今日は比較的穏やかな日じゃった。
幸村も此の頃は、奴とうまくいってるみたいだ。
俺から言わせれば、まだまだ先が長そうじゃけれど、
事実よりも、幸村が満足していればテニス部は安泰じゃし、
それで良かった。
なのに。
その日、料理部があったらしく、女の子からの差し入れが多かった。
中身は、クッキーやケーキ、誰がそんなに食べれるんじゃと言うほど貰って
俺は口の中の甘さを想像し吐きそうになったので、
横で喜んでいるブンちゃんに、あげといた。
両手一杯なブンちゃんは、俺からのも凄い喜んでいて、
将来糖尿病にならんようにだけは、忠告しといた。
「ありがとう」
声に反応して見てみてみれば、
可愛い女の子から菓子を笑顔で受け取っている幸村がいた。
このごろ、幸村の声に反応してしまう。
なぜかは、あのノートを見た後の嫉妬もとい、制裁からだ。
内容は言いとうない。しばらくは夢でうなされるという位のもんじゃ。
もう俺は二度とごめんぜよ。
俺は、幸村から顔をそらすと、参謀が走っているのが見えた。
少し慌てている参謀を見るのは珍しいと、見れば。
・・・・・・なにしとんじゃ。
俺は、幸村が気付かんうちに、参謀が一刻も早く帰ってくるのを待った。
あの制裁を受けるのは嫌じゃが、見るのも・・・もう一度思い出しそうで、ごめんじゃ。
しかし俺の願いは虚しく、俺達が服を着替えるまで参謀とは、話し込んでいた。
おいおい。参謀の奴、何を話しこんで、しかもあんな嬉しそうにしとんじゃ。
参謀らしからぬミスは、言ってしまえば と言う人物がなせる技だと思う。
真田にしろ参謀にしろ中学生らしからぬ彼らを、はまっとうな中学生にみせる。
もちろん自分もだが。
服を着替え終わり、当たり前に目立っている二人に、幸村がいい笑顔で近づく。
幸村からの冷気が半端ない。真田すら口を開くことはない。
俺達一行は、葬式の参列者に似ていた。
そんな中でも、空気を読まん赤也が、何か言いそうだったが、柳生によって止められていた。
柳は、肩に置かれた手に気付いて振り返り、真っ青な顔をしている。
口を開こうとしても、笑顔満開な幸村の雰囲気に飲まれ、何もすることが出来ない。
ご愁傷様じゃ。柳。
だが、空気読まないのは赤也だけではなく、は柳をのけて幸村を見つけると。
「あっれ、幸村じゃん、丁度良かった。あ、もしかして柳は、そのために来たの?」
「そ、そうだ」
何のことか分からないが、が、かなり近くまで幸村のところまで来ると
幸村は柳を離し、コレでもかと言うほど顔を赤くさせた。
皆が違った意味で固まったが、向けられた当の本人のはなんの反応もせず、
袋から何かを取り出し満面の笑みで幸村に渡す。
「いやーさ、部活終わって、色々貰ったからあげようとしたんだけど、はい、これ。
幸村には、特に一番大きいのをあげよう」
渡されたのは、大きな海老センベエ。
なぜ、それ?
はみなの様子など気にせず、周りに配っていく。
そして俺のところに来ると、は驚いた顔をした。
「あれ、仁王ってテニス部だっけ?アハハハハ」
「なぜ笑うんじゃ」
「いやさ、だって、俺の技に魅せろ、キラーン☆とかテニス部って言うんでしょう?
仁王もあれ言うのかと思って」
「あれは、どこぞの部長だけじゃ。それだったら、幸村も真田も言うことになるじゃろ」
そう言ったら爆笑した。
どっちにと言わなくても分かる。
小さな声で真田が、キラーン☆ってと言って地面をバシバシ叩いとる。
それにしても、誰がそんな間違った情報を言ったのか。
変な顔をしていれば、後ろから大きな声が響いた。
「!なぜ俺のだけ、ところてんなのだ!!」
「あ、それ当たりだよ。当たり。やったね。真田」
む、そうなのか。と納得している真田。
笑いを堪えている。からかわれている、確実に。
「これうめー」
「おお、赤い君よく分かるね。それはかの有名な洋菓子屋サンの子供の出来で」
「は?和菓子屋じゃねぇの?それと俺は丸井だ」
「家で洋菓子、学校で洋菓子ってそりゃ嫌になるって話だよ。丸井か、惜しくない?赤いって」
「ふーん、そんなもんか?まったく惜しくネェよ」
コントのようなことをしている丸井とを放っておいて、一番気にしなければいけない
人物をみれば、海老センを持って、ピンクのオーラを出し、
「俺のが一番大きいってフフフフ」と言いながら柳を叩いていた。
顔を凄い顰めて相槌を打っている柳を見ない振りをした。
俺は平和な明日のこと考えて、に言った。
「のう、おんし、今から帰るんじゃろ、なら俺らと一緒に遊ばんか?」
ナイスと誰かから声が聞こえた・・・・・・気がする。
2009・5・31