別段、大きな荷物はどうってことなかった。
軽かったし、簡単に持ち歩ける程度だったのだが、
後ろから、
「大丈夫だ!!私達に任せろ」
と無駄に笑顔のいい5年イケメンズたちが荷物を持って嵐のように退出。
なんだったんだ一体から、あれ?もしかしなくても女装見られた?
羞恥で死ねると悶えていたが、一枚のチラシによって俺は救われた。
『女性限定フェア 三橋のビック餡蜜今なら半額!!』
三橋の餡蜜は、
自分の掌にすっぽり納まるくらいの小ささで、普通の二倍の価格がする
超高級な餡蜜でそれはもうほっぺ落ちるほど美味いのに、
ビックでしかも半額だと??!!
俺、女装していて良かった。こんな幸せなこともうない!!
限定とか半額とかビックとかに弱いのが女だけじゃないぞ。
俺も釣れる。ヒャホォォォイとスキップまじりで着いたものの行列が出来ている。
俺は、服と髪をいそいそと直し、あーあと声を高くして、
よし!準備は完璧と勇んで行列の最後尾に並んだ。
ようやく俺の番だ。お店のお姉さんに言われた席で待っていた。
結構待ったし、周りは女だらけ恥ずかしいし、何時ばれるか冷や冷やしたし、
けれどようやく俺の苦労が実る。
「はい、どう「おい、ねぇちゃんコレはどういうことだぁ?」」
お姉さんのお盆の上には俺のビック餡蜜。
お姉さんは柄の悪そうで見るからにドサンピンに
手を掴まれて、俺のビック餡蜜は揺れた。セーフ。
だが、ドサンピンは、こっちを振り向かないお姉さんにむかついたのか
「おい、こらねぇちゃん、客が言うことはちゃんとこっち向けやぁ」
「キャ」
お姉さんの可愛い声と共に、俺のビック餡蜜が宙を舞った。
俺の伸ばした手はあと数センチといった所で間に合わず、
俺の求めやまないお前はそのまま地面とコンニチワ。
無機質で冷たくお前に一言も愛を語らない奴を選ぶのか?
俺だったら、お前の苦味も甘さも全て包み込んで愛を語る自信があるのに!!
「ねぇちゃん、見ろや。ここはこんな害虫を入れて客に食わすのかい?
こりゃ酷い店だ」
「でもな、ねぇちゃん俺らは心が広いからな、慰謝料ぐらいで許してやるよ」
「そ、そんな」
みたいな三文芝居知りません。俺はただ俺のようやく待って食べれそうだった
ビック餡蜜の敵をとるだけだ!!
「おい、こら!!お前らこんなところで暴れんな!!」
こんちゃす。藤野ッス。
今日は、稀にないいい天気で学園でも絶景が見れる日だ。
鬼にいぬまに洗濯を。な感じで、篠神先生がいない間にに女装させるという
とても無茶な任務を俺達はの後ろにずっとくっついて見てきたわけだ。
ちなみに、俺はの誰が落とすかの情報を更新するために、筆を動かしていたけどな。
最初は4年。次3年に6年、5年ここまで綺麗に来ると、計算してんじゃね?とか
思うけど、本当は、峰が先輩後輩の誘導をそこはかとなくしている。
が、そのまま学園に帰ろうとしたのをそっと懐からチラシを流したのも峰だし。
「万事流れに乗ってますね」
と笑顔で言うこいつを止めることは出来そうにないし、何よりも楽しいので、
俺も木籐もただただ口を閉じの行方を見守るばかりだ。
三橋で、ようやく心待ちにしていた餡蜜をさぁ食べようと意気込んだものの
ドサンピンが現れ邪魔され、の素晴らしい笑顔が
無になって涙目になったときは、木籐と峰が完全にヤル気だったが、
(どうやら峰的に三橋のチラシは、
女装を良く頑張ったへのプレゼント的なものだったらしく他意はなかったようだ)
俺が二人を止める前に。
木籐が店のある人物をみて顔を歪め、峰は驚いた顔をしている。
「げ、マジで?峰。ここまで予想してたの?」
「いいえ、藤野。あなたは?」
「はっ?お前らがやめたって言うと」
そう、二人を止めるような人物以外で一人しか思いつかなかったので、
俺は深いため息を吐いた。
そして、『は誰に落ちるか』を破り捨てた。
「・・・・・・藤野」
「あーあ、やっぱりあの人の動向を学園長ぐらいが分かるはずがないか。
これも楽しかったけど、終わりかぁ。どうしよっかねぇー」
ま、これも為るがように為った結果ってことだ。
頭がいい奴は、楽でいい。
俺の行為で、頭の回転が速い二人はすぐに分かったようだし、
峰はあごにやった手を取り俺らを見た。
「そうですね。僕はまだ頭候補ですし、
こんな面白い人物そうそういないから傍にいようと思います」
「木籐もー。ってかさ。今度は誰が奪いに来るかで、勝負しない?」
「お、それ、いい案だな」
「僕もそれに乗ります」
クスクスと三人が笑い。中の様子を見ると案の定。
素晴らしい笑顔の篠神先生が呆気顔のをどこかへ攫っている所だった。
もちろんドサンピンの姿は見えない。あのゴミ箱に入っているのがそうだろう。
さて、これから忙しくなる。
先生とが安心で安全な街を探してなおかつ俺達三人が一緒にいられる
夢の楽園みたいな場所を作るのだから。
俺が笑えば、横の二人も笑った。分かってると言わんばかりに。
そして、俺達三人も遠くへ消えていく二人の方向へ飛んでいった。
どうしてこうなった?
