賑やかで明るい光が差し込んできた。
俺たちは、皆そろって寿司を食べて、笑って、勝った余韻に浸っていた。
何か足りないことなんて、見ない振りして、
でも、ふとした瞬間に思ってしまう。
どうして彼女はいないのか。
そろそろ、寿司でのお祝いも終わったころだ。
もう、女の子達は居らず、ガラスから溢れてくるオレンジの色を見ていた。
山本が、俺の横に座った。
山本の手には、ジュースが入っていてオレンジ色のそれが俺の顔を映し出した。
夕焼けが、俺をオレンジに染めているのか、ジュースが俺を染めているのか。
よく、分からないけど。心の中でなにかがくすぶっていて、
俺に、信号を送っている。
「ツナ」
「ん?」
「は、どこいっちまったのかな」
横を見れば、山本は俺と同じ方向を見ていた。
顔からは、いつもみたいな笑みはなくて、
どこかへ魂がいってしまった顔をしていた。
俺は、何も言うことができずに
じっと飲まれることのないオレンジジュースを眺めていた。
オレンジジュースに映る俺の顔は、山本と似たような顔をしていた。
見ていた方向のガラスの光が急に強くなって。
急に大きな影が現れた。
一瞬、彼女だと思ったけど、そこには戦っていた敵が姿を現した。
叫ぼうかと思ったけれど、彼らはそういう目じゃなくて。
「なんだ。お礼参りか」
そういって、爆弾を取り出した獄寺くんを止めていた。
彼らは、切羽詰った声で言う。
「言わなければいけないことがある。さまのことで」
「ギャハ」
「あなた達ならとめれる。さまを助けて」
二人は、俺達に頭を下げた。
二人の前に、お茶が置かれた。
その向かえに俺達が座る。
いや、さっきまでいなかったメンバーを加えて。
ピリピリとした殺気を感じる。群れているからだろうか。のことだろうか。
その横に、怜奈が座っている。二人を睨みつけるように。
なんで、二人がいるかって、そりゃ。
・・・・・・頭に鈍痛がする。
俺の家庭教師様のおかげです。はい。
リボーンは、そのままテーブルに乗り、煉と燐と呼ばれていた双子に聞いた。
「で、どういうことだ」
「ギャハ」
燐と呼ばれた男の笑い声ともつかない声が合図だったかのように、
二人は話し始めた。掛け合い言葉のように。
「さまは、宗主の元へ行った」
「ギャハ、殺されに行った」
「ど、ういうこと?」
「さまの病気、アレ俺らのせい」
「僕たちを庇ったから、そうなった」
「ギャハ、あの病気を、解くことが出来るのは、一人だけ、かけた人間だけ」
「宗主だけ」
「あの方は、言った。もう縛らずに生きろと。私もやっとそう生きれるって」
「あの方は、きっと宗主を殺すつもりぃ」
「生きていても、飼い殺し」
「そうなれば、あの方の自由もない、あの方はどの道死ぬつもり」
山本は立ち上がって、燐の首元を掴んで大声で叫んだ。
「なんだよそれ。どういうことだ。は死ぬって」
「ギャハ」
煉が首が絞まっている燐を助けるように山本の手にそっと手をのせて言う。
「そうならないために、僕らは来たんだ」
何もすることのない手に山本は冷静になり手を離して椅子に座った。
「あなたも、殺気を納めてくれない?」
煉は、苦笑して雲雀をみた。
「僕らは、あの方に生かされた恩があるんだ。だから、死んで欲しくないのは一緒だ」
綱吉が、小さく手を上げた。
「あの」
「なんだぁ、ボンゴレ」
「あなた達のせいっていうのは?」
双子は、その質問に互いの顔を見合わせ頷いてから口を開いた。
燐は、お決まりの笑い声を言わずに話し出す。
「俺達は、一度死んだ。あの日あの時、
なんで生きてるのかって?そりゃ誰かが変わりに死んだからだ」
2009.1.10