風が強い日だったのを、覚えている。


月森くんと志水くんと三人で合奏でもしようかということで集まった日だった。
二人とも音楽科の白い服が似合う。
これが、土浦くんだったらと、考えて笑った。
二人とも、顔が大変整っており、どちらともファンクラブがあるくらいだ。
そんな二人に囲まれて平凡でしかもまだまだな私が一緒してもいいんだろうか
と思ったが、金澤先生に、お前がいないと駄目だと力説された。
私は、志水くんののほほんとした雰囲気が月森くん、苦手なのかなと思った。
それじゃ、遅刻できない。
最初から、あのメンバーで遅刻を考えられないけど。
が、なんてこと私は掃除当番で。
しかも、遅れそうで走れば、曲がり角でぶつかった人は先生!
ラブコメみたいな出会いけど、それはありえないだって、うすら禿げだもの。
私の手には、大量の書類。


ごめんなさい。二人とも遅れます。


そのころ。
月森は、大変悩んでいた。
なにが、どうしてではない。
彼とはあまり話さないが、どうしてこうも、見られ続けなければいけないのか。
最初は気にならなかったが、3分間も見られ続けられた。
そういえば、近くの奴もこういうところがあったが、何か違う。
さっきから、来てくれと望んでいる人はなかなかこない。
とうとう痺れをきらし、月森は志水に向かった。

「志水、さっきからなんだ」

「僕、月森先輩が、羨ましいです」

「はっ?」

「だって、先輩と同じ学年だし、移動も行くときも帰るときも一緒だし、
身長もちょうどいいし、前、月森先輩にもらったおかし美味しかったていってました」

「な、ちょ「僕は、少ししか一緒の時間ないし・・・
はっきり言って邪魔」」

「待て、どこが羨ましいんだ。
俺は、あいつのせいで、いつも一緒のグループに入れさせれ、
あいつの世話は俺に任されるは、言うことは聞かない、よくどこかいくし
先生方のあいつの文句まで俺に来る始末だ。あと、最後の聞こえたぞ


空白。


「・・・
チッ、自慢ですか」

「お前、黒いな」

「僕だって、いつも膝枕されてるし、頭撫でられるし、そういえばおごってもらいました」

「な、なに!あいつに奢られただと?」

「はい、デートです。羨ましいですか?」

「う、羨ましいわけないだろう。
なんでか一年はあいつに変な幻想を抱いているようだが、
朝入ってくれば、三つ編みをしろとせがんできて、
コンビニをいまだにコンビーフの珍種だと思っているし、
学食では、人のものを奪うし・・・しかも楽しみにしていた奴をだ。
プリンを買えとせがまれ、あいつピンチとか言ってたのはおごったせいか?
眠いときは人から制服を奪って枕にし、授業は途中いなくなってみれば、
木の上に寝ていて、しかも俺の制服も共に。
俺はその後、わざわざあいつを下ろしに行かなくてはならなし・・・
それを、志水おまえに出来るのか!!」

「可愛いじゃないですか」

「・・・・・・」

「月森先輩は可愛いと思わないんですか?」

「はっ?」

だったら、邪魔しないで下さい(だったら、消えろ)

「本音も建前も黒いな」

「で、どうなんですか?」

「う、その・・・だな」

「はい(さっさと言え)」

「す、すこーしくらいなら
その、思わなくも

「そうですか」

「ちょ、お前なんで今楽器持ち上げてるんだ」

「いや、少し掃除をしようかと、?」

「その頭を可愛くかたむけるのやめろ、よけい怖い!!」

「ごめんなさい。遅れちゃって・・・・・
え?

私は、謝りながら扉を開けば、
なぜか、志水くんは月森くんに向かってチェロで殴ろうとしていた。
なんで、こんなことになってるの?
金澤先生の声が、頭の中で響いた。
私に月森くんが気付き、助けをもとめてきた。

「助けろ。日野!」
チッ

「えー」

志水くんが、黒い。あれ、いつものあのほわほわした癒しの雰囲気は?
月森くんが、ヘタレだ。あれ、いつものあのしっかりした雰囲気は?
私が頭がグルグルしてきてよく訳がわかんなくなってきた、そのとき。


「あれあれ、何をしてるんだぃ?」

(ちゃん)(先輩)!」

ちゃんが、扉から顔を出していた。

「なかなか、闘争心の強い禍々しい音が聞こえてねぇ。
でも、なんだか間違えたみたいだ」

後ろを振り向けば、さっきの事がなかったかのように、
いつもどおりの志水くんと月森くんだ。

「ふむ?おかしいなぁ」

うん、おかしね。

「あ、あの先輩」

「ん「先輩。こんなところにいたんですか?」」

志水くんの話を途切れさせて、
北村君がひょいとちゃんを抱きかかえた。
細身にみえて力がある彼の行動にちょっと羨ましく思ったけど、
ピシリと亀裂が入る音が聞こえた。
あ、
ヤ・バ・イ★
後ろが振り返れない。

「んー。間違えたみたいだねぇ」

ちゃんは、その空気に気付かないでのほほんとしいる。
なぜ、気付かない。

「じゃ、帰りましょうか。失礼しました。
ごゆっくり

・・・・・・見間違えかもしれないけど。
き、北村くんはいつもの凛とした笑みではなくて禍々しい凶悪な笑みだった。
その笑顔の向かい方向は・・・後ろ。

バタンと扉の閉まる音。
私も出てけば良かった。



「「あいつを潰そう」」



二人の声が重なった。
ここから、なぜか私も加わり北村くんをどうやってばれずに
ヤルかの話し合いが
下校時刻終わりまで続いた。