うーん。今回の「しふぉんけーき」とやらは成功したな。
誰にあげようかな。
あーでも、このごろ5年生も用具委員のみんなも俺に構ってくれた後輩も
なんか忙しくてあんまり俺に構ってくれないらしいんだよね。
噂では女の子にメロメロらしいよ。凄い美人で可愛い子らしいね。
そりゃ、しょうがない。むしろ、可愛い女の子がいるのに俺の方に来る方が異常だ。
可愛くて美人でもてる女の子に俺も行きたくあるけど、
イケメンと普通じゃ敵うわけない!!
最初から分かってる試合して泣くのは勘弁。
俺だってなけなしのプライドがあるから、ボロボロにされるのは嫌。
ふわふわして心地よい甘さの出来たて「しふぉんけーき」
あいつらなら、彼女いるから食べてくれるだろう。
と俺は5年は組が集まっている場所へ行った。





【彼と天女の勝手な戦争】





「へーほーふーん、じゃぁ木籐お茶持ってくるね」

ことのあらましを聞いた木籐は、へーを音を上げ、ほーで下げ
ふーんで、の新作お菓子のしふぉんけーきを口に入れた。
が立ち上がる姿に連れるように、峰がたちあがる。

「木籐あなた口にいれたまま行くきですか?
その姿じゃ運べないでしょう。僕もいきます」

二人からよこされた視線に藤野は苦笑した。
「ありがとな」と二人に言っているは分かっていないようだが、
今回のことでどうやら二人はお冠らしい。
天から降ってきた通称「天女」名前を、日柄 香苗という愛らしくも美しい少女。
彼女は「平成」という未来から来たらしい。
彼女の言った事が真偽など、当に巡り済みで、結果その可能性は十分高い。
だが、彼女から未来の有益な情報を取れるなら利益はあるのだが、
いかんせん彼女の過去とここの現実とことなるらしいし、
つまり彼女はこの世界の未来を知っているわけでも、
新しい技術の方法を知っているわけでもない。
いくら未来にあるものを言われても、作り方を知らないんじゃ意味もなく、
その工程を仮定したところで、入手困難なものが多すぎる。
情報屋としては、彼女を不必要とした。
そして、5年は組の藤野としては、好き嫌いではなく。無関心。
彼女に疑惑を向けるもの、その気質に惹かれるもの、
色々ごたごたと学園は動いているけれど、
この学園に害があるものを敵視しているわけではない。
5年は組に危害をなすものが敵なのだ。
だから、藤野は目の前にある大量のしふぉんけーきを独り占めできたことに喜んだ。
うめぇと言えば照れて笑うを見て、幸福に浸り
そして、これを食べるはずのものを罵倒した。


一方。
木籐と峰は、食堂へ歩いていた。
お湯を貰いにいくためだ。食堂では、このごろ食堂のおばちゃんと一緒に手伝っている
日柄 香苗がいた。その周りでは、知っている男ども。
彼らはその全てに一瞥もしないで、お湯を貰うという行動だけを行った。

「へーじゃぁ、今回はに可愛い彼女を探そうってこと?」

と、手にしふぉんけーきを持ちながら最後の一口を木籐は飲み込んだ。

「そうですよ。もそろそろ一人身は寂しいでしょう」

と、峰はヤカンに入ったお湯をちゃぷんと鳴らしながら木籐の言葉を返す。

「じゃぁ、今日はタイプの女の子を聞き出す?」

「それはいいですね。それにしても木籐どうでしたか、特製「しふぉんけーき」とやらは」

「もちろん。美味しいに決まってんじゃん。
早く帰って食べないと藤野が食べるかもしれないしー。急ごう峰」

「大丈夫ですよ。いくら藤野が食い意地張っていても、あの量は食べ切れませんから」

そういって食堂を後にした彼らの後には、ガタンと立ち上がる音とともに、
何人か見知った気配がつけてくるのを感じて、
峰はついっと口元を上げた。

「木籐あなたって本当、好きですよね」

「もちのろん。みんなだってそうじゃん」

「まぁ、そうですね」

わざとゆっくりと歩きながら、彼ら二人はほくそ笑んだ。
どんなに綺麗で美しくて変わっていても、彼らが彼を忘れるはずはないのだ。





うわーなにをしたんだあいつら。と藤野は自身の感情を隠して
しふぉんけーきを食べ、と何気ない会話を楽しんでいた。
一、二、三、四・・・・・・と数える。
天井裏から下まで陥落者の人々が隠れていた。
がらりとあいた襖には、にこにこと笑顔の峰に、これまた機嫌よく鼻歌を歌っている木籐。
何したんだよ。と視線送る前に、木籐は、しふぉんけーきを自分の皿の上に乗せた。

「ちょーウマ」

完全に隠れてる陥落者に対しての冷やかしだ。
一瞬増えた殺気に、木籐も峰も超笑顔だ。

「で、ってどんなのタイプ?」

で、の前になんの話もないけれど木籐は話を進める。
言われたことに一瞬間が空いたものの、は宙を見て

「タイプねぇ」

と峰に入れられたお茶をすする。

「美人よりも可愛い系が好きかな。小動物系で目が大きくて仕草が可愛い子」

ガタンと上から音がした。

「俺より身長低くて、暖色系の服が似合う子が好き」

ガタガタと音がする。

「ああ、でも」

「でも?」

さらさらとノートに記帳している俺はに聞き返すと、
は照れくさそうに笑った。

「容姿とかそんなもんよりも、一緒にいれば楽しくてともに笑いあえる子がいいな」

バァンととうとう襖が開いた。

「僕なら、無理やりにでも先輩を笑わせられます」
「孫兵、毒をしかけようとするな。が言ってるのはそういうんじゃない!!」
「穴のなかにいれば笑えますよ。それとこれ美味しいですね」
「俺と豆腐とともに笑ってください」
「大丈夫です。この滝夜叉丸、美人も可愛いも備えてます。
そして、私にかかればともに笑いあうなんて簡単なことなんです」
「び、美人系はダメか?だったら、私は今からキュートになる!!」
「私、お腹すいた。〜これ食って良いか?」
「仙蔵。鼻血を拭け、小平太。勝手に食うな。長次無言で笑うな」
「この姿か?この姿が好みなのか?」
「あはははは、三郎。さっさと気味悪い変装解きなよ」

大勢の人間の大声量の重なった声に、俺も笑おう。シャイニング★
大体のことましは分かった。あの天女さまにが勝ったそれだけの話だ。
だけど。

「あなた方、何をさっきから勝手に人の部屋に入って、
勝手にお菓子食べて無作法ですよ?」

峰が氷の笑顔で笑ってる。
今まで、ほったらかしにしといたくせに、失うのは嫌ってそんなのわがままだよなぁ。
だから、これはしょうがない。
峰が、怒ったら一番陰湿で怖いんだからな。










【リク三段。続き物。まだ、出会ってもいない。次は天女様視点。】