
「・・・・・・なんでこんなこと」
「君は空になるんだろう?」
「っこんなもんでなれるはずがないじゃないか!!」
「そう。でも、僕は君が空になれると思った。
だって、夢は叶う。そんなこと誰もが分かっていることだろう」
は男にそう当然に言い放った。
夢は叶う。それは確かに当然なことだ。
でもそれを信じるのが怖い。
夢を追い続ける少年は馬鹿にされていたんじゃなくて恐れられていて、
きっと誰もが怖かったんだ。
あんなふうにまっすぐ夢を追い続ける姿が。
じゃないと、毎日毎日、教室の通路に関係のないこの場所にあんなに人がいるはずないのだ。
そして、今ここにいる自分もその一人。
男が子供のように泣く中、はなにもせずそこにいた。
は、誰よりも何よりもその気球に似合っていて、この場所が不釣合だった。
そして、その日、は特別になった。
気球の絵が認められて、名前の上に天才がつくようになった。
でも、は自分を天才だとは思っていない。
口が下手な自分が感情をいうための一番効率のいい方法だと思っている。
そもそも彼は天才という概念がないのだ。
誰でもなれるものだと思っているフシがある。
どこかずれていて、真っ直ぐで折れることのない心を持っているだからこそ、
人は彼に惹かれるのだろう。
私はいつだっての後ろをくっついていた。
この絵はそんな私を殺した。
このままでいたい私を殺したのだ。
私は10年経っても何十年経ってもおじいさんになっても
は私の横にいると思っていた。
それが当然で自然であると疑いもしなかった。
は空で海でなにもかもで、私のすべてを包みこんでくれている。
の一生は私のものだなんてとんだ勘違いをしていた。
そんな私は雷蔵への思いも食満先輩への思いもへの思いも
すべて未完成で、動けない。
だから、私は彼の背中をもう抱きしめれない。
小さくて細くてそのくせ大きい彼を進むと決めたなら、
彼は運動音痴のくせに私より速い。
はもう私を置いていくのだ。
私とが一緒にいた16年間。
チカチカと画像が脳内に流れ込む。
中学生、は空について調べて、私は女について雄大に語った。
本を読むを邪魔する私の大げさなポーズに
男と女の差をセックス以外で語ったよ。とのたまった。
すべてに疑問で返してくるから、私はとそういう話をするのをやめた。
小学生高学年、は廊下に立っていた。
なにしてんの?と聞けば、休み時間を休んでたら怒られたと。
なんちゃない話、クラスが一団となり今度の学年対抗に燃えてて、
休み時間も使って練習していたのに、は休んでいた。それだけの話しらしい。
怒りがわいたが、は、つまらない授業より、ここで絵を描いてるよと笑った。
は変に図太かった。
私はそれから学年対抗が始まるまで、は廊下で絵を描いていた。
小学生低学年、私はいたずら好きになって、みんなにささやかないたずらをし始めた。
周りは怒ってたけど、は三郎らしいと笑ってた。
幼稚園、せみの抜け殻を集めてどちらがいっぱい取れるか遊んだ。
三時のおやつは半分こで私がいっぱい食べた。
寝るのはが早くて、つまらないからよく落書きをした。
は落書きされている顔で3日過ごした。
つまらない思い出が溢れる。
最後に、は空を背景にまっすぐ進んでいった。
私が名前を呼んでも、もう戻らない。
ぱちりと目覚めると、白い天井があって、
嗅ぎ慣れない薬の匂いがした。
「君は馬鹿だ」
雷蔵の声で起き上がる。
「・・・ここは」
「保健室だよ。覚えてない?」
すっと雷蔵の近づく腕に身じろぐ。
雷蔵は、腕をおろして淡く微笑む。
