【同じ人】









たとえば自分と同じ人間を見つけたらどうするだろうか。

嫌悪するだろう、また好意を感じるかもしれない。



では、自分の半身だと思う人物が見つかったとき。

それを抑えなければいけなかったとき。

どうするだろう?





私は、逃げることしか出来なかった。





あの日以来一回もあってなかった。

兄上の邸で密かに覗き見してそれがばれ、

そして少女が兄上の子供だと分かるときまで。



それから長い年月を経て久々に見る彼女に、

幼女から大人へと変化していく彼女に、





目もあわせることさえ出来なかった。



願うのは、彼女が誰かに染められないことをただ遠くから眺めることしか出来ない。