分かったことがある。
どんなときでも私は面白そうなことが好きなんだ。
木につるされたツタを見たとき、ターザンターザンとの声を無視すればよかった。
私、今川に流されてる。
つた、つた、飛ぶ飛ぶ・・・・・・飛ぶ川へ
といった具合に、川の中にダイブした私。
必死に川の中で、もがいていると、横で鮭が一緒に泳いでいた。
彼らのガッツに負けないように泳ぎまくった、魚にできて人に出来ないことはないと
思って手を動かした。
でも最後、波が来たときに思う。
人は川にすんでない。でも魚は川にすんでいる。
なんて当たり前なことを忘れていた。
水に飲まれていく私の横では鮭はきれいにジャンプしていた。
分かったことがある。
「大丈夫か?」
目が覚めれば美形率が高い。
口元は、茜色の布で覆われていて
綺麗な向日葵色した髪と陶磁器のように白い肌、それから蒼い目は澄んだ空だった。
まだ季節は秋だったでも、彼からは夏を感じた。
は、彼の布ごしの頬に手を伸ばした。
川に浸かり体が冷えたは反射的に温かいものに縋ろうとしていた。
触ると彼がびくりと動いたのが分かる、けれど意識が朦朧としているは気にもとめずに
一言
「あ、ったかい」
そのまま眠りについた。
の手が彼・リズヴァーンの頬から離れると、
リズヴァーンは虚をつかれたものの直にの手をとり脈を測った。
規則正しいリズムに安心したものの、異常に冷たい手。
リズヴァーンは自身の服をぬぐとにかけ、自身の庵へと連れ帰った。
パチパチと火が燃える音がした。
私は寝ているから、きっとルシが燃やしてくれているのだろうか。
「ルシ、交代するから寝てていいよ」
目をこすりながらあくびをかみ殺せば、
「おきたか」
自分が思っていた声と違っていた。
驚いて声がするほうを見れば小さな体のかわりに大きな体
「・・・・・・・お、鬼?」
その言葉を聞いて顔をしかめた彼が何か言う前には、彼に抱きついた。
それから満面の笑顔で
「やったー!!鬼よね!鬼。こんな綺麗な色みたことないもの。やったわ!!
ついに達成した。えらい!!自分偉いぞ」
リズヴァーンは自分の置かれている状況が理解できなかった。怖がれ罵られ命乞いするものさえ
いるというのに、自分が鬼であるということにここまで歓喜したものはいなかった。
この髪を目を綺麗だというものもいなかった。
抱きしめるのをやめさせようと思うのに、久しぶりに感じた人の温もりに何も言うことができなかった。
ひとしきり興奮がおさまったは、自身の境遇を話した。
この世界にきてから初めて自分のことを話した。
不思議な術を使うなら、不思議なことも受け入れてくれると思ったのだ。
話すにつれ、水に飲み込まれたという所でそれまで静かに話を聞いていた
リズヴァーンがの肩を急につかんだ。
「そこに、髪の長い女性はいなかったか?」
は痛いとか急になんだとか文句を言う前に
リズヴァーンの蒼い瞳の中に激しく求めている男の姿を見てしまった、
それは遠くの日にみたあの人の姿に重なって、顔をくしゃっと歪め小さな声で呟く。
「あの人は本当にもてるね」
「なんだ?」
「いいや、いたよ。いた。あの人も。それって関係あるの?」
リズヴァーンは肩から手を下ろすとに聞かせた。
龍神の神子の話を。
「ってことは、その神子がこないと帰れないってこと?」
「そういうことだな」
「あーやっと見つけたのに、鬼・・・・・・ま、いっか次に神子探せばいいだけだし。
ねー鬼さん。神子はどこにいるの?」
「今はいない」
「はっ?どういうこと」
「神子はまだ現れいない。時空の波は一様ではないということだ」
「・・・・・・それって何時来るの?」
私は、鬼さんと共に生活することになった。
いつくるか分からない神子とやらを感知することができるらしく、
どのみち同じ人物を探しているなら一緒にいようや。ってことで
「よろしく、鬼さん私 っていうんだ」
「鬼・・・・・・いや私の名前はリズヴァーンだ」
「り、リズバーン?」
「リズヴァーン」
「リジュバーン」
「・・・・・・リズでいい」
こうして不思議な共同生活が始まった。
2009・3・2