おぎゃーおぎゃーと鳴く赤子に、
「母さん。薪貰ってきました」
利発そうな男の子。
俺は、小さな町で、なぜかこの子達と。
「ただいま!!私のくん。いい子で待ってましたか?今日のお土産はおはぎです」
なぜか篠神と暮らしている。
しかも、俺は女装だ。
俺は、おはぎを手に、いがみ合っている子供と篠神の間に仲裁し
ことの成り行きを思い出そうとした。
三橋でドサンピンに喧嘩を売ったら、そこになぜか篠神(ビック餡蜜完食していた)
がいて、俺の姿を見るなり、
「あー、これは私の妄想ですか?まったく、嫌になります」
と人の頬を抓ったので、痛ぇよ。馬鹿と殴れば。
まず、ドサンピンを殴った。それは凄い威力で。
それから蹴った。命の有無は分からない。
そして、俺の手を取り。
「結婚です。小さな町で、篠神 になってください」
笑顔以外の真剣な顔を初めて見たので、呆気にとられてしまい。
そして、奴のなかで自己完結したらしい。
何も言わなければ、はいという肯定というなんとも忍びらしい答えが帰ってきたが、
まぁ、そんなわけであれよあれよと進み。俺は篠神 になっていた。
「くんは妻なので、女装で。いいや、男の姿も捨てがたい・・・・・・
こうしましょう。4:3で女装:男装で!!」
と鼻血を出して笑う。訳分からないことから。
「そうですね。夫婦の離婚理由に子供がいないからというのがありますから、
ちょっと私盗ってきました」
と赤子を抱えて笑う。そんな犯罪レベルのことまで。
ちなみに、その後、男女二人がいいとは言ってくれますね。などと。
男の子を連れてきたときは
いや、俺は、ただ隣の家が男の子女の子で二人らしいぞと言っただけだと言えば。
「そうなんですか?この子達セットだけど、そういうならもう一度捨ててきます」
と聞き捨てならないことを言って、どうにか彼らの保護に成功した。
この子達、二人とも兄妹で、戦で両親を失くしているし
ここまで俺に懐いているから、
俺は別にいいんだが、篠神にはまったく懐いておらず、男の子のほうにいたっては、
「いつか母さんを、悪魔から守ってあげれるぐらい強くなるから!」
と毎日鍛錬をしている有様だ。
篠神はその姿を見て笑ってる。まぁ、いいならいいよ。
お前の思考の子供と親の関係は間違ってるけどな。
そして、鍋をぐつぐつ煮れば。
「「「こんにちわ」」」
木籐と藤野と峰が今日も鍋を突きに来る。
男と結婚したことを、しかも先生ということを軽蔑しないのかと聞けば
別に為ると思ってたし、どちらかというとよくもがいた方だ。
とポンと肩を叩かれたのはつい最近だ。
そして、こんなに来て家はいいのかといえば、
俺の家から指でさせる位置に三人の家はあった。
「あーそれ木籐の白菜」
「いいえ、ここは僕の領域です。ここ峰領域」
「母さん、これ母さんのぶん」
「おや?私の分は?」
「悪魔は、薪でも食ってろ!」
「ほーらほらほら。お、でかくなったな。この重さは350g増だな。ははははメモメモ」
前とまったく変わらない日常な気がするがでもこれも一つの幸せなんだろう。
「くん、大好きですよ」
「あー、多分こうなること許せる程度には好きなんじゃね?」
そうかえせば、箸を落として抱きついてきた。
なんやら、俺がこいつに好きっていうのが初めてだったらしい。
あーもう。しょうがない。だって、こんな我が侭で傍若無人でどうしようもない奴でも
嫌いになれないんだから。それはきっと好きってことだろう?
2009・12・22
【リク7段。ようやく結末。最後の落ちは、オリキャラズでした。
璃桜さんに気に入っていただければ幸いです。】