痛みを消すことは簡単。
私にとって簡単。化け物にとっては、痛みなんてなんてことない。
暗い淵に立って私はその先を望んだ。
過去を過去にしたくなかった。
忘れないはずの脳みそが、動いている。
塗り重なれている。
昔、幸せを望まない人がいました。
だけど少女は幸せでした。
いくら周りが、かわいそうにつらかったろうにと言われても涙一つ流さないで、
いいえ。私は幸せですと笑う少女でした。
体はボロボロでいつも片足を引きずっては幸せだという少女でした。
周りの人は恐れました。少女を。
だから。
最後の絶望まで追い詰めました。
好奇心。
少女がそのときどんなことを言うのか知りたかった。
彼女は笑いました。
いつものようではなく壊れてしまった声で。
かはあはあははははあははははははははははは
ああ、幸せだった。
そういうと少女はとまりました。
分かっていました。当たり前の言葉だったのに、
どんなものよりもどんな言葉よりもそれは凶器でした。
とうとう最後の人を壊してしまいました。優しくて真っ直ぐな穢れていない彼女を壊してしまいました。
周りの人は、互いに顔を見ることもなく、少女の目をそっと閉じました。
本当は、嫉妬していたんです。
その真っ直ぐで曲がらなくて、
誰も、少女を忘れません。幸せだと笑った幸せだったと笑った少女を。
だけど、忘れてしまいました。
時は無常で、残酷で、そして時に優しい。
だからこそ、彼らは生きられました。生きていけました。
少女を覚えていることは、不幸だったからです。
この物語を聞くたび、思う。
なぜ。
残ってしまったのか。
本当は、彼女は、
幸せではなく、怖かった。
不幸しかなかった彼女は、闇のなかで生きていて光なんて望んじゃいなかった。
救いなんて求めていなかった
でも周りの人の声が光になって、恐れた。
自らのエゴだとしても、怖くて必死で、目をつぶっても差し込んでしまう光を恐れた。
不幸のあまり幸せを恐れ、光を恐れた哀れな少女の終幕。
本当は、自分が望んだ終幕。
彼女の心なんて、体同様。
忘れてください。それが私の幸せです。忘れてください。
今までもこれからも幸せでなければ、
いつか不幸が本当の黒い化け物が私を覆ってしまう。
なぜ。
残ってしまったのか。
誰とも触れ合うことを知らなかった私が始めて見つけた光を、闇を。
失いたくない。
彼女と私は似ていた。
迫害され闇に中にい続けて、光を見つけ闇を見つけた。
違うのはーーーー私は、いつも、まだ、助けられている。
光に、そして、光になるものたちに。
光を忘れてしまう、潰されてしまう。
貴方が遠すぎて、かすんでしまう。
私は、苦痛など、感じません。
誰にも頼りません。
「。おい、」
「・・・・・どうかしたのか」
「どうかしたもない。まったく、どんだけ抜けてるんだ」
「さん。お茶はいりましたよ」
「うわぁよくあの量終わらせたわね」
光は、キライです。
でも、
本当は望んでいました。温かな光をずっと傍に。
そしたら泣いて、醜いほどぐちゃぐちゃになって
幸せだ。と言えたでしょうか。
2007.12.9