パロディ〜それでも貴方が羨ましい〜
眠りついた。貴方は。まるで死体のようだった。
〜眠り姫〜
彼らは彼をそう呼ぶ。
誰が言ったのだろうその言葉は彼の名称となった。
奴らは自分の立っている場所すらあればいい。
呪いやらなんやらは知らないけど、あの人を返して欲しい。
私の主。
私をはじめて認めてくれた人。
私に温かな何かをくれた人。
私をはじめて・・・・愛してくれた人。
私が廊下を通るたびに喋り声がとまる。
人々は私に目を合わせるのを嫌がりそして私がいなくなると、
彼らはまた囁きあう。
化け物が。
なぜ彼女を殺さない。
恐ろしいからに決まってるさ。
その言葉は彼女の耳に入った。
が、彼女は少しも表所を崩すことなくただの木の葉のざわめきのように
足を目的地でと進ませていた。
子供だった自分大人でいなければいけなかった自分
そんな私を人々は化け物と呼んだ。
化け物でも適わなかった。
それで守れるんならそれでよかった。
彼は私にとって唯一で。
私にとって絶対で、命を賭けて守るべき人だったから。
それなのに。
どうして?
私のことなど捨ててしまえばよかったのに。
私の変わりなんぞ一杯いるのに。
「良かった。。君が無事で。」
そういいながら貴方は永い眠りについた。
貴方は最後で笑顔を絶やさずに。
叔父上・・魔法使いの話では、寝ているだけで死んではいないが、
戻す方法は一つだけ。
呪いを解くのは簡単、でもとても難しい。
「お前の命とお前を心から愛する男の命さえあれば助かる。」
死にたいと思ったことはなかった。
生きたいと思ったこともなかった。
ただこの人のために生きなければならなかった。
温かい手が今は冷たい。
やたら分厚いドアに小さく音が響いた。
そこに気配を確認しは返事を聞くことなく扉を開けた。
「鳳珠。」
「なんだ。。」
彼は私のよき親友で・・・・主に財政を任されている人物だ。
私がいなくなって悲しんでくれるのは彼だけだと思ったから。
は最後の挨拶をしにきた。
呪いを事の発端を。
「一年間。もって一年で帰らなければいけない。」
それがギリギリのタイムリミット。
それ以上過ぎると、彼は二度と目を覚まさない。
シーンという音が聞こえる部屋の中。
は、さよならという言葉を紡ごうとしたしかし。
「私も一緒に行こう。」
仮面をつけて余り外にも出たがらない友人の意外な一言で
その言葉が紡がれることはなかった。
出発の日。
誰も見送るものはいない。
いや、財政を一緒に背負っていた景 柚梨だけが二人を見送った。
彼は鳳珠に素敵な笑顔を向けると
「鳳珠。絶対帰ってきてくださいね。」
そこにこめられた意味を全て受け取り鳳珠はうっすら笑った。
景 柚梨はのほうを向くと
「貴方もですよ。。」
聞こえたかは分からない。
彼女はただ無表情に彼を見ていた。
景 柚梨はその姿に嫌悪することなく彼女の頭を撫でた。
彼女はそれを振り払うことはなかった。
二人は当てもない旅に出掛けた。
期間は一年。
探すものは、強くを愛する人。
城を出初めて会ったものは。
「にゃぁ」
真っ黒で赤い瞳を絶えた猫が芝の中から現れ二人の前に出てきた。
は、何も言わずその猫を抱き上げると。
鳳珠は厳しい目つきでその猫を見た。
「・・・・・。その猫。」
「ああ、実は叔父上が持っていけと。どうかしたのか?」
「いや、なんでもない。」
仮面の下で一人苦笑したことには気が付かなかった。
ありがとうございました。
〜眠り姫2〜
旅に出てから数ヶ月が過ぎようとした。
なのに、目的はいまだ果たせなかった。
自分を愛し死んでくれる人なんぞ。そう簡単にいるわけはない。
もうすぐ半年だ。
なんとしてでも見つけなければいけないのに。
そうはやる気持ちがあった。
しかしは、
物事というものは早くやろうが遅くやろうが行き着く先が一緒だということを知っていたので。
自分のペースを突き通していた。
藍の国。
商業は盛んで人々は溢れ海が美しい国。
どの国よりも発展している国。
猫に導かれるように二人はその国へと入っていった。
叔父上の猫は大変賢いようでしかもナビ機能付き。
外をあんまり出たことのない二人にとってありがたいものだった。
「鳳珠。」
「なんだ。。」
「黎を見なかったか?」
