口から出た血をふきながら宗主はをみた。
の瞳は相変わらず茶色で、
怜奈にも似ているもののまったく違った輝きを見せる。
怜奈のが向日葵の色ならば、のはビールの瓶の色。
そんなちゃちい作り物のような目の色が、愛おしかった。
目の前にいるのは、あの時から何年もたったなのに、
あの時と変わらないが目の前にいる。
最初、出逢った時に奇跡だと思った。
目の前から色や音を消し去ってもなお色ずくその存在。
に触れたい。
けれど、手の自由が利かない。
皮肉なものだ。こんなにも近くにいるのに遠くにいたときのほうが自由に触れた。
「なぁ、もしもお前と俺が刺青なんてなくてさ、
幼馴染くらいで
京洛家とか関係なくて
それで、お前に好きだといったらなにか変わったか?」
なんて言葉が口からでて笑った。自分の子供じみた発想に。
馬鹿馬鹿しい。
そんな思いをは罵倒するわけでもなく、目を瞬きさせ考えている。
「・・・・・・どうだろう。
変わらなかったかもしれないし、変わったかもしれない。
けどIFなんてどうせならないことの前提でしょう」
お前らしい返答。俺がお前だったら同じ回答をしているだろう。
「だな」
そうだよな。哀しくなるくらい俺達は生まれたときから決まっていた。
俺は京洛家長男として、お前は桜華家長女として、
俺とお前はよく似ていた環境にいた。
「これからを話そう。一己まだ生きてるでしょう」
けどな、。
お前はやっぱり俺とよく似ていたけれど俺に似てもいなかった。
俺がお前なら、そんなことは言わない。
未来をいってくれるお前は、やっぱりあの頃と変わらず輝いていた。
それが俺に眩しすぎで苛めたり嫌なことしかできなかった。
今だって、照れてるって知られたくなくて皮肉を言う。
「ポンコツになったが?」
「私もなりかけたし自業自得」
「そうだな。最後戦うか」
「いいね」
体が、ギシギシなる。体がボロボロだ。
それでも、が目の前に構えをして
その構えをみれば、笑みしかでない。
お前は、そんなやつだ。
最高の技をボロボロの俺に向ける。
「やろうか。弱虫」
そういえば、は初めて俺に笑いかけてくれたきがした。
。
。
。
俺に弱虫というお前が嫌いだった。
笑いながら見下しながらどこか自分をあざけ笑うような。
なぁ、弱虫って自分のことだったんだろう?
俺に言ってるようで自分に言ってたんだろう?
本当は、指摘されるのが怖いんじゃなくて、指摘して責めて欲しかったんだろう。
罪だって罰だって誰かに言って欲しかったんだろう?
お前が怖かったのは他でもない自分だったんだろう?
じゃぁさ。もう、大丈夫だよ。
お前は俺にはならない。
お前は俺と違って弱虫じゃない。お前は強い。
力の問題じゃないぜ?
だってさ、
俺はあの日お前に会ってから一生敵わないって思った。
俺とお前は父親に認められたいって思ってるようだけど、
俺はお前に認められたかった。
奇跡だったんだ。
お前と出会えて、やっと生きていると思ったんだ。
力以外知らないはずなのに、お前は俺に愛を教えてくれた。
惚れたほうが負け。いい言葉じゃねぇか。
「俺の負けだ」
大の字になって倒れている宗主は傷だらけの体でそういった。
顔は、最初よりも穏やかでどこか晴れ晴れしく笑っていた。
「、お前がこれから宗主だ」
その言葉で、京洛家の重鎮どもがに頭を下げた。
ここに、京洛家の歴史が変わった。
良い方にかは分からない。けれど、確実に京洛家は変わるだろう。
は、一人庭園に来ていた。
そこは他と違い何も置かれておらずただ野原だけが広がっていた。
ここで、よく一己に苛められ、前宗主に鍛えられた思い出がある。
苦く懐かしい思い出だ。
そういえば、自身の髪の毛をみる。
髪をゆうものがなくなってしまい、今は風にいいようにもて遊ばれている。
髪の色はもう元に戻らなかった。いいや、本来の色がコレなんだ。
桜華家の跡取りとなるものは例外なくみなこの色だった。
色で思い出すのは、スクアーロだろう。
彼とであったのは、あの試合が終わったときだった。
父さんに叱られたときだったかな。
それで、泣いている所に出くわしたんだっけ。
いやな所を見られたものだ。
遠くで笑い声がする。
ツナ君たちも混じって宴会をしている。
時々だが、京洛家はアバウトすぎる。なんでさっきまで殺そうとしていた相手を
交えて宴会ができるのか。そして、宴会の準備が最初から出来ていたのはなんでだろうか?
柊は、表情が見えない格好をしながらもよく分かる表情をしながら私に話しかけてきた。
「京洛家は、宴会好きで有名ですから。
どちらが負けても勝っても宴会するでしょうね。
ああ、そういえば賭けもあったんですよ?
一部ですけれど・・・・・・どうします?取り押さえましょうか?」
別に、そのくらいいいといえば、柊は笑いながら。
「ウフフフフ、様らしいですね。ああ、これからあなた様の下で働らくことができると思うと
ウフ、フフフフ。最高です」
とても気持ち悪かった。手握ってもらっても?といって手を握れば鼻息を荒くし、
一生の家宝とかいいながら気絶した。
フ。そういえば昔から柊はそんな感じだった。
光があるところに写真機構えている柊、なんてたびたびあった。
離れていてすっかり忘れていたが。
風が揺れる。手入れをされた野原がサワとなく。
ここは終わってしまった場所。
だから、貴方とのこともここで終わるのかもしれない。
私の白い髪が揺れる。昔から貴方の気配が読めていましたなんて言ったらびっくりするかな。
ねぇ。
「なんのようですか?恭弥先輩」
2009・2・8