いいのかと言われたから、じゃぁやめようかと言えば、
それは出来ないと言われた。素直に嬉しいと言えば良いのに、
不器用な人と私は笑った。
私こと と潮江 文次郎は婚約しました。
と言ったら立花 仙蔵に「4月1日はまだ来ていないぞ」と言われたので、
真実、真実といったらそのまま倒れた。相変わらずキャパが少ない男。
と周りを見渡せば文次郎のお友達みんな信じられない顔していた。
「そんなに私と文次郎はありえないかしら?」と言えば、
「いいや、おまえが不破以外を選んだことがありえねぇ」と食満 留三郎に言われた。
善法寺 伊作が「ちょっと、ちょっと、留さん。言って良いことと悪いことがね」と言っていたが、
それを超えるクラッシャーが現れた。七松 小平太だ。
彼は、「なーんだ。私、不破と出来てるんだとばかり思ってたよ。
じゃぁ、愛子と不破は大丈夫だ!!」と大声で叫んであはははと笑った。
あらまぁ、完全に空気が凍った。
馬鹿!!お前。とみんなに責められるなか、文次郎が切れそうだったので、
「そういうこと。私と雷ちゃんはただの幼馴染。彼らの仲の邪魔などしないわ。
だって、私には文次郎がいるのですもの」
男って簡単と思うのは私だけだろうか。
文次郎は怒るのを止めて照れて満更じゃない顔をして
「バカモンこんなとこで、そんなことをいうな!!」
ですって。空気がピンク色になったのがすぐ分かる。
私、文次郎のそんなところ嫌いじゃないわ。
報告終わりに、文次郎と一緒に学園を一望できる場所に腰掛けた。
「仙蔵って、何年経っても変わらないわね。あのヒステリー」
「ヒステリーにさせてるのはお前だけだがな」
「そう?文次郎にもそうじゃない?」
「・・・・・・そういえば、そうだ」
この六年間振り返ると仙蔵が俺の上でキーキー言いながら
ああしろこうしろという言葉が聞こえてきた。
気づきたくなかった事実だ。どんよりしていれば、は俺の様を笑い。
元々、腹黒かったけれど、起きてからは富に黒くなった。
「婚約者になってもあまり変化はないわね。あ、そういえば文次郎」
「ん?」
「私、異能者なんだけど、知ってるでしょう?」
今、凄い話を、今日のA定食からあげなの、好きなの知っているでしょう?
レベルで話された。思考が止まりなかなか返事が出来ない俺に彼女は
畳み掛けるように話し続ける。
「ああ、でも悪いことはしてないから安心して、感情とか意のままに操るとか
考えてみれば結構くだらないことに人生使っていたわよね。彼」
「ちょ、ちょっと待て、何言ってるんだ?」
彼ってなんだ?感情を意のままに操るとか悪いこととかって、
全然頭がついていかない俺に、は、眉を下げた。
「あらまぁ、文次郎は私が異物であったら嫌いになるかしら?」
「それはない!!」
「嬉しい。大好きよ。文次郎」
と抱きつかれ念願だった好意に嬉しさが体中巡ったが、
「は、いや、そのだな。俺もって、誤魔化すな。どういうことだ?」
「だから、私はただ夢を使って未来とか過去が分かるだけそんだけよ。
このごろ腹をすえて見ていて思ったんだけど、結構意味ないことばかり知るのね。
天気予報ぐらいかしら、できること。ああ、明日は雨よ。
だからあなたが楽しみにしていた実習は潰れて、私と一日過ごすわ。
嬉しい?」
「え、まぁ嫌では・・・二度言わせるな」
「どうでも良いことよ。だけどそれが決め手なのよ」
彼女の顔に表情が消えた。
「覚えてる?文次郎あなた聞いたわね。私にどうして雷ちゃんに執着するか」
聞いたことは覚えていても、内容を覚えてない俺は曖昧な返事しか出来ず
彼女は無表情から一転イタズラが成功した顔をして。
「覚えていたら、凄いわ。だって私あなたが忘れるようにしたんだから」
なんでそんなことしたのか。とそんなことが出来るのか。とか
聞く前に全て分かっていた彼女は一つずつ答えていった。
「さっきも言ったように私は異能者。それは嘘じゃない。
人の記憶も少しだけならいじれるのよ。けど、もうしない。
あれ、一回コッキリ。あなたに誓って言えるわ。
そしてなんで?かしら。あれ、つい言ってしまったのよ」
「つい?」
「普通でありたかったから、私は普通を装っていたから、
誰にも言う気がなかったのだけど、ついポロリと零れてしまった。だから」
「じゃぁ、お前俺に言って大丈夫なのか?」
彼女の時間だけ止まったように、驚いた顔して止まっている。
おいっと声をかける前に、我に帰った彼女は鼻を隠した。
「・・・・・・本当、文次郎って・・・・・・馬鹿ねぇ。
結婚する相手がでっかい秘密抱えていることに気づいて傷つけるよりは、マシなのよ」
「それも見てきたのか?」
「いいえ、あなたならそうするだろう憶測」
「なんだ。それ」
「未来はつねに何十本もあるのよ?その中から正解なんて疲れるじゃない。
過去を見て人物を把握し、憶測を立てたほうが早いのよ」
「それは、異能というよりもお前の能力なんじゃ?じゃぁ特殊能力みたいなもんか」
と言えば、鼻を隠していた手を口元を隠した。
「そうねぇ・・・・・・なにかしら、この受け入れの早さ。
結構否定される覚悟で、ぶつかったのだけど、まぁ文次郎だから、言ったのだけど、
ここまでだとは憶測も立てれなかったわ」
「お前、隠せていると思ってるけど普通じゃないぞ。
何か違うって初対面で分かるし、それが異能者だからって変わらねぇよ。
どんなに傍にいたか忘れてんじゃねぇ。俺が好きなのは だから、
そんぐらいどうってことはない」
「・・・・・・・凄い殺し文句。どうして好きの一言で照れるのに、
こういうことは真顔で言えるのかしら」
お前だって、好きとかは簡単にいえるくせに、
照れているとき鼻を隠して、嬉しいとき口を隠す癖止めてくれ。
その仕草が可愛くて仕方がないんだ。
そして、俺はようやくずっと求めていた本当が手に入った気がした。