旦那には悪いと思っている。
けれど、そういう以外にどうすればよかったのか。言葉が見つからなかった。

旦那がスズシロに強い興味を抱いているのは分かっていた。
その感情がどういうものか分かる前に無理やり壊した。

彼女が忍びだからとか、身分違いだからとかそんなもんじゃない。
もっとでっかくてやっかいなもんだ。


彼女は、欠陥している。
壊れてしまっている。
傷ついて傷つくだけ笑い顔が自然になっていく。

それは自分にも言えること。
むしろ忍び全てのものがそうだといっても過言ではない。

旦那がその姿にある一種の感情を持ったなら、捕まえることは出来ない。
失恋決定だ。
するとあの一直線の旦那のことだ。
一直線に落ち込む。
それだけは避けたい。

それとあの情報は嘘だけではない。
スズシロは確かに譲った。

コレが意味することが違うだけで。

死を覚悟して望んでいったと誰が言えるだろうか。
そしてそれを聞いたとき旦那が何をするかなんて俺様ですら分からない。
旦那動かないでくれ。そして忘れてくれ、なんて厄介なのに惚れるかねまったく。

けど、今スズシロを探している俺様もたいがいなもんだ。
主思いな忍びだよねまったく。あ〜あ給料上げてくれないかな。


「佐助様」


「ん〜どうよ分かった?」


「・・・それが」

きいた情報は俺様が想像していたよりも


「やっかいなことになった」





まず、状況を確認しなければ。そう考えるのに数分も要した。


「ん?どうかしたか」


考えるのと実行するのは大きな差があるなとしみじみ実感するほうが先で、私は考えることを放棄した。
なんだかすべてが面倒になったのでもう目の前にいる人物に聞くことにした。


「貴方は?」


「Oh!それは本気で尋ねているのか?」


「・・・じゃあ半ば本気でどうでしょう?」


シーンそう音があればそうなのだろう。私もなんて馬鹿なことをと思うがいってしまったからしょうがない。
きっとあれだ。死にかけたからちょっと緩くなったんだろう。
いや、思い返せばもともとはこんなんだったような。

目の前にいる綺麗な顔した青年は小刻みに震えている。
これは殺されるな。

・・・・・・逃げるか。

そう思いたち体に力を入れれば無理なことを理解した。つまり死を理解した。

青年が動くのに体が強張った。あ〜せっかく助かったのにもったいない。
最後の辞世の句がもったいないとは
だが、

急に大声で笑い青年はいった。よくよく見ると片目に眼帯。
まさか、そんな。


「俺は、伊達 政宗 Do you understand it?」



私は、名前を特徴的な話し方を聞いて、死よりも辛い未来を描いた。






2008.3.13