IF2
え〜と、これはもしかして、
もしかするとすねていらっしゃるんでしょうか?
「北雪は、姉さまに恋してるんだ」
「は?」
「私は愛してるだけど、姉さまには恋してる」
「どこでそのような言葉を?」
「胡蝶さんが『恋と愛は違うのよ』言って、叔父上に聞いた所
『お前よりも秀麗のほうが好きなんじゃないか』といわれた」
あの人は、まったくしょうがない人だ。
前々から思っていたが、ことにお嬢様が関わるとそれはもう
輪にかけたほど酷くなる。
例えるなら、好きな子を苛めて気を惹かせようとするのとおなじ。
・・・・・・あれ?
今、ありえない考えが一瞬頭をよぎった。
「静蘭。姉さまと私どっちが魅力的だ?」
・・・・・・・・・・・・
深く考えるな。彼女のことに恋愛面に関しては、子供と同じ精神で、
ほらあれだ。
お父さん、お母さんと私どっちが好き?て聞くようなものだ!
「え〜両方ともそれぞれの魅力があって甲乙つけがたいですね」
「・・・・・・胸と足おまえならどっちだ!」
「誰がお嬢様にこんな入れ知恵した!!」
その前にどっちが足でどっちが胸なんでしょうか?
ちらりと見たのがばれたらしい。
彼女は少しふくれっつらの顔をして、
「私はまだ成長の可能性がある。そう、揉んでくれ。静蘭」
「・・・・・・お嬢様今度から胡蝶さんの所に行かないで下さい」
「そうか、揉みたくないのか」
「いえ、別にそういうわけではなく」
「では揉みたいのか」
ずいっと彼女の大きな紅い目が自分を映した。
ほのかに香る月の匂い。
子供の頃と違って成長した女としての姿。
い、いかん。何を考えているんだ。私は。
でも、
「そう「〜!!どこにいるの〜ほら今日はが好きな豆腐入り揚げ入り鍋だよ〜」」
今何を言いそうになった自分。
「今それどころではない。女をあげるかあげないかの瀬戸際だ」
「え、何が?」
入った途端に厳しい視線が刺さる。
「・・・・・・北雪は、胸と足どっちだ?」
凄い眼光でこっちを睨まれている。
きっとお嬢様が私の服の裾を離さないことが問題なんだろう。
「そうだねぇ。静蘭君は何て言ったの?」
「そうだ。答えてないぞ。静蘭」
ぜひとも聞きたいなんて笑顔のまま、自然な動作で手を移動させる。
それから距離をとらせる。
見事としかいえない手際。
お嬢様は質問の答えだけに意識がいっているようだ。
答えろとせがむ。
徐々に冷や汗を感じ始めた頃。
どうやら意識が自分に向かないことに少々苛立ちを感じたらしい。
こいつ独占欲が強くないか。
急に自分のほうを向かせ
「ちなみに僕は、足だね」
この発言にお嬢様はしょげた感じで部屋に戻っていった。
なんでって顔をしていたが、
ざまみろと思った。
彼がお嬢様を愛して恋しているのは知っていたけど、
あえて言わなかった。
この行動が意味するものが、どうか親愛であって欲しい。
彼女を欲してしまっている自分がいたとしてもまだ壁は崩れていない。
2007・11・28