「ごめん。触られたくないよね」
傷つけたことに傷ついている私はどうにか弁護をしようとした。
「・・・違うんだ。私は」
でも何も出てこない。
事実の前では何を言っても無駄だ。
私、一言、恋人になれば私を捨てない?と言えばよかった。
でも、雷蔵が大切で大切だからこそ、偽って付き合っていきたくない。
一緒にいたい。2つの矛盾が私を苦しめる。
ぐっと布団を掴むと、いつもと変わらぬ優しい雷蔵の声が聞こえた。
「ちょっといじわるしすぎたね。あの後言おうとしたんだけど、
三郎ってば聞かないんだから。前のは罰ゲームだよ。
全部嘘。三郎ってば引っかかって、こんなになるなんて驚いたよ」
「雷蔵」
お前はどこまで。
「これからも僕と友達でいてくれるだろう?」
どこまで優しいんだ。
「ごめん」
「謝らないでよ。それじゃ嘘だってばれちゃうだろう?」
「ごめんなさい。私は雷蔵を嫌いになれない。でも、そういう仲にもなれない。
ごめん」
「・・・うん。分かってるよ。三郎の気持ちなんて。
言ったでしょう?僕の気持ちは全部嘘だって」
私は雷蔵に抱きついた。
ワンワンと泣きわめく私に、雷蔵も少しだけ泣いていた。
落ち着いた私に、椅子に腰掛け、雷蔵はそれでと微笑んだ。
「今回倒れたのは僕のせいってわけないよね。
どうせ君のことだから、時間がどうにかしてくれるって思って避けるだけだろうし」
「・・・・・・さすが雷蔵鋭い」
「何年友達だったと思うの?前世と合わせてかなりだよ」
どうしてだろう。雷蔵の笑みはずっと可愛いかったはずなのに、
今は少し薄ら寒い。ひくひくと口元が痙攣するのを抑えて、ことの内容を言った。
「ふーん。だからくんは僕にあんなこと言ったんだね」
「なにか言ったか?」
「あのさー三郎。君はくんを最強で無敵なヒーローかなにか勘違いしてない。
彼はただの絵がめっぽううまいだけの君より一個下の少年だよ」
雷蔵の言葉のパンチが私のみぞおちに落ちた。
「三郎が思っている以上にくんは強くない」
「そんなことないは」
私の中のはいつだって気球の前に一人たっている少年だ。
いつだっては一人で立ち向かっていく。
雷蔵は私の考えを読んだかのように言う。
「ねぇ、三郎。くんはずっと一人じゃなかっただろう?」
「に友達いないぞ」
雷蔵はすっと私をさした。
「君がいた」
頭の中に一陣の風が通ったような心地がした。
は一人で筆を持って、戦っていた。
でも、
あの絵も、どのときも、どんなときだって、
あの気球の時ですら、は私を振り返る。
「君はくんの背中を見てたって言うけど、違うでしょう?
くんはずっと君の背中を見ていたよ。
君は君がつくった幻想のくんを見ていただけだ」
三郎。三郎。
声が聞こえた。
振り返れば、青い絵の具を顔につけた中学生のが私の裾を掴んでいた。
「くんが進んだのはいいじゃないか。
むしろ、君は喜ぶべきだ。
三郎はくんの気持ちを受け入れないんでしょう?
だったら、今の幼なじみのポジションでいいじゃない。
くんは君を捨てない。君以外の大切な人が出来るだけの話だよ」
の絵が、になって私に言う。
「三郎、好き。でも、もう忘れる。僕は違う誰かを愛するよ」
誰か?誰だ?
が私じゃない誰かを待って、私じゃない誰かをつかんで、
私じゃない誰かに微笑み、キスをする。
「嫌だ!!」
言った瞬間、頬に強烈な痛みと、体が少し浮いた。
「な、なぐ」
雷蔵は怒り心頭で私を殴って、私の胸ぐらを掴み上げた。
「甘えるなよ、三郎!君はくんの何になりたいの?友達以上恋人未満をずっと押し付けるき?
