【カルテット】ver
なんてことか。私の目の前に猫がいる。
は猫が嫌いではない。
では、なぜこんなにもため息を吐いているのか。
そう、問題は猫自身ではない
目の前にいるのが猫っぽい少年だと言うこと。
始まりはなんだったけ。
忘れたから省略。
結果だけを言えば、私今、猫っぽい少年と歩いている。
「ねぇ」
「・・・・・・なんだい」
「お礼がしたいから家に来なよ」
「家って東京だよね?」
「そうだけど?」
「ここは神奈川だけど、私にそこまでいけと?」
「・・・・・・だったら、んちでいい」
「少年よ、君は一体どこから来たんだ」
「合同練習で、立海から」
「・・・・・・それ早く言ってよ」
駅に行く所だった、その青学の服見て。
「ねぇ」
「・・・・・・なんだい、少年」
「俺、越前 リョーマって言うんだけど」
「さっき聞いた」
「っ、だから名前で呼んでよ、」
要領の得ない会話にため息を吐くようにお腹が鳴った。
「なに?リョーマ」
そういえば、猫は驚いた顔をした。
お前が呼べって言っただろうに。
本当に、よく分からない子。
【カルテット】リョーマver
今日は、立海との二泊三日の合同練習で立海にいた。
俺は、喉が渇いてファンタを買いに自動販売機に行った。
そして、前にいるお客がいなくなって小銭を入れようとしたときに、
手首を握られた。急な行動になんだと見れば、前にいた人で、
爽やかな中年男性で、見目も悪くないのに、笑顔に寒気がした。
アメリカでもいたこういう人種。
そう、それはショタコン。
舐めるような視線で、俺をみると強い力ひっぱられる。
中学生の力では到底かなわないそれに、薄がりの路地。
嫌だ。けど、恐怖で口が開けない。
そんなときに、彼女が来た。
「おい、おっさん。何してんの」
キラキラ太陽をバックに仁王立ちで、中年男性を見据える。
俺のほうから顔はよく見えなかった。
ただ助かったそう思ったが、簡単にはいかない。
「ごめんね、誤解しちゃった?彼は僕の親戚の子だよ。ね?」
彼女からは見えないだろう男の黒い寝顔、怖くて何もいえない。
彼女はそうといってきびすを返そうとする。
男がにやりと笑う。俺は自分の行動に後悔した、震える声を精一杯出そうとしたが
小さい声で、自分でも分からないくらいの。
でも、彼女には届いた。
「馬鹿でしょう?あんた、顔ちゃんと見たことある?似ても似つかねぇよ。
性癖は自分の内なるほうにそして外には空想レベルで留めときなさいよ」
それから、彼女の行動は早く、踵落としをし再起不能になるほどの説教が始まり、
すみませんもうしませんと男に言わせた。
「大丈夫?少年」
初めて見えた彼女は、やっぱりキラキラ光ってた。
それから、どうにか口を動かして、 っていうらしい。
名前を言うたびに心が震えて仕方がない。
傍にいると、ドキドキして馬鹿みたいなこという。
家って、まだ練習してるのに、でもどうにか自分を知ってほしい。
あわよくば家族紹介か、紹介してもらって無理やり外堀から埋めたい。
は、流されやすそうだから。
一緒にいたくて、そのときばかりはテニスを本気で忘れていた。
立海のことを言えば、から腹の音が聞こえた。
腹減った。と食べ物ばかりみているから、こっちを向かせたくて、
とっさに自分の欲望を言えば。
「なに?リョーマ」
簡単に、名前を呼んでくれて、傍にいるだけでうるさい心臓がドクリと跳ねた。
そんな俺に不思議そうな顔をして、どうってことないその態度が悔しいから、
絶対振り向かせてみせる。