「さようなら」そう彼が、言ったときに、僕はいなかった。
一年生と学園に戻ってくると、もう彼はいなかった。

それから、すぐに芙美子さんがいなくなった。
誰がしたのか?なんてどうでもいい。
彼女はいなくなろうが、いようが、彼はもうここには戻ってこないのだから。

「タカ丸さん!!」

くんの部屋にいる僕は、彼らの声にゆっくり振り返った。
珍しい、滝くんの髪の毛が乱れて、頬が赤く腫れてる。
三木くんは、半泣きで、喜八郎くんが、汗かいてる。
みんな、何を焦っているの?

は、どこに」

「そんなの僕にも分からないよ」

「一緒に、探しましょう?」

「どうして?」

僕の問い掛けに、三人とも黙った。
ここに、いてもいなくても、彼はきっと僕らの前に現れなかっだろう。
いても、助けてはくれなかっただろう。
前のようなんて、ありえない。
僕の様子に、三人は顔を合わせて、そのままどこか行った。

遠くで狂ったような笑い声が聞こえた。
伊作くんは、目が覚めたみたい。彼が一番近しかったから、そうなるだろうね。
僕は、彼の空っぽな部屋に、いつの日か僕があげた髪紐を、大事そうにしまっていた
黒い子箱がみえて、彼は僕らに貰ったもの全てを置いていったのだろうかと、
箱を開けると。

「・・・・・・これって!」






「二番目のおもちゃにしようとしてたのに、鉢屋もいなくなってたなぁ。
どこいったか、知ってる?」

「不破が言っていたが、城にひきぬかれて、今、研修中らしい」

「ふーん。なんだ。つまんない。そういえば、さっきから、なにしてるんだ?」

「手紙を書いている」

「へー・・・・・・・暇だなぁ。外行ってくる」

「ああ」

小平太が、ピシャン襖を閉めた後、長次は顔をあげ、筆を置いた。
墨が乾いた後、文を懐にいれ、
すっと子タンスの中に入っている髪紐を持ち、立ち上がった。

「まだ、終わっていない」

髪紐には、赤く光るものがついていた。









2010・5・8