姉上が何か言いたそうに私を見る
私は何も言わない
静蘭はその様子を眺めた
私は静蘭を見ない
父様は私を抱きしめた
私は
久しぶりに自宅に帰った
古ぼけた家
自分が一歩踏み入ると家から拒否されている感覚に陥る
もうこの家は私にとって帰る場所ではなかった
私の帰る場所を思い描けばなぜか鳳珠邸を思い返す
一年経ったか分からないくらいのときのほうが幼い頃何年もいたこの場所より
私をむかいいれてくれる
私は思う
見送ってくくれた優しい人を
何も問わなかった
ただ怪我を心配してちょっと前より過保護になって
……そうだココに来るのも渋っていた
一緒に行くといって聞かなかったのをよくぞ巻いたものだ
鳳珠は時々ものすごく頑固で……子供だ
だから仮面なんかつけているのだろう
私は思う
きっともう遅かったんだ
私は進むことを恐れていた
過去を忘れたくなくて
未来を見たくなかった
温もりをしってしまった私は貪欲になった
温もりを失った私は臆病になった
それから
私は差し伸べる手を何回も振り外したけれど
今回ので分かった
独りじゃもう生きていけないことを
のときまでとはいかないけれど
今まで出会ってきて手を差し伸べてくれた人々を無視できない
一人にはなれても独りにはなれない
未来はとっくに動いていたそれは誰かのせいじゃない
自分で動かしていたんだ
家に入ってお茶が置かれる
父様が淹れたお茶ではないことは分かっている
だって父様は玄関先からずっと抱きついてくる
……どうしよう
抱きつくのはいいけど手が挟まっている
一応治ったといってもそんなすぐになおるわけない
異能の力や仙人の力を使った所で人間だから
だから……ちょっと痛い
それをいいたかったけど本当に心配して
抱きついているのも分かったしそれに
……少しだけ懐かしかったから
私は何も言わずされるがままになっていた
姉上がそんな私を少し驚いた顔をしてみた
「変わったわね 」
「ええ どうやらそのようで」
ちょっとした前までの私なら普通に苦しい離してというだろう
父様は顔を上げて私を見て言った
「」
「どうかしましたか」
「どうして何も言ってくれなかったんだい」
小さい声で姉上には聞こえない声で奴らを滅ぼせば良かったと聞こえた
……色々な意味で父様は変わらない
どうしてってあの時はそうするしかなかった
私が紅 桐麟になるしかなかった
父様の立場もあった
それよりもあの時の私は無に近かった
それなのに生きる術ばかりさがしていて
私がのままではそのまま死んでしまう
私を死なせないようにするためにそれなりの地位を欲した
子供だったとしかいいきれない
それ以来叔父上にも嫌われる
けどこの地位がいつのときか家族を救えるだろうと
いまになって思ったのだから調子がいいとしかいいようがない
「すみませんでした」
私はそれしかいえなかった
というか父様の抱きしめによって傷が開きそのまま気絶した
2008・7・6