このごろは、真田だけでなく幸村とも仲良くなった。
幸村は、可愛らしくも綺麗な顔と違って、男前でかっこいい所もある、
と真田が言う。
言われた私としては、え、そう?幸村って顔どおり可愛いじゃん。だ。
そういえば、老け顔は、複雑な顔をした。

幼馴染とつい最近仲良くなった私とでは、対し方が違うのはしょうがない。
そう、割り切りながらもいつか彼のそんな姿をみたいと思う。
だって、知り合えて、いい奴で、綺麗で可愛い子だったら、仲良くなりたい。
それは当たり前でしょう?

は、小さくあくびをした。食べたら眠くなるという本能にはあがえられない。
しかし、は手に持っていた一袋の紙袋をみて笑みを浮かべた。
今日は、部活・料理研究部があったのだ。料理研究部は、料理部とはまた違う。
自分の興味あるものしか作らない。
クッキーを作りましょうと言われれば、たい焼きがでてくる個性豊かな人々で構成されている。
そして、いつ部活があるかは、一日前に言われる。
二ヶ月ないときもあれば、毎日あるときもある。
そんな個性豊かな人をまとめている部長も曲者で、
不定期な理由が、毎日ケーキでは体に悪いというわけ分からないことを言っていた。
ちなみに、うちの部活でケーキが作られたことは今まで一度もない。
が入ったのは、不定期と言うことと料理研究部は
皆ある方向だけに力を入れているので、そこらで食べるより美味しいということだ。
そして一番の理由が、彼女、彼らは、ある一定のものにこだわる為、
大量に作る。つまり、自分達では処分できない量を。
そこで、は彼らに目をつけられ『君の胃袋、満たします☆』と、言われてしまえば、
食が生活の比重の大部分をしめているにとって願ってもない話だった。
つまりだ、餌につられた。
それが、他の部活からの誘いを全部断り、未だ部活勧誘されるが、
料理研究部というマイナーな部に入った理由。
自分らしくて苦笑しか出ないが、
入ってみれば、あの独特の雰囲気もはお気に入りで、
部活が終わった後のはいつも機嫌がよかった。


下駄箱にくると、は見知った人物を見つけた。
何をしているのだろうか?と疑問に思えば、手には可愛らしくラッピングされたお菓子。
ちなみに、彼女らは料理部だ。
ほほう、誰かにあげるのかね?青春、青春、と若干親父臭くなりながらも、
微笑ましく彼女らを見守っていた。
そして、機嫌が良かった彼女は自分の知り合いに分けてやってもいいと思い、
その場を後にした。

「あれま」

が、向かった先には、さっきの彼女らもいた。
そういえば、『幸村同盟』をしているのだから当たり前か。
それよりも、女の多さに、ビックリだ。
流石は、テニス部と言った所か。
人の多さに、面倒になったは違う奴らでもいいかなと、思い足を方向転換しようとすると。

「待て、

肩を掴まれた。
少し息が上がっている中学生にしては背の高い、といっても真田と同じくらいで、
黒いややパッツンな髪は息をするたび揺れて、
そして、目が開いていないテニス部の格好をした男子生徒に。
は、そいつの顔に見覚えがあった。

「君、いつぞやのストーカーじゃないか」

「ス、ち、違う。情報収集だ」

「うん、知ってる」

「・・・・・・そう言う可能性は」

ブツブツとなにか言っているストーカーは、の肩をしっかり掴んでおり、
そろそろ家に帰りたくなったは、すっと体の重心を下にすると、
拘束を逃れそのまま正面口のほうへ歩いていった。
慌てた、柳は、に声をかけた。

「待て、と言っているだろう」

「なかなか話さないから、家帰ってもいいのかと思って」

「まず、止まってくれ」

は、しぶしぶ止まると柳と顔を合わせた。

「なに?」

「まず、俺は柳 蓮二だ、ストーカーではない」

「うん、知ってる」

「・・・・・・次に、お前はテニス部に来て何か渡すものがあったのだけれど、
人の多さに嫌になり、違う所この場合、サッカー部に行こうとした?違うか?」

「凄いな。あたってるよ」

「可能性76%だからな」

「微妙な数字だ、適当に言ってるだろう?」

「いや、これはデータに基づいたものだ」

「ほう、して公式はなに使ってんの?」

「・・・・・・興味があるのか?」

「わりと」

そこから話し込んでしまい、
が結構面白いな柳ってじゃぁ、そろそろ帰るよ。またね。と言うまで
柳は本来の目的を忘れていた。

「待て、それが本題では「なにしてるの?柳」・・・幸村」

は、見知った声を聞き、後ろ振り返った。
いつの間にか部活は終わったらしく、メンバー全員がずらっとそろっている。
結構長い間、柳と話したもんなーと柳をみればなぜか青い顔をしていた。


なぜ?









2009・5・28