窓から見える、空が綺麗だ。
ああ、綺麗な鳥の鳴き声すら聞こえる。
ようし、秀麗と一緒にピクニックへ行こう。
きっと、とても楽し「主上!はやく決めてください」



任命式で、劉輝は、しみじみと思い返していた。
長かった日々を!
ようやく終わる。本当ならば、涙を流すほど嬉しかった。
と、いうかもう半分ヤケになっている。
ここまで、劉輝を困らせたのは、秀麗ではない。
今輝かんばかりの光を放ち
駆け寄って、抱きしめたいほどの美しい彼女ではないのだ。
その、二つ横に座っている。
女に対して目が肥えていると思う自分ですら、
綺麗だと思える女性。・・・いや、少女なのだ。
妹と聞いたときには、年齢の偽装を疑ったものだ(無意味な事なのに)
きっと、秀麗は父親似で、少女は母親似なのだろう。
秀麗は、まっすぐ髪。少女は、少しくせっ毛だ。
それと、目の色が違う。
少女はそこは父親に似たらしく赤だ。
近くに座る二人の女の子は、姉妹の関係だと、100人中何人答えられるだろうか?
・・・話がそれた。
つまり、目の下の隈は、少女・によるものだ。
に関して言えば、恐ろしく情報が少なく、
何年間も家族を捨て放浪していた。ぐらいなものだったが、
今では、藍 龍蓮と同位置になる人物。
紅家の切り札・紅  桐麟。
彼女の立ち位置は、今や一女官史ではない。
いや、最初から彼女は特別だ。
彼女は、満点を出した。
特別及第者ーー彩華なのだから。

だから、だからといって。

「この書簡の多さはないのだ」

劉輝の前に置いてある、書簡はすべて要請書だ。
簡単にいえば、『よこせ』だ。
あるところになれば、一本どころではない。
その情熱を他のところで燃やせばいいのに
と思うところもあった。
って、いうか吏部と戸部の量は無視したい。
突っ込むところといえばそれだけではない、
料理、園芸・・・なら分かるが
・・・なんで武官からの要請もあるのか?
ひとまず。

「無理だぁ」

劉輝は、机に突っ伏した。
もう、無理だ。最初は、一通り呼んでいたのだ。
しかし、次の日には増えている。
呼んでも呼んでも減ることのないそれ。
ちょっとしたイジメだろうか。
ぐすっと涙ぐんだ。
もう、いい。頑張った自分。ここまでしたんだ。もう・・・

「・・・今からとった書簡に彼女を入れる」

劉輝が、そういって手を伸ばすと、
横からあからさまに二本近くに出された。
どこからかと目線をあげれば。
絳攸 と、楸瑛 がいた。
絳攸は疲れた顔を、
楸瑛は苦笑をしていた。


「いれないと・・・・・・どうなるか分からないんだ」
「こっちも、色々と大変なんだよ」
「お前は!あの人を手なずけられるかもしれない人物を逃せと!」
「うちの大将からの絶対もぎ取ってこいコールを知らないから」


二人は、目線だけで会話している。

少し仲間はずれを味わっている劉輝は思う。
彼女を、紅 桐麟としてみているものは
この書簡のなかに何人くらいいるのだろうと。

きっと、ほとんどのものがそんなもの関係ないのだろう。
ただ純粋に彼女を欲しがっている。
じゃないと、食堂や、園芸それに武官までこない。
それだけのものをもっている、紅 

彼女は人をひきよせるものがある。
横にいる二人だって、ほかの人のためといいながら
胸の内ではどう思っているかは分からない。

少しだけ、うすら寒くなるのを感じた。

・・・別に、書簡をとってその瞬間に天井から
書簡が読めないぐらいズタボロに破壊されたからでは・・・ない。



劉輝は、高らかにその名前を呼んだ。
その瞬間に何人かののどを鳴らす音がした。


「紅 ・・・・・・お主には選択を与える」


最初からこうすれば良かっんだ。

「お主は、各々の部署をまわり好きなところを選べ」


と、いうかこれしか選択はない。
たとえ丸投げといわれても!!

だって余の命に関わるのだ!




2008.12・7