「では、第一回グリーン緑忍び戦隊6年ジャーの会議を始める」
ある一室で6年生が集まっていた。黒板に書かれた、
「第一回グリーン緑忍び戦隊6年ジャー会議」という文字が痛々しいが、
誰もつっこまず、これから何をするかと進行係をしている赤い服を来ている文次郎に、
青い服を着ている仙蔵が口をはさんだ。
「そのまえに文次郎。伊作、色を変えろ。私がピンクだ」
「何言ってるの、仙蔵。悪役とヒロインができやすいからって、そんなわけないじゃないか。
でも、僕とさまの愛は誰にも邪魔させないよ。もちろん、君たちでもね」
「伊作、おまえが悪役っぽいぞ。それにしても、許せねょ。
俺のかわいい後輩を盾に、忍術学園の敵になるなんて。
そして、潮江、なぜ、おまえがリーダーっぽくレッドなのか、分かんねぇ。
脱げよ。おまえには、黄土色がお似合いだ。土になっとけ!!」
「うるさい。この格好は俺が一番、指導者として向いていると学園からの信頼の証しだ。
おまえが灰色なのは、鼠のような小物加減がばれているんではないか?食満」
喧嘩をし始めた4人を尻目に、ごろごろと小平太は、黄色い服を着て、
服装がまったくいつもと変わらない長次に話しかけた。
「グリーングリーン。私はイエローなので、カレーを食べたい」
「・・・・・・・・・・・・」
長次は一人体育座りで、どんよりと雲を背負っていた。
「第一なんで私がブルーなのだ?私は確かに冷静沈着で、成績優秀、顔も文句なしの
はっきり言って完璧無敵だから、それでは、引かれてしまうだろう。
ちょっとドジで、可愛らしく隙がある系を目指しているんだ。
だから、伊作、その色よこせ」
「あはは、大丈夫だよ。仙蔵。君はとっくの昔にさまに引かれているよ。
てか、自分のことそんないいものだと思っているの?ナルシスもいい加減にしなよ。
会うたびに、鼻血吹いて、倒れて、なに?君は運ばれたくてわざと、やってるの?
お姫様ダッコなんてされてきたときには、本当こいつそのまま永眠させてやろうかと思ったけど、
さまの海より広く美しく輝かしい心に感謝するんだね。
まったく、さまはちょっと優しすぎるよ。僕だけでいいのに」
仙蔵と伊作の後ろで、バチバチと火花が散り、ハブとマングースが威嚇し合っている。
「グリーングリーン。腹減った。何か食べ物」
「・・・・・・・・・・・」
「第一、おまえにレッドなんて、うざいのが、もっとうざくなって最悪だよな。
ってかもう、潮江=うざいでいいんじゃないか?」
「食満、おまえの色って、なんで一人だけ微妙なんだ。
他はレッドとかブルーとかだけど、なんでお前だけ、灰色なんだよ。
灰色って、グレーか?グレー、グレー、グレイ。
グレイ=宇宙人。この人類外め、さっさと地球から去れ。
おまえこそが俺たちの真の敵なんじゃないか?」
「グリーングリーン。グリーングリーン!!」
「・・・・・・・・・・・うっせぇぞ。この野生児が」
ぼそっと長次が呟くと同時に、なげ縄で、小平太の体をぐるぐる巻きにし、
口まできっちりしめた。ようやく静かになったと、思えば、
バァンと手をたたく音が部屋に響いた。その音にみんな反応し、
音の出どころの方に顔を向けた。そこには、土井 半助が呆れた顔で立っていた。
「おまえら、ちょっと、まとまろうか」
「あ、土井」
「・・・せ・ん・せ・い」
「なんで、土井も?」
「先生をつけなさい」
「うるさい。を狙う輩は先生ではない」
「そうそう、さまを先生という立場を利用して
あんなことや、こんなことをしよとしてるなんて、うらやましいよね最悪だよね」
さっきまで、喧嘩していたとは思えないほどのコンビネーションを見せる伊作と仙蔵に
土井は、胃がキシリと痛むのを覚えたが、そのまま話を続けた。
「・・・おまえらの妄想が凄いと言いたいところだが、ありえなくもない、
がいるところに、あの篠神先生がいるんだぞ」
二人は、沈黙してから、一人は鼻血をたらし、一人は黒い笑顔で、
自分の同室である二人を止めた。
「おい、文次郎。何をしているさっさと話を始めないか」
「ほら、留さん。人語は理解できない?
早く席つけって言ってるの。あ、あと長次。小平太はそのままでいいから」
【グリーン忍者戦隊 6年ジャー 1】
一方。こちら悪の司令部。
なんちゃって。峰の別荘。
そこでは、俺ら4人は、一室に集まっていた。
お茶うけには、俺特性温泉まんじゅう。
何をしているかというと、デザイン決めだ。
嫌がっていた割には結構乗り気の木籐は、「まず、見た目からでしょう」
と、こまごまとした服装から、武器の設計図まで、
いつから考えていたんだというほどの量を、ざっと並べて決めていたところだった。
木籐は、急にあーあ。と言い始めると、手提げ袋からごそごそ探し始め、
分厚いそりゃ辞典のくらいの厚さの本を見つけると、俺に渡した。
なんだこれと疑わしげに見れば、木籐は笑顔で言った。
「ま、一応。キャラチェンジも面白いと思うんよ。だから、はい」
「はいって、なにこれ」
「だから、普通にやったら面白くないし。こんな感じに仕上げようと思って」
パラリと辞典並みの本を開けば、言っておきたい決め台詞とか、
こんな感じな決めポーズをとか悪の極意とか書かれていた。
これは、無理だ。確かイケメンで、ボスっぽくてなんか威圧感オーラと、
カリスマオーラを持ち合わせた奴だったら許されるけれど、あいにく俺は平凡ぼん。
「無理、無理、無理!!」
と、手を高速に左右に降れば、峰がいつもの笑顔割増しで言う。
「大丈夫ですよ。僕らがついてます。総司令官」
なに、総司令官って、え、それ峰がやるんじゃないの?俺がやんの?
てか、今からスタートなの?
HELPと藤野を見れば、藤野もいい笑顔で。
「ああ、俺たちは、何があろうと総司令官についていく。信じているからな」
キラキラした三人の眼は、俺に何かの言葉を求めていて、
俺は辞典のまじかにあった言葉を言った。
「信じる?何を馬鹿なことを。そんなものなどいらない。
俺に必要なのは、結果のみだ」
・・・・・・・・・悪役スタートです。
2010・2・17
【戦隊ものに欠かせない色が決定。レッド→文次郎 ブルー→仙蔵 ピンク→伊作
グレー→留三郎 グリーン→長次 イエロー→小平太
土井先生はオペレーター的な人です】