「お前のせいで仮面を落としてしまったんだ!!どうしてくれるんだ。」
黎深はのんびりとお茶をすすっているに怒鳴った。
は、湯飲みを机に置くと黎深の方へ顔を向けた。
「・・・・・・叔父上。それは私のせいではない様な気がしますが、」
「うるさい。兄上には叱られは、仮面はなくすは全部お前のせいだ。
見つけるまで帰ってくるな。」
黎深はが何を言っても聞かず隣で同じくお茶をすすっていた
鳳珠が黎深を睨みつけた。
やっと帰ってきてとのんびりしていた所を邪魔をされて機嫌が悪いようだ。
「黎深。ここは私の家なのだが。どちらかと言うとお前が帰れすぐさま。
しかも誰に拾われたかもわからないのに。」
「それはさっき聞いたから誰が持っているかは分かったんだが。嫌な縁が続いて。」
「いいから早く行け!!」
黎深はの言葉を遮ってをせかした。
は椅子から立つと鳳珠のほうを向いて。
「鳳珠。今夜の食事はいらない。・・・叔父上。出来るだけ父様の怒りは解いときますよ。」
そういって扉から出て行った。
「黎深。」
がいなくなり少し静かになった黎深に呆れながらも鳳珠は前言った言葉を思い出した。
「藍 龍蓮が真の天才だと分かった。」
「ああ、使えない天才だ。」
「・・・・・・はお前から見てどう思う?」
「は天才ではない。」
「・・・・・・。」
「あいつは、鬼才だ。」
たしかには未来を知ることも出来る
そして自分がどう動くべきかも分かっている。
一度やれば出来ぬことなどないくらいの能力も持っていて
【鬼才】その言葉がよく似合う人物だと思う。
だからといって、その能力をもの探しに使うのはどうだろうか。
隣にいる男は仮面が確実に戻ってくることに嬉々としながら
怒りを解いてくれるという言葉にも笑顔をたたえていた。
・・・・・・世界広しと言えどもの才能をこういう風に使うのはこいつだけだろう。
鳳珠はもう冷えてしまったお茶を口に含んだ。
家族団らん+2名
シーンと静まりかえった食卓。
原因は分かってる。龍蓮とだ。
そもそもは十年ぶりに帰ってきたというのに、
龍蓮の隣でもそもそと食べていて、龍蓮は龍蓮での皿に物を入れている。
龍蓮との関係が何なのか分からない。
龍蓮が一方的ではないような一方的のような。
けど仲がいいのは分かる。
父様はその二人の様子を箸が粉砕しそうになりながらも笑顔で見ていた。
はっきりいって怖い。
静蘭も影月くんもその様子を青ざめながら見ているし。
正直私も怖い。
それなのにもとの二人は気にせず
「。肉も食え。」
「龍蓮。これ以上食べれない。」
「そんなことを言っているからこんなに細いんだ。」
龍蓮がの二の腕を掴んだとき。
部屋の温度は確実に下がった。
「そんなことはない。ちゃんと(筋肉が)付いているぞ。」
そういっては腹を触らせた。
パキン。
何か砕ける音がしたが誰もその音のほうを向けない。
「細いぞ。抱きごごちが悪かった。」
もう、やめてくれ。
どうしてこんなことになったんだろう。
ことの始まりは、仮面そう、父様そっくりの仮面だ。
そのせいで人質にされて龍蓮は賭博で胡蝶姉さんに負けて。
その後よね。
が来たのは。
なにやら持ち主にそれを返すために来て。
久しぶりにあったになんて言っていいのか分からなくて一緒にご飯誘うことも出来なくて。
あのときばかりは龍蓮に感謝した。
買出しに二人がいっている間。
料理を作りながら自分の妹について考えた。
そういえばが仲良くしている人を見たのは初めてだった。
小さい頃から特定の誰かと一緒にいる姿を見たことなかったし、
もしかして龍蓮が始めての友達かしらと思い馳せていると。
ピーと釜から湯気が立った。大体の料理の仕度は出来た。
火を止めて、秀麗は大事なことを思い出した。
どうしよう。父様にと龍蓮の様子を見せて大丈夫かしら。
いや、それよりも来ること言ってない。
つい飛んでたわ。静蘭にもいわなくちゃいけないのに。
急いで食卓へ向かおうとしたが。
「心の友その一。買って来たぞ。」
