神様。助けて。姉さんごめんなさい。
ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。
僕は姉さんが好きなのに、どうして?分からない。
前は簡単に出てきた姉さんに関しての選択肢が、このごろ増えていくんだ。

▼お休みの日誰と行く?

1・姉さん
2・愛子さんとみんな
3・一人でごろごろ

どれが正しい選択なのか全然分からない。
コントロールしているのが本当に僕なのか分からない。
姉さんは僕を誘ってくれたなら、1だったけど、彼女は途中で話を変えた。
結局2になって、
昔なら姉さんが誰と喋って誰といたかを調べて制裁を加えていたのに
僕は調べることもしなかった。どんどん変化していく自分の心に頭がついていかない。
三郎との二人部屋で夜が来るたび怖かった。
僕と姉さんの絶対の間に三郎すら入って来れなかったそこに、時々愛子さんが
混じりこんでいて、怖くてしょうがない。
僕の絶対・僕の世界全て姉さんなのに。
なんだか泣きたくなって、嗚咽を殺して布団の中で泣いた。
寝不足でくわんくわんしている頭に、
愛子さんが「大丈夫?」と心配してくれる。優しい子だ。
ほんのり心が温まる気持ちがして、僕は笑顔でありがとうを言った。
後ろでハチが僕らをからかって、他の友達が笑っている。
これが正しいと言わんばかりに。
だけど、どこか僕はそれがおかしいんだと言って欲しくて、姉さんの所へ着たけれど
彼女は石の上に座っているあのころから変わらない笑みのまま
僕の髪を優しく撫でるだけだった。
どうして、どうして何も言ってくれないの?一言言ってくれれば僕は、
彼らが笑う正解かも知れない世界なんて要らなかったのに。

ぐらりと倒れた瞬間に見えたのは、雷ちゃんと柔らかく僕の名前を呼ぶ人じゃなくて
雷蔵さんと切羽詰った甲高い声を叫ぶ人だった。

怖い。怖いよ。姉さん。僕は怖くてしょうがない。
僕が好きなのは・・・・・・・。昔なら簡単に言えた言葉が出ないんだ。
倒れて眠っていたらしい、三郎が僕に抱きついてわんわん泣いていた。
後ろにはみんなと愛子さんがいて、僕は愛されていることに違う涙がでたけど、
違う僕はたった一人をきょろきょろと探していた。