「・・・・あの馬鹿ネコならどっかいったきり帰ってこないぞ。」
「そうか。ならばしょうがないな。一人で出掛けるか。」
「待て。私も一緒に「女物を買ってくるのだが」・・・気をつけていって来い。」
整っている町並みさすがは中心国だけはある。
そう思いながらは騒がしい市場を抜け誰もいない広い野原に出た。
数ヶ月。
彼に名前を呼ばれることがない。
そんな小さなことがそんな当たり前なことがに言いようがない気持ちを溢れさせていた。
無償に一人になりたくて、つい鳳珠を嘘ついてしまった。
黎が出掛ける所を見ておきながらは鳳珠に問いかけたのだ。
鳳珠はかなり勘が鋭い。
彼を騙すのには気が引けたがそれよりも一人になりたい気持ちが強かった。
「。」
王子じゃなくて自分を見て欲しいと言われてからは人前以外では
彼をそう呼んだ。
懐にあった笛。
彼が自分の誕生日に送ってくれたもの。
送ってくれた本人はなぜか
「じゃ、リクエスト今日は〜」
それ以来毎日笛を吹かされ続けた。
好きならばいいがそれ以下でもそれ以上にも
満たない気持ちで毎日何時間も吹くのは拷問だったが、最後に
「ナイス!!ブラボ〜。」
といって満面の笑みをたたえている彼がいたからが笛を止めることはなかった。
元々何をやらせてもすぐ出来てしまう天才気質があったのもあるが、
毎日毎日何時間もが飽きるまで吹いていたおかげか
彼女の演奏は
「素晴らしい!!我が心の同士よ!!」
誰もがその音に寄せ付け惹かれていく。
髪にいくつも色とりどりの羽をあしらい。
安くはない藍の服を何枚もきこんでいる見目麗しい青年が
の前に現れ、満面の笑みをたたえながら拍手を送っていた。
素直で真っ直ぐな気持ちが自分にぶつかる。
この感じはどこか覚えがあって。
彼は出逢った時から、初めて会った気がしなかった。
誰かにいている。
だからだろか。
普段人に隙を見せないがつむいだ今置かれている立場。
真実を。
誰かもしれない男にこんな簡単に話してしまったのは。
ありがとうございました。
〜眠り姫3〜
「その男は同士のことを愛していたんだな。」
「どこを聞いていればそうなる。」
「うむ。同士は
同士はその男が愛しているんだな。」
その言葉を聞いては止まった、何かが頭の中でカチリと音をたてた。
ぐるぐるとめぐっていく。
そして、懐かしい声が頭の中に響く。
「。君さ〜こんな日ぐらい笑ってよ。」
「・・・難しい」
「ぷっ。あははははは。それなに。あははは面白い。
うん。。今度から僕の誕生日プレゼントそれでいいから。あははは。」
「これでいいのか?」
「それが僕にとって一番だからいいんだよ。」
「僕はそれがいい。」
「っ。」
貴方が眠ってしまった日から。
貴方の声が離れることはありませんでした。
この胸の空虚さの意味を知ってしまえば、私は。
「。僕 結婚することになったんだ。」
横には私と正反対な姫がいた。
可愛らしく守る対象で表情がコロコロと変わり
何より笑顔が素敵な彼女が。
「違う。私は。」
「お前、」
「なんですか。叔父上。」
「・・・・・王子が結婚する話を聞いたか?」
「ええ。腐っても私は側近ですしそれに王子が言ってくれましたよ。」
「・・・・・お前はそれでいいのか。」
「?なにがですか。王子が妻を娶ったとしても私はただ王子を守れればいい。」
「っお前は!!」
「なんですか。」
「・・・・・なんでもない。後悔しても知らないからな。」
後悔?私が?
叔父上貴方なら知っているはず。私が何の感情もないことを。
私には王子を守るということしか出来ない。
それしか私は生きている意味がなかった。
私は何も感じない。
楽しい・嬉しい・悲しい・怒り
すべて捨て去って
じゃないと私はきっと生きてはいけなかった。
それがあの人の傍に入れた理由。
そのために私は生きているのだから。
だから
「愛なんて知らない。」
頬から流れる生暖かくて塩っぽくてそれが何か知ってても経験したことのない何か。
「同士は感情ないわけではない。ただ薄いだけだ。」
それ以上彼は何も言わずただ黙って音もなく泣く彼女の頭を撫でていた。
ああ、そうだ。彼に似ているんだ。
*ruriです!
これは昔考えてて、長すぎて途中放り出したパロです。
ここからどう続くか・・・管理人すらなぞ