同じクラスにテニス部の奴がいたら、クラスの女子はほとんど好きになる。
鼻で笑った噂は、今思えば大げさではなかった。
このクラスには、幸村精市と真田弦一郎がいる。
クラスの女子のほとんどが、幸村に惚れている。
真田にもいるけれど幸村のほうが多い、顔はいい顔しているのにきっと老け顔だからだろう。
かわいそうに・・・これで中学生だとは子供料金でいくのは証明書が必要だな。
私は、食べかけのクレープを見た。
「真田、これやるよ」
「いらん!」
人が、泣く泣く渡してやったというのにこの野郎。
かわそうなチョコバナナクレープ、
真田はエロイから変なことを想像したんだよ。だから食ってもらえなかったんだ。かわいそうに。
といえば、真田は顔を赤くして怒鳴った。
分かるだけむっつりエロだな。
私は真田を無視して、遊園地で遊ぶ二人の友人と幸村を見た。
なんて絵になる光景だろう。エロゲーでも、ギャルゲーでもこの状況はなかなかない。
両手に花ではなく全員花って。もしかして花ではない私たちは省かれたのだろうか。
いいや、そうではない。
「なぁ、真田。絶叫マシンが駄目なお前は正直笑えるけど、
絶叫マシンが好きすぎる美人は、びっくりだな」
「・・・・・・俺はが駄目なほうにびっくりだ」
「はっ?別に駄目じゃないけどさ、三回も同じもん乗るのって飽きるじゃん」
それにあそこから見えたんだよ。クレープ屋。
そういえば、一回乗ってからグロッキーな真田の横のベンチでもくもくとクレープを食べた。
状況からいうなら、ここは遊園地だ。
かなりの戦いでグループワークを一緒になった私たちは、団結力には遊びが必要と
訳分からない友人の力説に、なぜか頷いてしまった彼らと一緒に遊園地に来たのだ。
真田は分かる。彼は意外と馬鹿だ。けれど幸村が頷くとは思ってもいなかったので、
もしかして二人のどちらかの思いは叶うかもしれない。
それにしても、クレープのクリームの量はどうしてこんなに多いのだろう。
手についたクリームをなめ取っていると、真田の顔が青くなっている。
吐くのか?と横にあるお茶をとって真田に渡そうとする。
「真田、飲「さん、真田見てくれたんだ、ありがとう。真田、さんに迷惑かけちゃいけないだろう?」」
エンジェルスマーイルが私の顔に突きさっさた。
なんて綺麗な笑顔なのに、うっすら鳥肌が立った。
次の場所に移動しようと二人がうながし、幸村が行こうと手を出したが
そういえばさっき手を舐めたばかりなので、流石に悪いので断り、
立ち上がった真田の服でふいた。
「何をしているんだ?」
「真田が、よくなるようなお呪いだよ」
彼はなんと信じお礼を言われた。そこはかとなく悪い気がしたので、
お茶を渡した、今度はちゃんと受け取ってくれた。
どこかから視線を感じたが、きっと子供を誘拐した大人とでも見られているのだろう。
ちゃんと説明してやる、ロリコンじゃないって大丈夫だ。警察から守ってやるよ。
の意味をこめて真田に
「大丈夫だ。守ってやる」
といえば、真田がふいた。汚い奴だ。
ごほごほとふきながら、俺じゃなくて・・・もっと、とか言っていたが
なんといっていたか分からずに、前にいる幸村と目が合ったので、
真田を急かした。
ゲーセンにて、
「真田初体験」
ボソリと突っ込むと赤くなった。こいつはシャイでいけん。
だから私のようなやつにからかわれる。
クレーンで必死こいている奴のすぐ横で幸村もクレーンをしていた。
意外なことに幸村も苦手のようでおしいところで人形を落としていた。
可愛いか可愛くないかと聞かれれば微妙すぎる人形に金を使い込む姿に、
段々おかしくなって、笑えば幸村がこっちをみていて、ちょっと睨まれた。
私は幸村の前に出ると、お金を入れる。
これはコツがあるんだ。頭が重く出来ていて軽い足のほうを掴むと、そのままひっくり返り
見事に穴の中へ入った。人形をとり幸村をみれば、悔しそうな顔をしていたので
こいつ負けず嫌いなのかと人間らしい幸村に安心した。
「それ、あげる」
そういって押し付けるように渡す。正直いらない。
えっと声が聞こえたが、そのままシューテングのほうへ足を進めた。
「凄いな。」
「本当に。俺初めてみたよ。終わったときに拍手されるの」
「って、こういうの得意だよねー。どこで仕入れてくるの?その技」
「全国ランキング一位更新って、凄いよね」
そう言われて渡されたお茶を飲む。
久しぶりに気分がいい。
だから、どことなく頬が赤く染めて乙女のように私をみる幸村なんて気付かなかった。
2009・4・19