今でも、神様が嫌い。だって、私と雷ちゃんを離した張本人だもの。
だけど、ちょっとは許してあげる。
だって、雷ちゃんの未来に光を与えたのだもの。
未来はいくつもの線でだけど、ある点は一括り。
彼の未来は、私といれば最悪な人生になることが確定していた。
まだ学園を出ていない年頃の彼は私に愛を囁いて
その口でお別れを言うのだ。こんな私なぞ庇って死んでいく。
いくらなんど繰り返し少しずつ変えた未来を見ても、それは変わらない。
だから、私は嘘をついた。
一つ、大嫌いだと言う嘘と、彼の中にある私の感情が憧れであるという嘘。
巧妙に隠された憧れの好きの裏側に気づきながら、触れようとしなかった。
未来を過去を知っているのだ。
彼が私をどう思っていたのかなんてちゃんと分かっている。
もし、このまま愛子ちゃんがいたとしても、大好きの私の一言で覆せることを知っていた。

ああ、でも。
光の中からこぼれた彼の姿。
ぎゅっと抱きしめた瞬間、遠くにいてこちらに気づいて笑顔に変わった瞬間だとか
たまらなく愛しいと思ったから、その瞬間瞬間に恋して愛して、
私の幸せよりも、彼の幸せを強く望んだ。

私といれば、幸せはありえない。
人に操作されているのもあるけど、あえて言うなら運命だ。
私は薄く笑った。
枠にはまらないはずの私をわざと作り出した神様へ、
私はあなたに負けたんじゃないのよ。彼に負けたんだわ。

光が徐々に消えて、赤く光った。
私の旦那様がそろそろ私を探し始めるだろうから、
ここから抜け出さなくちゃいけない。
目を瞑れば、たくさんの画像や動画の羅列。
私は、その世界からブツンと音を出して消した。