「ー!!」と大きく俺に手を振る人。初めてされた時、俺の笑顔は歪だった。
しかし今では、膝に乗せている始末。
名前を呼べばキラキラした瞳で名前を呼び返してくれるし、
俺の目が確かなら彼に犬耳と凄い勢いよく振られている尻尾が見える。
そういえば、昔近所で大きな黒い犬を飼っている人がいて
羨ましくて犬が飼いたいと思ったことがあった。
一度、「犬、飼いたい」と言ったら、
私が犬になろうかと言われて以来口にすることはなくなったけれど、
とうとう俺は念願の大きな犬を飼えたようだ。
じーん、と感動している俺は首元でふんふんと鼻で匂いをかがれ、
がぶりと噛みつかれて、夢から覚めた。
七松先輩は、犬っぽいけど先輩だ。
そう、先輩なんだ。
、、ー構って?と目が訴え、口が訴える。
それでも、先輩。
俺は撫でようとする手を一生懸命留めた。
先輩だから失礼だろうというのもあるけれど、
滝夜叉丸くんから時々愚痴を聞いたときの情報で、
七松先輩は、人に触るのが好きですけれど、触られるのは得意としないんですよ。
と、言うことだ。
俺は温厚で事なかれ主義なので、自分から手を折られるようなことはしない。
だから、俺はそのふさふさした髪の毛はそんなに毛並みが良さそうではないが、
まさに犬の撫でるような感触であろうそれに触る手を引っ込めた。
この人が俺に興味を抱いたのはちょっとばかしの怪力であるからなのだから、
適当に遊べばさようならな関係性なのだから、
可愛がってお別れがきつくなったら寂しい。
そう、犬は犬でも野良犬なのだ。可愛がっても懐いてくれても俺は何もすることが出来ない。
ならば最初から手を出さないのが正解なのだろう。
横に置いてある饅頭?それは餌付けではない。ただ置いただけだ。
本当に、本当に、犬が飼いたいわけじゃないんだから!死んだとき泣いちゃうでしょう?
飼えないからって置いてこいって言われて、横でくぅーんとか鳴かれたらどうしようもなくなるでしょう?
「ー」
俺の膝でごろごろしていた七松先輩は俺の手をとって自らの頭にポスリとやった。
「撫でていいぞ」
どこぞの穴掘り少年と同じことをされた。彼は撫でられるのが好きらしく、
最初、手を掴まれ、ポスリと彼の頭に置かれたときは無言だったので、
どういう意味か分からなかったが、彼は口で言った。
そうだな、綾部くんもこれくらい言ってくれれば、
意思疎通が出来ていいんだけどなと思っていれば。
ぎゅーと腰をつかまれる。
「他の事を考えないで、私のことだけ考えて?」
コテンと頭を傾けた。俺は、男色ではない。
そしてこの格好は綾部くんとか滝夜叉丸くんとかのほうが似合う。
女顔だからね、彼ら。
なのに、俺のどこかの一部が凄い音を立てた。
『ドゲスキックボール』
なんの音か分からないけれど、頭を撫でながら七松先輩から顔を背けた。
やばい、なんだろう。
この人大きいけど筋肉質で可愛いとか綺麗とかそんな言葉が全然皆無な人だけど、
なんだろう。これ。ドキドキするし、犬的な可愛さ?あーもう、持ち帰っていいですか?
俺最後まで飼うし、ちゃんと説得してみせるよ。
頭の中で仲間と家族に飼わせてくださいと土下座している自分がいた。
「」
と近くでさっきよりも幾分低い声がする。彼を撫でていた手はいつのまにか掴まれている。
目は野性。
野良犬だった大型犬は、狼のような獰猛さ。
え、なに?俺オイタしちゃった?
