夢みたいだった。君といれた月日は。



最初はなんだコイツって思った。
頭の回転もよければ顔の造りもかなりいいんだけど。
無表情で、無関心で、けど変に常識を知らなくて、
あぁ言い換えれば純粋?みたいなもんかな。

本当に人生損してる。ってくらい変な所で不器用で。

高々一日話しただけなんだけど、ほっとけない人物になった。



その後凄い人物になるのに日はかからなかった。
料理もうまいしやりくり上手だしなにより強い。
いや〜盗賊に会ったとき死んだ振りか逃げるしかないっていう僕の苦労がなくなったね☆


あ、あと医学とかも精通してて風邪くらいなら薬で一発で直せちゃう。
凄いって思ったよまじで。
で、

「どうやって習ったの?」


自分も結構色々人生波乱万丈だけど彼女よりはましだと思い始めた。


ってかなんで最初に人参100本のみじん切りって
ソレが終われば次にたまねぎって永遠と野菜を刻み続けたって。
次の日は永遠と皿洗い二週間そればっかって。料理って奥が深いし。
あと、なんで店屋、最初から一人でまかされたの?
しかも、医学って走りこみとか素振りとか必要?

聞けば聞くほど、いじめあってない?この子とか思うのは僕だけかな。



まぁソレは置いといて。
彼女が凄いのは、才能もぶっちゃけある。
けど、ソレに対する努力と忍耐と執着心。

天才でもさ。やらなきゃ凡人じゃん?そんな訳で
僕の中で彼女は凄い尊敬できる人になったわけだ。

いやはや。僕だったらそんな修行一日で辞めるねホント。
というか絶対いじめだってそれ。

気付いているようで気付いてない彼女がちょっと可愛く見えた日。
君さ。ホント変なとこ不器用だよね。


って言ったら首傾げてた。


彼女は表情を出すのは苦手らしい

が!!!!




それに対応する仕草はかなり可愛い。ちょっと鼻血でそうなくらいには可愛かった。

彼女のことだ。きっと気付いてないだろう。
それどころか自分は感情なんてないとか思ってそうだ。
ま、そこまで思ってないだろうとそのときは笑ったんだけど。



純粋?って怖いよね。



僕が彼女に恋した決定打は、絵描かせたときかな。


ちょっと惚れかけてんのは分かってたんだけど、僕、そんな長くないって知ってたからさ。
誰かを愛せるなんて頭から否定してたから、だからなかったことになんて出来ると思った。

その前にちゃんとした自覚はなかった。
言わば、友達以上恋人未満みたいな愛情?



あんときの衝撃結構重かった。
真っ白ってこんなにも美しかったんだ。

その白さに、悲しみを感じて愛しさを感じた。


どうすればこんな絵が描けるのかなんて分かってしまった。





君は世界で一人ぼっちじゃない。



そういって抱きしめたかった。
愛しいって感じた。
はなから愛を信じないこの子が。
いや、愛を知らないこの子が。


与えたいって思ったのは、同情からかもしれない。
否定は出来ないけど、もう離れられないくらいには愛しちゃったし
それにそれだけじゃないってことも分かってた。


けどさ。


それを伝えるには時間が足りなかった。
僕の砂時計はもうとっくの昔に壊れてた。


もしも僕の人生を決める人がいたなら、
もうちょっとだけって泣いて縋ってでも彼女の傍にいたのに。
生きたいと
彼女と一緒にいたいと思った途端

急速に落ち始めていった。




一緒にいたかった。
まだ伝えたいことなんて教えたいことなんて山ほどあって。

けど、最後に彼女が傍にいてくれて彼女が僕のために泣いてくれたんなら
これもいいかなって思えた。

我が人生悔いなし。みたくカッコ良く言えないけど、
実際未練たらたらだし。けどさ、幸せだって感じちゃったからそれで僕の人生を終わった。



え?なんなら成仏しろって?
僕さ。彼女に愛してもらいたかったけどそれ以上に幸せになってもらいたいんだよね。

最後まで僕を思い続けてきてくれるんならそれもいいんだけど。
彼女若いし、まだまだ生きそうだし。

ちょっとくらいなら許すってかいや、めっさ嫌だけどぉ〜。あ、口にしなけりゃ良かった。

だって僕結構我慢したんだよね。
なにアイツ。僕のに手出してんの?腰とかかってに触んないでよ。
ってか押し倒されてるし、!!警戒心もって!!
気付いて男は皆狼なのよ〜。

くそ。もうちょっと教えときゃ良かった。
唇に触れられたら孕むとかいっときゃ良かった。
いや、それが原因で結婚とかされちゃ嫌だな。


・・・・・・あ。
え〜とさ。きっと結婚とかする頃には(しぶしぶ)許せると思うし。

僕がさ最後までちゃんとしっかりと教えられなかったし、
このままだと本当の時間より早く来そうなんだよね。


幸せって色んな形があるけど、彼女が言う幸せはきっと辛い幸せだから。

僕のときは尽きたけど君のときはまだまだ動き続けている。
止めることなんて出来ない。
そして周りも君をほっとかない。


彼女がまだ生きたいと泣いて思わさせてくれる相手がいるんなら
僕を忘れても・・・・・・片隅のほうにおいてくれても構わない。


少しづつだけど、感情が顔に出始めた。
それは僕が与えられなかったもの。悲しいとか悔しいとかちょっとは感じるけど
彼らが君の事を本当に愛してくれて、

君を一人にさせないでくれて嬉しかった。

君は不器用だから、いじめとか結構気付かないし人付き合いもそこそこ出来ているようで
出来てないし、心配だったけどこれなら安心できる。


僕は見守ることしか出来ない。


君が特殊な力を持っていても僕は君の前に現れないし、助けない。


だって君は君の世界で生きて僕は違うんだ。
そうしないと君は何時までたっても僕から離れないだろうし、


人生何事も楽しくが僕のモットーだし、生きてよ。












2007・8・31