【あいの囁き】
彼女は片手で足りるくらいしかあっていなくて
それで分かるくらい魅力的だ
そんなの友人を見れば分かる
そんなの友人の養い親を見れば分かる
そんなの仮面の上司を見れば分かる
そんなの・・・弟を見れば分かる
今回の事件は色々と感じるものがあった
護衛をつけなくてもいいと判断したのは誰だったか
攻撃が少ないわけがなかったのに
いいや
確認すれば秀麗の何倍も攻撃を受けていた
賞賛も嫌悪もすべて
女ゆえに才能ゆえに性格ゆえに
けど
どこかの自分が言う
《彼女は天才で何よりも強い》
でも
本当は違った
彼女は少女だった
無表情だといわれる顔にいくつものの感情を隠して進む
傷ついて 泥だらけになっても進むことしか知らない 幼さが
強さだなんてそんなわけがない
君が誰かのために泣くたびに
笑わせたかった
君が誰かのために傷つくたびに
守りたかった
こんなにも頭を占める 白が 紅が
だけど私には君を守る資格もない
卑怯すぎる自分が 汚すぎる自分が
だから
君の幸せを祈ろう
遠くから見つめているのが 愛情じゃないと誰が言う?
【あいの囁き2】
ねぇ。君に思いを告げるなら、どうすればいい?
初めて会ったときのあの強い眼差し。
それなのに儚い君を愛してしまった。
初めは、ただの戯れだった。
弟が大切にしている少女。ただそれだけだったのに。
だんだんと惹かれていく自分を戒めた。
弟が、あの何人たりともなつかない弟が初めて関心を抱き、
恋心を抱いたのだから。
だけど、どうしても忘れられなくって、
違う女の元へ通ってもちらちらとあの子の顔を思い浮かべる。
色んな出来事に巻き込まれても、なおそれでも染まらない君が愛しい。
【あいの囁き3】
早くしないと、私が奪ってしまうよ。
何か言ったか?
いいや、なんでもないさ。
彼女が誰かのものとなれば私のこの気持ちから開放するだろうか。
ああ、誰か早く彼女を連れ去ってしまって。
じゃないと、もう耐えられない。
血は争えない。
最初に恋した人は、雪が好きな人だった。
彼女は、私の手ではなく兄の掌にいることを望んだ。
そして、次にであった貴方は。
雪のような人で、
そして弟が愛した人だった。