私はいつだって、あの人の大丈夫、に助けられてきた。
あの人がそれを言えばなんでも出きるような気がしていた。

でも撤回しよう。


「大丈夫だよ!!」

なにが、大丈夫なのか。
そして、私はなぜこんなことをしているのか。

「僕とが組めば、敵はもはやいないも当然!」

私は、北雪のやわらかで、ゆるくうねっている髪を
これでもかというほど美しく結いあげた。
それから、オウトツが激しくも控えめでもない顔に化粧ほどこす。


「僕、この女装コンテストでに優勝をプレゼントするから」

握りしめてくる手は男の物なのに、目の前には可愛いらしい女性。
唐突に、は泣きたくなった。

なぜ自分は、好きだと思われる男性が、女性に変身するのを手伝っているのだろうか、と。
涙が出ない自分の性質を、これほどまでに悔やんだことはない。



事の発端は、姉さまの言葉だ。
そして、これの商品だ。

よし、これを考えた発案者を消そう。
私のもっている力すべてを駆使すれば、きっといや必ず潰してみせる。

殿、そんな恐ろしいことを口に出さないでくれ」

「・・・もしかして藍様?こりゃまた綺麗になったな。これからは男の方にも気をつけた方がいいな」

「真剣な顔で言わないでくれるかい」

「事実だ」

「・・・・・・・・」

「これは夢だ夢だ夢だ」

「絳攸様もいらしたか。これは・・・・・またなんとも可愛らしく」

「うわーこれは夢だ」

楸瑛が、の肩を叩くと、懇願するように。

「これ以上、絳攸を壊さないでくれ」

は意味が分からないまま、外へ出た。
外へ出ると中とはまた違った熱気を感じる。今から姉さまの元へ言ってもいいが
なんだか、嫌な予感がする。
そういったとき、大体自分の感覚はあたっているのだ。

は、出演者のテントがある近くの木に寄りかかった。
女装コンテストと書かれた文字がよく見える。

馬鹿馬鹿しいものだけれど、
自分の気分が上がっていく、そういえばこういう物事に自ら出向くことはなかった。
私も変わったな。と笑えば、
人々のざわめきが歓声に変わる。どうやらはじまったようだ。

さっき見に行ったが、勝つのは大体決まっているだろう。
結果が分かっているものを見るきにはなれないし
それに。

〜〜〜〜!!!!みてる?あっ、今からに愛の歌を歌います」

・・・・・・いったら辱めを受ける気がする。
北雪のうまいのかうまくないのかよく分からない歌を、苦笑気味にきく。
私は変わった。ひとえに彼のおかげだろう。
行き過ぎた行為に驚くことがある、驚くなんて北雪にあって以来経験したことがない。
恥ずかしとはきっとこんな感情だと思う。
北雪の行動を真正面から受け入れることよりも殴って止めたくなる。
こんなコンテスト開かなくても私の意見は変えようになく、一位は北雪だ。
トップじゃなくてもいい。いや、トップじゃないほうがいい。
だって北雪が一位なのは私だけでいい。
こんな気持ちも、北雪に出会ってしった。


そろそろ、終わる。
私の嫌な気持ちは外れたかと思えば、急に空気が止まった。
なんだ?
身構えれば、その中心地から人がこちらに来てぶつかる。
カランと陶器が落ちる音がした。それは仮面で。
男はぶつかるや否や叫んだ。

「っ、みるな!」

よく、理解できないが私は仮面を拾い持ち主に渡した。

「落としたぞ」

男が何を見るなといったか分からないが私は男の目を見て話した。
私にみられるのが不快なようだしその場を離れようとすれば、

「ま、まて。お前名前は?」

男は顔を隠していた手を外して私に言う。
それから、自分の発言にしまったという顔をして、

「不躾な真似をした。私の名前は黄 鳳珠という。お、お前の名前を聞いていいか?」

鳳珠は、私の名前を聞くとなるほどと何故か理解したように頷き。
それから。


「奴と血縁になるのは嫌だが、この際それは目を瞑ろう。

「なんだ?」
さっきから、嫌な感じがする。

「私の伴侶になってくれ」


・・・・・・初めてあった聞き覚えのある名前。きっと叔父上関係の方に、婚約を申し込まれました。













2009・2.9