龍蓮の声が部屋に響いた。
・・・・・・ああ。なんていいタイミングなの。
しかもちょうど父様は玄関の近くにいて。
「久しぶりです。父様。」
の声が聞こえる。
その声から十年以来出会っていないことが感じられないくらい普通の声だった。
「げげげげげげ、?本当にかい?」
父様。どもりすぎよ。
何度も確かめるようにくりかえす父様。
「父様は父様なら私は貴方の言っているです。」
「綺麗になったね。いや薔薇姫にそっくりだ。」
私も会ったとき、一瞬母様だと思ったしね。
「父様は少し年をおとりになった。」
「十年は長いよ。」
本当に長いわ。
「・・・・・そうですね。」
しんみりとしている二人の中に予想外が紛れ込んだ。
「?おお、心の友その一の父上殿ではないか。
いや訂正しよう。の父上殿ならば私の父にもなる人だしな。」
きっと父様の機嫌がもの凄い悪い理由は分かっている。
この一言だろう。
だってそのとき空気が冷えたのが分かったもの。しかも父様方向から変な黒いなにかが見えた。
しかもは聞いてなかったのか。
そこから何も言わないし、龍蓮はにベタベタだし。
誰か助けて。
しかしこれだけでは終わらなかった。むしろここからが本番だった。
やっと食事が終わりもうこの時間から開放されると思いきや奴が爆弾を落とした。
「そうだ。。ちょうど家族もいるし言っておこうと思うのだが。」
「龍蓮!!それは後で言ったらどうかしら?」
なぜだが、嫌な気がした。ムンムンと。
他の二人もそう思ったのか
「そうですよ。龍蓮さん。まださんとは一緒にいられるじゃないですか。」
「それにお嬢様は私たちとあまり話してないし家族団らんで話すって言うのはどうでしょうか。
お嬢様!!」
ナイスよ。二人とも。
「名案だわ。静蘭。そうねそうしましょ。ね父様もと喋りたいわよね?」
「もちろんだよ。」
秀麗は邵可の機嫌が急上昇していることに気付いた。
父様のこと可愛がりたかったのに可愛がれなかった十年くらい後悔してたし
なにかが爆発したようね。完璧親馬鹿だわ。
少し呆れながらも自分もと話したいという気持ちもあったのでその案を押した。
だがは
「しかしそろそろ帰らないと心配しているだろうし。」
「え。戻ってきてくれないのかい?」
邵可は眉毛を八の字にした。
「父様急には無理です。」
「そうかい。それは残念だよ。そういえばどこに泊まっているんだい。」
それは誰もが気になったことなのでが喋るまで誰も音を発しなかった。
は少し間をあけてやはり変わらない調子で答えを口にした。
「黄 ・・・奇人様の家です。」
「「「え?」」」
皆の(龍蓮と影月除く)声が合わさった。
予想だにしなかった人物の答えに秀麗と静蘭は混乱している。
「それは真か?。なんてことだ。私がを置いて言ったばっかりにに歯牙がかかるとは。
いや任せておけ。私が守って見せる。だからまた一緒に旅へ行こう。」
「うるさいわよ龍蓮。龍蓮が想像していることをあの方はなさらないわよ。ねぇ父様?」
「・・・・・・そうかだから言わなかったのか。フフフ黎深後で覚悟は出来ているだろうね。」
邵可は黒い笑みを浮かべていた。それをみた三人は固まっていた。
ただ龍蓮だけはに心配そうな顔をしながら近づいた。
「。何かされなかったか?」
「とても親切にさせてもらっている。奴は私の友達だしな。優しいし居心地はいい。」
「それは私の傍よりもか?」
少し悲しそうな音が交じり合って龍蓮はに聞いた。
は龍蓮のほうへ顔を向けると目をじっと覗き込み。
「比較することが出来ると思うか?」
「私はの傍が一番だ。」
邵可の黒いものに固まっていた三人だが龍蓮との雰囲気が怪しくなっていくのが分かった。
やばい。何かしら止めないといけない気がする。
秀麗は龍蓮の言葉を止めようと言葉をかけたが。
「待っ「。私の、魂の伴侶になってくれ。」
それよりも先に龍蓮が言葉を紡いだ。
・・・・・・やりやがったよ。コイツ。
2007・7・27