だったら、僕のようにすっぱり振って、友だちになれっていいなよ」
「それは」
「できないだろうね。君はくんにキスされても嫌がらないよ」
「違う。そんな目でを見たことは」
嘘だった。
夏、中学生ぐらいの頃、
かき氷を食べ終わって眠っているの横で、
今キスしたらブルーハワイの色になるんだろうって考えた。
「ない?絶対?そう言い切れるの?じゃぁ、この話は簡単だ。
君は今のままで満足してればいい。食満先輩に盗られても、兵助に掠め取られても、
君になにかいう権利なんてないよ」
分かっている。
私・鉢屋三郎は、に( )です。
の( )の中にはいくつも答えが入るんだ。
たくさんは全部イコールで繋がらない。
「分からないんだ。自分の気持ちが、でも」
「でも?」
「まだは恋人とかいらないと思う」
素直な気持ちを吐き出したら、雷蔵は胸ぐらを離して、
はーと床に座り込んだ。
「君は、彼のお母さんか・・・頑固だね三郎」
「うん。でも私だってわがままだって分かってるし、が私に面と向かって、
邪魔するなと言うまで彼らの邪魔をするつもりだ」
「・・・変な吹っ切れ方するね。あー本当嫌になる。
こんなのに付き合わされる僕もさ」
その一文ですべてを理解して、私は破顔した。
「ありがとう!!雷蔵」
それから、教室に戻ると世界が変わっていた。
一回、教室の名札を確認した。2−Bだ。
いるはずのない彼らが教室を占拠している。
「兵助。お前、なにしてるんだ?」
「豆腐の神秘さとの神秘さについて語っていた」
「三郎。僕、豆腐の奥深さがよく分かったよ。そうだね、キャンパスもよく見れば、豆腐。
すべては豆腐から始まったんだね」
そういえばは不思議な話大好きだった。
キラキラと変なことを口走ったに、兵助の頭をおもいっきり殴ったが、
持ち前の運動神経で兵助は避けた。
その無駄なスキル消えろ。
「・・・兵助。今からの1?b圏内に入るな。それとと呼ぶな」
「いや、そうだな。俺としたことが、間違ってしまった。 」
「!!はい?」
無理やり顔を向かされたが兵助と顔を合わせる。
なんか近くないか?兵助に二度目の奇襲をかけようとしたが、
その前に奇襲された。
「俺とフォーリンラブしてください」
兵助周辺、いや、2−Bにいたすべての人が固まった。
言われたは冷静に返している。
「「と」じゃなくて「に」じゃないですか?」
「いや、二人で恋におちていけばちょうどいい」
「そうですか。・・・閃いた。今度の題目は、豆腐で、フォーリンラブでいこう」
間違った方向に行くに誰かが突っ込んだ。
「いや、どんな絵それ」
それは、机の上でぐったりしている勘ちゃんだった。
「勘ちゃんいたのか。止めろよ。こいつを」
「天然二人に突っ込んでたら疲れちゃったんだ。もういいじゃん。
ほら、三郎だって、「兵助が好きだと思った子を全力で応援する」って言ってたじゃん」
「言ってないぞ。・・・おい、なんで心の声が聞こえてるんだ」
「心の中でも言った。なので問答無用でナカーマ。
俺は兵助の恋路を遠巻きに応援しとくよ。
ちなみに、兵助はうちのクラスの文化祭の出し物を決定するときに、
急に教壇に立ち、
「みんな教えてくれ。豆腐が好きなのか。が好きなのか」
という議題を出し、うちのクラスからの温かい投票により、が好きということを決定させました。
圧倒的表差でした。だから、全面的に2ーAは兵助の味方です」
「なにそれ、私が倒れている間の数時間でカオスな世界観」
「いいじゃん。兵助の最後の恋。応援しようぜ。ちなみのちなみに、くんは拉致ったので、
今頃」
「!!大丈夫か!!」
食満先輩の声が2年の廊下に響く。
「とこのように食満先輩が来ているわけで。よし、三郎出動だ!!」
「食満先輩こっちです。こっち!!」
あ、ちょっとやめろよ。三郎という勘ちゃんの声を無視して、私は汗だくの食満先輩を呼ぶ。
一回バチリと火花が散ったが、兵助との様子を見て、手を取り合った。
私はそれから食満先輩と組み、兵助&2年からを守る日常を送っている。
今、は笑っている。
その横にいるのは、の答えはまだ先のお話。
2011・8・9