家族とは?



今日 学校で家族についてという難しい宿題を渡されました。


「うぅ〜ん」

一文しか書いてない同じ箱が綺麗に整列された紙を見つめる。
見つめても字が勝手に浮かび上がってくるわけでもないのだがそれ以外なにも出来ない
手に添えられているシャーペンは芯を折るということだけにしか使われていない。 


「う〜ん」


「うるさい」


「あ、お疲れ様です」


「さっきからなんなの」


「家族についても宿題なんですよ」




遠くのほうで懐かしい声で私を呼ぶ

何を言っているのかはっきり聞こえない
そんなはずはない
本当は聞こえている

けど
けど

私は弱いから
聞こえない振りをする




「君って時々変な世界へ行くよね 病院行ってきなよ」

いつの間にか声が変わっていた。


「へ」

うわぁ 雲雀先輩の顔がぁぁ近いですよ


「こんくらいで顔に出さないでよ」


「そんなこといわれても」

だったらやらないでくださいよ。なんていえることも出来ず
どちらかというと顔を近づけて欲しい

・・・なんか破廉恥ぃ

余計に赤くなった顔は
いつの間にか自分のデスクに座って仕事している雲雀先輩にギロリと睨まれて青くなった。
急いで顔を戻す。


原稿用紙には与えられた題と名前

名前


血のつながりを家族と呼ぶなら私にとって    

ぶんぶんと頭を振る

そして家で私を待っていてくれる人を思い出す


「行ってくるね。鏡ちゃん」


「は〜い今日も元気で頑張ってね〜」


どうみても顔に隈ができまくりでそっちの心配をしたほうがいいというと
笑顔でチョップを入れられた


きっと今頃まだ夢の中にいるだろう
くすりと思い出して笑う


そして文字を連ねる。



『私の家族は鏡ちゃんというオカマで、




幸せを書き連ねていく結んで結んで
けど幸せの中に不幸もあるのだということを知っていたはずなのに
そのときの私はただ幸せだけをむさぼっていた。





「今日は転校生を紹介します」



ほら、はじまる
いいや終わるんだ。







2008.5.27