静かだ
昔といっても一週間も前の話だけど
その時は外から野球部や陸上部の掛け声が聞こえたはずなのに
今は書く音や捲る音しかしない
手の動きが少しだけ遅くなった
ため息?
ついてどうにかなるなら一生ため息をつきつづける
ぼーっとしながらも手を動かす
ここ一週間程私雲雀先輩に殴られてないな
まぁそうだね
「出来ました雲雀さん」
玲奈が可愛らしい笑顔で雲雀先輩に書類を渡す
その笑顔は女の私でもドキッとするほどのもので
雲雀先輩は男なんだからなおさらだろうと思うけど
先輩は書類しか見てない
満足げに見終わると私の方へ視線をやった
YA BA I ☆
「で?」
雲雀先輩の目をみないようにして
きっと他人を殺せそうな目をしている
私は目の前の白い所が大半ある書類をみた
「・・・まだ出来ません」
雲雀先輩はため息を吐く
その姿は意地の悪さしかでていない
いっつもこの時間にできていないだろう!!
といいたいがかみ殺されるので言わない
玲奈はツツツと私の横へくると
「ちゃんのぶんもやっとこっか?」
私のほうからみれば分かるのだが玲奈の顔には
二人っきりにさせてと出ていた
「えーと・・・・・・頼みます」
ふわりと甘い香りがした
私は彼女のあの時の言葉を思い出す
本気だったんだ となんでか第三者の気持ちな自分
それもそうなんだけどね
だって私は
「じゃぁすいませんがお先に」
そういって席をたちカバンを持って出ていこうとすると
雲雀先輩に睨まれた
何か言いたそうな顔をしていたが何もいわず席に座った
先輩からみれば仕事を押し付けて先に帰るのだから当たり前か
殴らないことに不思議に思いながらも私は外を見る
夕日だ
オレンジ色に染め上げられた空間に美を 寂しさを
感じるわけもなく
ただの絵の具の色と同じようにしか認識できない
それから徐々に闇が侵食する
一人の帰り道
私は今の応接室に居る二人を想像する
彼女は時期を間違えない
そして雲雀先輩は少なからず彼女を拒まない
・・・・・・私よりも
明日自分がどのような行動をとらなきゃいけないか考えて
めんどくささしか覚えなかった
なーんだやっぱり
私は雲雀先輩を好きじゃないのか
胸の痛みなんてまったくなかった
それはそうだ
私は端から玲奈と雲雀先輩がうまく結ばれることしか考えていなかったのだから
シナリオ通りとは笑った
しかし本当は笑えてなかった
その姿は笑うとはかけ離れた顔をしていた
「ねぇ雲雀先輩私と付き合いませんか?」
応接室に甘く響いた
2008、7、6