【甘い男】


ある昼下がり、俺は兵助の長屋でのんびりと過ごしていた。
だから、つい出た言葉がここまで発展するなんて思わなかったんだ。

「あ、そういえばそろそろ色の授業始まるよな」

「ああ」

「ところで、兵助。さっきからなんで女装しているんだ?」

化粧箱をパコンと鳴らしし化粧し終えた我友人は、元が綺麗な顔をしているだけ
女装しれば女と間違え、歩けばナンパされることうけあいな姿をしていた。
最後に、黒いたおやかな髪を綺麗に結えば、よしと一声いれて、立ち上がり。

「俺、綺麗か」

と俺に聞いてきた。どうしたんだ。我友、兵助。
豆腐が切れて駄目になったか?と心配するよりも、呆気にとられてしまい
思ったとおりに答えてしまって、彼は嬉しそうに笑って、
その笑顔が、まるで乙女で男だと分かっても、ドキンと胸が高鳴ったが。

「じゃあ、のところに行ってくる。今日は帰らないから」

と行って、出て行ったときには違う意味で胸が高鳴った。

「離せ、ハチ。色の授業が始まる前に、に食べてもらうんだ」

「いや、おかしいって、ちょっと待て兵助。そもそもが男色じゃないだろう?」

「だから、女装したんだ。が違う女を抱くのは嫌だから、
女より綺麗な俺ならいいだろ?俺が最初に抱かれるんだ!!」

赤い着物を着て暴れる外見美少女、中野獣を押さえると
次の色の授業は、そういう授業なので、兵助は暴挙に出たということか。
良いたいことは分かるが、他に作戦があっただろうとか、
女より綺麗だけどそういうこと自分で言わない方が良いぞ、な?と言う前に
い組でも優秀な兵助は俺の雁字搦めを抜け出し、
の部屋へ行こうとするから、助けを呼べば。

「兵助甘いな。これを見ろ!!ちゃんと事前にに聞いておいたから
私のほうが好みの女だ。抱かれるのは私だ!!」

と、少し童顔で綺麗というより可愛く、笑顔が似合う女の子だけど、
声と態度で三郎と分かる。
薄桃色の服をヒラリとさせて、妖艶に笑う彼は、止めると言うよりも、
自ら加わりにいくき満々で。てかこういう子好みなのか。
と、まじまじと見ていれば。

「これは、先輩方」

声と共に蛇の声が聞こえて、もしかしてと頭が痛くなれば孫兵が立っていて。

「なんだ、あなた方は素の自分に自信がおありでないようで、
女装で隠そうなどと具の滑稽!!
僕はこのままの姿の僕を愛してもらいます」

ああ、俺の可愛い初めて出来た後輩が。
涙が止まらない。

「なにをなさっているんですか。五月蝿いですよ」

「た、滝夜叉丸なんつー格好を」

「ふっ、この美しく可愛くどうみても抱きたい美少年ランク1位の私を抱かないのは、
ムードだと思いまして、七松先輩に聞いてみたところ、ちょっと濡れて
服がぴったり透けている状況がくると言ってましたし、実践してきました。
おや、私を視姦しないでください。私を犯していいのは、先輩だけなんですから。
というわけで、先を急ぎますから、そこどいてくれますか?」

「そうか、俺もアレしよう」

と、本気で水場に行こうとしている兵助を止めて、
途中で来た後ろに黒い霧状の物を背負った雷蔵で三郎は止まり、
ジュンコの脱走で孫兵が止まり、七松先輩の委員会のおかげで滝夜叉丸が止まり、
ようやく納まりつつあったところで、喜八郎が、歩いてきた。
もしかして、と止めると彼は普段どおり無表情な顔での部屋の前で止まった。

「喜八郎」

「何してるんですか?」

後ろで縛られている兵助と三郎を指差していたが、無視して話を進める。

「お前も、まさかを食べられに来たのか?」

「いいえ」

と、頭を横に振ったので、なんだ良かったと安堵したが、
忘れてはいけないのだ。彼は電波で我々の斜め上を行くことを。

「逆にいただきに来ました。さっきあげた睡眠剤入り饅頭が効く頃なので」

と、の部屋の襖を開ければ、すやすや眠っている。
そうだよな。なんで、こんなに騒いでて一向に出てこないと思ったら、
一服盛られてる。

「じゃぁ、邪魔しないでくださいね」

と襖を閉める綾部に閉めてなるものかとがっと襖を開ける。

「離してください」

「お、お前」

「食べられません。寧ろ食べます」

一番女装が似合うであろう少年は、一番男前の心で、
強い眼差しで言い切った。
そして、喜八郎の細い腕からなす執念といつもの穴掘っている筋力に
負けてしまいそうになった俺は、襖を蹴破るという技に出て、
そのままをその場から連れ去った。

起きた後、に色の授業の話を聞けば。


「次の授業?ああ、ピクニックだよな。
俺作る係りでさ。二・三日かけて絶景場所を巡るんだろう?」

と言われて脱力した。そうだよな。あのは組で、大好き先生がそんな授業
握りつぶすに決まってたのに。
ほわほわと彼は甘い匂いを出しながら、

「竹谷くん疲れてる?これあげる」

と渡されたお菓子が甘くて、これ以上甘いだろう彼が食べられないように祈った。
そして、知っている人でもお菓子を貰って食べないように注意しといた。
分かったと頷く彼は、
食べられそうになったこと食べてもらわれそうになったことに気づかない。

だからこそ、彼は甘い男であるのだろう。













2010・1・6

【リク10段 争奪戦してみました。いない人がいるのは、あれです。まだそこの感情まで行っていないか。
最初に5年は組に阻止されてます。近衛さんがお気に召したなら幸いです。】