「食べさせて?」
俺は、横に置いてある饅頭のことでお預けしていたつもりはなかったけど、
手をつけられることがないそれ。彼は凄い勢いで食べるので、もしかして
よし!を待っていたのかな?なんて思って。
「いいよ」
と答えた。その途端ぐるんと回転、視界一杯の七松先輩の顔と緑色。
凄く嬉しそうな顔をしてぎゅーと強く抱きしめられた。
嬉しかったのか、そうか我慢していたんだな。食べても良かったのに、よし!を待つなんて。
俺は先輩の犬のような髪を撫でて。
「いい子、いい子」
「違うよ。。私は」
悪い子だよ?とくすりと大人びた笑顔を見せると、
首元に柔らかな感触と、服のつなぎ目に手を入れられた。
チュ、チュと段々顔に近づいてきている口ずけに気づかず、
だんだんと触る手が怪しくなってきていることにも気づかずに、
くすぐったいなー。
悪い子でなんで俺は笑いを堪える拷問を受けているのだろう。
私はじゃなくて俺がなのか?やっぱり撫でられるのが嫌だったとか?
それはないな。自分から撫でてと言っていたから。
あ、もしかして子ども扱い、もとい犬扱いをしたのが・・・・・・
あ、もうダメだ。くすぐったい。笑いそう。声出るわ。
「」
と熱っぽい顔を見せ、熱い吐息が感じるほど近くなのに、もっと七松先輩は俺に近づく。
その距離は、ちょっとでも動けば唇と唇が触れ合う距離。
しかし、触れることはなかった。その間に何かの本が現れたのだから。
「はーい、そこまで、そこまで」
パンパンと手を叩いて、笑顔なくせにいつもの逆らえない笑みを浮かべている峰。
間に本を入れたのは藤野は、はははといつもの豪快な笑い声はなく無表情。
木籐が、凄い顔で七松先輩を睨んでいる。
「どうしたんだ。お前ら」
「うん、木籐的に今のはどう思ったのか、に聞きたい」
「鼻と鼻をくっ付けて親愛の意味をやろうとしていたけだろう?」
「・・・・・・そう、じゃぁ、さっきまでのもじゃれあいと」
「うん」
そう答えれば、木籐は顔を覆って、
少しすると木籐は、下にいる俺を立たせて肩をがっしり掴まれた。
「ちょっと危機感持ってくれる?時々、木籐、が怖いよ」
「え、なんか、危ないことした俺?」
【犬じゃなくて狼です】
あーあ。もう少しだったのに。
おしいなあ。
と、横にいる を見る。警戒心をとかせて、犬のようにじゃれていれば
ほだされているのが見えてきたから、4年もいなくて今が責め時だと思ったんだけどな。
目の前には、本を持った男がハハハと笑った。
まったく笑っていない目で。
「と、言うわけですね。七松先輩。にそういう意味は伝わっていないので、
勝手に襲わないでくれませんか?」
横にいる笑みを称えたやつは、その言葉に付け足す。
「一回だけですよ?」
ふふふ。穏やかな笑顔で優男風なくせに殺気とは違う凄みのある気に当てられる。
「ちゃんとが好きだという感情を持たないのに今度襲ったりしたら、
あそこちょんぎって、誰も抱くことが出来ない体にしますよ?」
ふふふ。と笑う。冗談だろうと笑いたいが、横にいる本をもった男が、凄い顔色をしている。
あ、これはマジだ。
さぁーと血の気が引いて、ぴくぴくと口の端が痙攣することしか出来ない。
「どうかしたか?峰」
とのんきに聞いているに、峰と呼ばれた少年は笑顔を変えて言う。
「ちょっとお願いしていただけですよ。ねぇ、先輩?」
「・・・・・そうだぞ。ちょっとしたお願いだ」
「ふーん?」
納得いかないに、横の釣り目が叫んだ。
「あーもう、お腹すいた。、木籐にお菓子!!」
「あ、俺のも」
「僕のもよろしくお願いします」
「仕方ねぇな」
そういって、まんざらでもない顔をして嬉しそうに笑うの姿に強く惹かれて
手を伸ばそうとしたけど、彼ら3人は笑う。
「「「敵にまわるなら、今すぐにでも肉片の欠片もいたことすら消してあげる」」」
誰もいなくなった、縁側に一人ごろりと転がった七松 小平太は饅頭を食べながら、
同じ甘さの彼を思いだして笑う。
「だったら、好きにさせれば。いいだけだ」
2009・11・19
【リクエスト5段・小平太が惜しいかんじというよりも、主人公の鈍さがヤバイ。
5年は組がいなければ、きっと今頃は誰かに食べられてだろうなってことが垣間見える作品。
・・・・・・気に入ってくだされば幸いです】