【グリーン】:全てを自然へと返すもの。その存在自体も自然である。
通訳:奴にあったら諦めろ。あれは天災。人には越えれない壁がある。
リボーンに、と呼ばれた少年について聞いてみた。
少し黙ったリボーンは、小さな黒い瞳で可愛らしいそれに恐怖の威圧感を乗せていった。
「その名前の通り、あいつは【グリーン】それ以外何者でもない」
何か言うのを目で押さつけられたが、俺は感情を抑えきれなかった。
あの人のことを知りたい。どうしても知りたかった。
綱吉が初めて感じた感情をなんていうのかはまだ知らないで。
「リボーン、教えて」
初めてみせた教え子の本気にリボーンは、帽子を押さえた。
ボスとして、また女としての自覚を育てようと努力してきて、
こういう事態は大変喜ばしいことだが、如何せん相手が悪すぎる。
リボーンは、【グリーン】、を思い出して、そうなるのも無理はないと
諦めが混じりながらも、語り始めた。
【グリーン】
黒い瞳と藍色の髪をもつ美しい暗殺者の話を。
と、いうわけだ。お前が嫌いな人種の人間の話で、お前も怖いだろう
だから、近寄るな。
そう、リボーンに言われたけれど。
綱吉は、骸の病室へ向かっていた。骸は、一番怪我をしていたらしく、
なかなか回復せずまだ寝ているだろう。
別に、綱吉は怪我をさせたことを謝るわけでも、仲間を攻撃したことを怒ることもするわけではなかった。
むしろ、感謝しているくらいだ。あの人に逢わせてくれたことに。
そう綱吉が病室に向かっているのは、骸のためじゃない。
ただ、のことがもっと知りたいと思っただけだった。
綱吉は、リボーンからのことを聞いて、嫌悪する側の人であることは分かりながらも
例外があるということを知った。自分でも可笑しいと思う、
一回しかあってないし数回喋っただけで、
確認事項みたいな言葉のやり取りしかない。
でも、魅せられてしまった。
止めれなくなってしまったのだ。
骸の病室で、ノックをしようと近寄れば、中から物の割れる音と癇癪をもった女の声。
一瞬病室を間違えたと思ったけれど、プレートは六道 骸。
綱吉は、ドアの白い色を見ていた。
「あいつは、どこまで最悪な男なんですか。僕はっ、こんな甘っちょろい考えで
なんで、あいつは、どこまで馬鹿な」
「骸しゃん」
「・・・・・・」
「すいません。一人にさせてください」
やばいと思ったときには遅くて、千種と犬にあってしまったが、少し落ち込んでいる彼らは
綱吉をみて顔をしかめただけで、その場をあとにした。
開いている病室の中で、綱吉はそろーりと中を覗いた。
ベットシーツを握る手と肩を振るわせて下を向いている。
そこから、聞こえるのは綱吉が知りたいと思った男の名前を罵倒しながら
声を殺して泣いている少女の姿だった。
綱吉は病室を離れた。
赤い夕焼けの帰り道は、自分の心情を表していて、柄にもなく泣きそうだ。
俺には、骸みたいに泣けない。だって、そこまで彼をまだ知らないから。
骸を優しく気遣い、優しく触れる彼の姿しか知らない。
黒い感情が押しあがってきて、苦しくて仕方がない。
ああ、俺。今骸に嫉妬している。
骸ならって思ったけれど、笑い飛ばした。
俺が骸なら、なにがあろうとあの手を離すことはない。
2009・3・31