霧の守護者が終わって、次に雲の戦いだと思えば、チェルベッロが言う。

「次は、月と星の守護者の戦いです」

初めて聞かされた守護者に頭を捻る。
綱吉は、横にいる小さな家庭教師に聞いた。

「なぁ、リボーン。月と星の守護者って誰?」

「おまえも、よく知っている奴だぞ」

リボーンは、そういってニヒルに笑い、前を見ろと綱吉の背中を蹴った。

「この闘いは、勝敗には関係ありません。勝ったものは、ボンゴレ次期ボスにつくこととなります。
月と星は、夜属性。真っ暗な闇を照らす光。場所は、校庭です」

綱吉は、まだ現れない自分たちの守護者に嫌な予感がして校庭にいけば。
そこには、京洛姉妹と雲雀さんと、それから赤いスリットが際どいところまで入った
背の高い妖艶な美女がいた。着ている者全てが赤く、
唯一ファーのついたマフラーだけが、白い。赤い唇、黒髪。
綱吉は、その人物に見覚えがあった。

「京洛さんたち!雲雀さんもいるし、あれは、鏡さん?」

鏡をみて綱吉以外の守護者は、口をあけて呆けている。
その姿に、は頭に手を当てた。

「鏡ちゃん。私逃げていいよね」

「あらあら、お子様にはまだはやかったかしら?」

ウインクをしてハートを飛ばすも、
声が低いことにみな頭が飛んでいる。
それからの、みんなの反応はマチマチだ。
京平は、女子がそんな格好したら冷えるぞ。と、注意をし、
獄寺は、カ、カマか?いや、背のでかい女かもしれねぇ、と唸っていて、
山本は、こんちは、俺山本 武っていいます。と自己紹介している。
怜奈は、の胸倉を掴み鏡や皆のいる位置から離れると

「な、なんで鏡さんまでいるの?ちょっとちゃんどういうこと」

思いっきり揺さぶった。は、目を回しながらようやく
揺さぶりを止めてもらえると口にした。

「だって、着いてきちゃったんですよ」

そんな二人の間に、何時の間にかにゅっと現れた鏡。
は平静で怜奈は慌てている。

「大丈夫よ。私の友達も連れてきたから。応援は多いほうがいいのよ」

なにが、大丈夫なんですか?とが言おうと思えば
雲雀からぶつぶつと小言が聞こえてきた。

「うるさい・・・咬み殺したい」

「恭弥先輩ダウンダウン」

押さえつけていると鏡に何か言っている怜奈を指差して綱吉は叫んだ。
「えー。月と星の守護者ってもしかして!!」

「そうだ。京洛姉妹だぞ」


皆でわぁわぁ言い合っていると。
ヴァリワー側で、あのーという声を聞こえた。
煉が、手を振っていて爽やかな笑顔で話しかける。

「試合、初めてもいい?」

あっと、いう声が出そうなほどみんな我に返り、
それが、合図のようにチェルベッロが皆になにかを配り始めた。

「皆様、これをつけてください」

黒くてごついゴーグルを綱吉はかけた。
闇の中でぼやけてみえたみんなの顔がはっきりと見える。

「これは」
「暗視スコープだな」


みなが、それを手にもつとボンゴレ側に皆が集まった。
リボーンに綱吉、獄寺、笹川、山本、雲雀、ディーノ、コロネロ、シャマル、鏡
ギュレル、ロマーリオだ。

怜奈とは何ももたずに相手を見ている。
煉と燐は、なにやらにやにやと笑いながら

「そうそう言い忘れました。僕等にも応援がいるんですよ」
「ギャハ、あいつ、希薄だからな」

その言葉に、すぐさま反応して鏡は自分の後ろを見た。
後ろにいたのは、白装束に広い笠をかぶり、口には白い布で覆われ
手には、先端に輪が何個もついている銅でできた杖・錫杖を持っている。
目しか見えない男と思わしき人物がいた。
男は、鏡に頭を下げる。
錫杖 がその動作につられてシャンと鳴った。

「お久しぶりです。鏡。お変わりはありませんようで」

「あら〜柊も変わっていないわね。
もしかしなくとも私の友達が来ないのはあんたのせいかしら?」

「フフフ。どうでしょう?」
「フフフ。本当に相変わらずね」

笑みを絶やさずに話す二人の後ろではに龍と虎がにらみ合っている。
怜奈は、柊をみて目を見開いて言った。

「なんで、ここに」


は、柊をみることなく地面をみてなにか考えていた。
柊は、もっていたを錫杖を、歩くたびに地面に叩きつけて鳴らす。
シャン、シャン、シャンとなにか儀式めいた音を立てながら
中央にいたチェルベッロに近づくと音をやめて、深々とお辞儀をした。
顔をあげて、三日月の目をした柊は大きくもないけれど透き通った声で言った。

「初めまして、皆様初めてではない方お今晩わ。私、柊と申します。
京洛家の審判としてはせ存じた所存です。およろしいで?」


「許可します」


チッと誰かが舌打ちをした。





2008.1.1