部屋に入ると並盛の頂点こと応接室の主でもある
雲雀 恭弥はいた
いるだけなのにかなりの圧力を感じる
ああ、怒っているな
時計を見れば数秒の遅刻
でも遅刻
……今日も殴られる
身構えていれば、雲雀先輩は私の後ろをちらりと見て
「だれそれ」
「え〜「京洛 怜奈!ちゃんと姉妹なんだよ」
答える前に怜奈は答えた
少し興奮しているようだ
そうだろう だって
「ふ〜ん」
雲雀先輩は関心のないような顔をして書類に目を移した
けれど他者を嫌う先輩が怜奈を認めた
ここにいてもいいと
私はその出来事をまるで映画を見ているような気がして
叩かれなかったことをほっとした事実に少しだけ笑いが出そうになるのをたえ
自分の書類を見る場所へ行った
怜奈は私の傍に一緒に来ると
「えへ。ちゃん私もすることない?」
「えっとじゃあこれを」
「分かった」
そういってから私が一枚終わるまに三枚
次に渡すと一枚の間に五枚と
これは私の仕事が遅いだけでなくて
「なんだ君より仕事速いね」
雲雀先輩はいつの間にか書類に目を離して怜奈の事を見ていた
「怜奈は器用で回転もいいんですよ」
私は笑う
「へぇー君と逆か」
先輩は嘲笑する
仕事はいつもの倍早く終わった
一重に怜奈がいたからだ
私はいつもよりも少ない書類だけですんだ
帰るとき怜奈は先輩をみてきいた
「あのまた来てもいいですか?」
「・・・(使えるし)いいよ」
「ひどいです。雲雀先輩私のときはあんなに反対してたのに」
「だって君」
「なんです?」
「使えないし」
「はぅ」
私は言う言葉さえなくして隣にいる怜奈を見れば幸せそうに笑っている
それから私を見て音が出るんじゃないかと思うほどの笑顔をした
帰り道
怜奈は応接室までの会話のなさがウソのように話した
すべて雲雀先輩のこと
名前を聞いて怜奈は
「へ〜雲雀 恭弥っていうんだカッコいいね」
「はい」
「ねぇちゃん
本当にちゃんはお父さんと逆の人を好きになるよね」
そのとき私の世界が止まった
足は動いている音も動いている映像も動いているのに
止まった
怜奈は続ける
私がどうあろうと、どうなろうと、彼女は痛まない
「ねぇちゃん私雲雀先輩が欲しいな」
ああ、貴方ならそういうと思っていました。
神様 私は今笑っているでしょう?
2008.7.1