チェルベッロに向かい合っている人に綱吉は声をかけた。

「まって、あなたは?」

「柊と申します。どうぞ宜しくお願いします」

「へぃあ」
いきなり手を握られ綱吉はすくんでしまった。
得体の知れず、目しか見えない、威圧的な格好をしている柊と呼ばれる人は、
瞬間移動の速さで自分の元まできたからだ。
横に居た鏡が綱吉の質問に答えた。

「こいつはね、京洛家の記録書よ
京洛家のなんらかの大掛かりな闘いのたびに記録をつけているわ。
簡単に言えば、ヤジ馬ね」

「フフフ、相変わらず口が悪くいらっしゃいますね」

袖で、口元をかくす。
もともと布で隠れているのにその行動に意味はあるのか。
と綱吉はそんなことを考えていればリボーンが前に出て来て。

「で、なんでお前がこの闘いに介入できるんだ?」

フフフと笑い、柊はヴァリアーの2人を指差した。

「彼らも京洛家だからですよ。本家ではないですけど、
フフフ、なにやら面白そうですので、ついこちらのほうに足が向かってしまいましてね
フフフ来て正解でした。懐かしい方々に出会えた。
それだけでも、今日は得した気分ですよ」

ちらりと、鏡をみて目を弓やりに細める。
鏡は柊をみずに嫌そうに顔をしかめるだけだった。


チェルベッロが、校庭にある円形ドームを指差しながら今回の闘いについて説明する。

「このドーム内には夜よりも暗くなるように光を遮断した特殊なガスを
使用しています。二人対二人の闘いです。
どちらか一人でも、参ったといった瞬間負けが確定します
また、どちらか片方死亡した場合も同じです」

リボーンは鏡の肩に乗った。

「相手は誰だ」

「煉と燐、双子の兄弟ね。連携プレーが得意でそれに関して言えば
京洛家でも一、二を争うくらいね」





ドームに入ると、夜よりも暗い闇があった。自分の手すら見えない。
はじぃと闇から目を逸らさずに見続けると段々目が慣れてきた。
コレも一重に森での練習だろうか。
横に居る怜奈に声をかけようとしたが、煉によって遮られる。

「『至宝の珠』と闘えるなんて、僕等はとてもついているね」
「ギャハついてる!ついてるぅぅぅ〜」

そういって笑いあう煉と燐の姿。
その言葉に、綱吉が反応した。

「『至宝の珠』って」

「怜奈ちゃんの呼び名よ。
怜奈ちゃんも、まだまだ伸び盛りで強いからねそう呼ばれてるのよ」

「勝てる見込みは?」
リボーンが問う。

「そうね、一対一なら怜奈ちゃんのほうが強いわ。
問題はちゃんね。どうするのかはしらないけど」

間をあけると鏡が、ドームの怜奈とに向かって大声で叫んだ。

「頑張りなさい!あ、ケド顔に傷つけちゃ駄目よ!!」


その声を尻目に試合は始まった。
チェルベッロの声と柊のシャンという音によって。







2009.1.2