なんなのこれはどういうこと?
私はただ、楽しくみんなと喋っていたの。
この時代にはないお菓子は、完璧な出来栄えで、みんな喜んでくれるかなと
思っていたら、二人の見知らぬ5年生の服を着た男の子がいなくなって、
みんなもいなくなっていた。
語弊、6年は組の不運コンビ以外は。
彼らは大量に作ったお菓子を食べて私に苦笑を返す。

「私、なにか変なこといったかしら?」

と半泣きになれば、留三郎くんが慌てて言う。

「香苗さんのせいじゃないですよ。
ただ、あいつらは、の話になると目の色を変えるだけですよ」

?」

だぁれ?それ、結構ここに来て時間が経ってるのに聞いたこともない名前に、
首をかしげる。

 。俺の後輩なんですがね。
そりゃもうお菓子作りが上手い奴で、
あいつらはのお菓子ファンみたいなもんですよ」

言われた言葉にピクリとこめかみが動く。
・・・・・・ちょっと待って。それって私より、私よりもそっちの方がいいってこと?
ピシリと笑顔が固まったけれど、彼らに嫌われてはいけないと笑顔を保つ。

「私のお菓子は、美味しくない?」

「美味しいですよ。ねぇ、留さん」

「ああ、美味しいです」

良かった。彼らだけでも私を一番に好いてくれればと、特別な笑顔を出そうとすれば。
それ以上に可愛いらしく頬をピンクに染めた伊作くんが手の中にある
マドレーヌをくるくるまわしながら、どこも見ていない視線で熱っぽく語る。

「ねぇ、留さん。僕の運命の王子様もお菓子とか好きだと思う?
僕、お菓子作りは自信ないなぁ」

「伊作、俺は俺のシンデレラがお菓子作りが下手でも、構わない。
むしろ真っ黒こげのほうが、愛を感じる。俺のためだけにって感じで」

「!!そうだよね。下手でも愛が篭っていれば大丈夫だよね。
よぅし、僕。愛の媚薬を作るよ。王子様が一発で僕に気づいてくれるような奴」

それをお菓子の中に仕込むね。と話がかみあってない上に
満面な笑顔と台詞があってないことを言っている。

「そのいきだ。伊作。俺は、シンデレラを捕まえるための投げ網を製作する!!」

そういって彼らもどこか行ってしまった。
私は呆然とした顔が戻らずに、
彼らの言っていた王子様とかシンデレラとか、意味がよく分からないけど
身の毛がよだつ感じがして、腕をさする。
彼らは外見は格好いいし可愛いしイケメンだけど、電波だわ。
アレは、私の手におえない。いいえ、おいたくない。
私は、彼らを自らの恋の対象から外すことを決意した。





【彼と天女の勝手な戦争2】







私の名前は、日柄 香苗。花の高校生。
平成という時代でも私は、美人で可愛くて、産まれてからモテル人生を送ってきた。
だから、タイムスリップした場所がどこか分からない場所でも、
男さえいれば私は大丈夫だった。現に私は不審者ながらも、職を手に入れた。
平成に戻りたいか?いいえ、それはない。
なぜならば、平成では私を巡っての戦いが過熱化して
どっかの馬鹿が人を殺してしまったのだ。
私って罪な女。そしてそんなイカレタ奴に命を狙われている。
一緒に死んで僕らだけの楽園に行こう?
嫌に決まってる。私はお前のものではない。私は私のものだ。
私はもっと人に愛されて、もっと美しくなるんだ。
そう、思って目を閉じればこの世界に来たわけだ。
この世界では前の世界にいないタイプのイケメンばっかりで、
これぞ天国。みんな私にメロメロにさせてあげると、いきごんでいたのに。

 
このごろこいつが私の邪魔をする。

うーと、洗濯をすべて干し終わり伸びをしていれば、三人組のくのたまにであった。
彼女らにニコっと笑顔を返すと、彼女らも私に笑顔を返した。
男だけに好かれようとすればバランスが崩れる。
だから決めたイケメンだけを狙い、他は女の子と仲良くするようにしている。
それは、前の世界からの受け入りだが、
女に嫌われれば男に嫌われるより大変なことになるのだ。

「早苗さん。お疲れ様です」

「ううん。これが私の仕事だもん。あ、これどうかな?作ってみたんだけど」

「わぁーなんでしゅかこれぇ、おいしそうでしゅ」

「マドレーヌっていってね私の世界のお菓子どう、一緒に食べない?」

そうしてくのいちの軒下で三人と私で雑談していた。
そのなかで、こっそりと について聞こうとすれば。
後ろの障子がパァンと開き。

「ねぇ、くくとくくだったらどっちがいい?
豆腐プレイで、どっちのほうが豆腐のどろどろ萌える?」

「私は、このごろは、モブに萌えてます」

「いいや、仙臓X&文次郎よ!!
仙蔵先輩のあの乙女具合に、そっと手を差し伸べる文次郎先輩。
二人で手を組んでゆっくり落とす。まさに萌え」

「なぁーに言ってんの。X孫兵&ジュンコXでしょう?王道これ王道よ」

「マニアックね。王道は、篠神Xでしょう!!」

「5年は組Xは?」

「総攻め!!総受けどっち?」

「5年イケメンズは?」

いつの間にか何人かのくのたまが出てきてよく分からない話をしている。
なにXって、総受け総攻めって?
頭に?を飛ばしていたら、横のくのたまのトモミちゃんが教えてくれた。

先輩って普通顔の男なんですけれど、それがすっごく男にもてるんですよ。
だけど、鈍いし、なかなか誰とも落ちないから、妄想が膨らんでしまって。
それと、オンリー同人誌にくのたまの先輩が行ってまわし読みして以来、
みんなはまってしまって。まじかで見れるぶん、私達のほうが上。というわけで
次回のオンリー同人誌イベントに出そうとしてるんです」

普通イケメンの組み合わせ最高!と高らかに声を出して萌えについて
細かく熱く語る彼女らに私はついていけなかった。

「あーもう妄想が膨らんで、今度のオンリー間に合わないわ!!」

「じゃぁ、私達が先輩お手伝いします」

そういって去っていく彼女らに手を振るのが精一杯で、
頭の整理がついたとき私は腹の底から笑った。
な、なんて腐りきった世界なの。この世界はどこかおかしいわ。
ふ、でもなにかしら、前の世界では敵なしですぐ落ちてしまったから、
このくらいのほうが面白い。ようやく私のライバルが現れたようね。
私の敵は 。あなたよ!!













2010・1・30

【ライバルに認められました。ちなみにまだ会ってもいません。勝手に任命です。
そしてくのいちは、腐女子軍団。オンリーイベントは木籐主催です。】