姉様は母様が死んでから元気になりまるで皆を励ますかのように元気に振舞った。
それに引きずられように家族は明るさを取り戻した。

そして
私は母様が死んでからあらゆる知恵・武力を家族に隠れて身につけるようになった。

今日もまた葉 棕庚の下町の医者のところへ遊びと称し難しい医学書を読みに行っていた。

「またお前か。子供は子供らしく外で遊ばんか。」
棕庚はいつもいつもくるこの子供が最初のうちは邪魔だったが
何も触りもせずただ黙々と本を読み自分の技法を見ているだけだったので
ほおって置いたがこう続けてこられるとさすがに気になる。

「いや。つまらいないし分かり合えない。」
は本から目を離さず答えた。

「・・・はぁ。だったら家へ帰れ。」
呆れぎみに棕庚はため息を吐いた。
確かに医学書なんぞ読めるやつがそのへんで子供らしく遊んでいる姿は想像できない。

「私はいらない。」
は本をしまった。

「何がだ。」

「私はもう少しで旅に出る。だから知識が必要。」
そしてまた違う本をとって読み始めた。
まるでちょっとそこに買い物言ってきます並の軽さで言われ棕庚は少し気落ちしながら

「はっ。子供がなんじゃ反抗期か?」

「・・・もう少しあとこの国の崩壊。飢え。病気。争い。それを統計すると私はその前に出て行く。」
棕庚はその言葉に驚いた。

「どうやってそれを知った?」

「動き。流れ。食事やで掃除をやらせてもらってる。そこから。」

本当に稀有な子供だ。
この年で人の噂から真実を見出しそこから国の行く末を予知できるとは。
だからこそ

「逃げるのか?」

「私がいなくなるとぎりぎり(家族が)生きれる。」

「お前は・・・自ら茨の道を進むのか?」

「私はなにも感じない。
悲しい。つらい。楽しい。嬉しい。これが抜けている。だからこそ。」
その表情には何もなかった。
棕庚はそのことをうすうす感じていた。

「だからこそ旅に出て世界を知れば何か変わるかもしれないと思った。か?」

「そう。」

「わしに言っていいのか。お前の父に話すとか、気味悪がるとか考えなかったのか?」

「貴方は一緒でも違う。」
は本から目を離し棕庚を見つめた。

「・・・はぁ〜。薔薇姫も面倒な能力ばかり残しおって。
お前は富にその能力を受けつでいるな。
それではいずれ捕まってしまう。
意外とお前のことは気に入っているし、よしココまで来たことだ。俺が修行つけてやる。」
棕庚は、その天の才を持ち異能の力まで持つに興味を示した。
教えるとしたら本当に逸材だ。
棕庚は、老人の姿から青年の姿へと変わった。

「それ、本当の貴方の姿。若い。」

「驚かないか。まぁ分かってるようだったしな。俺は黄仙だ。
俺が人に教えるとは本当に人間ってのは面白い。」

「うん。よろしく黄仙。時間が限られてる。急ごう。」

「おお。まず。」

こうして黄仙との修行が始まった。


そしてそれから一ヶ月

「・・・末恐ろしい餓鬼だな。」
棕庚はそう呟くことしかできなかった。
覚えが早いと思っていたがココまでとは。

「黄仙。次。」

「あ〜もう次で終わりだ。お前普通何十年もかかるもんを一ヶ月で済ませるか!」

「次。」

「〜〜分かった。分かった。」

こいつは全てにおいて天才だが・・その分感情を取られてやがる。
この子供は産まれたときから・・・・その業を背負って生きているのか。

誰からも理解されず、人の感情を理解できず。愛することを知らない。

この世界でこいつを受け入れられる人間なんて・・・。
感情を呼び起こさせる人物に出会れば良いのだが。

そう思いながら悲しい色を瞳に帯び黄仙は目の前にいる哀れな子供を見つめた。









3007・3・13