「あ、鏡ちゃん?良かった出てくれてようやく届いたよ
やっぱり高いとこだと届くんだね。
え、ちょっと呆れないで、今どこかって・・・」

は、周りを見渡した。
崖の上から見えるのは、一面に広がるグリーン。


「えーと、分かるのは、森かな・・・・・・
うん、そーだね、一週間以内には帰りたい、ね」

そうだね、なんでこんなことになってるのか。
分からないよ。

「おい、このクズなにとろとろしてんだぁー。走れ!!」

「は、はい」

「違う、返事はイエッサーだ!!」

は、森の中を走っていた。
息が苦しい。けど、後ろで息も乱さずついてくる人が怖い。
最初は、優しい感じの女の人だった。

「私子供がいるから、同い年の子に訓練なんて、甘くなってしまうかも」

と、言っていた。
これが甘いなら、辛いのはどんぐらいだろう。
森を、永遠とも思われる数を走れば、崖を重石つきで登り、
そこからダイビングとか、あとはもうよく覚えてないが、
すべて基本の体力づくりらしい。
彼女・ギュレルは、赤茶色した肩につくかつかないかの
にこにこと笑って頬に手をそえているようなそんな人だった。
帽子・・・そうあの軍とかで着ける帽子を着けた瞬間、豹変した。
鬼軍曹に。
元々、なんでこんな拷問を受けているのかは、分からない。
分かるのは、ギュレルさんは、キャバネーロの一員で、
若く見えるけど、私と同い年の子ともがいるような年で、
そして、

「クズーこのままだと、日が暮れるだろうが!早く走れぇー」

私が、クズということだけだ。
日が暮れた頃に、とぼとぼと帰ればみんなはもう終わっていた。
ディーノさんは、最初にかけよってきて

「今日も、頑張ったな」

と、頭を撫でてくる。
アハハハ、今度馬から犬に改変すればいい。
無茶ぶりしすぎだよ。ディーノさん。
それと私、マフィアと関係ないんだけどディーノさん。
睨みたくても、にかっと笑う太陽みたいな笑顔に私は弱くて
ロマーリオさんから、渡された夕ご飯を受け取ることしか出来ない。
その間、されるがままだ。
ディーノさんは私を足の間に入れて後ろから抱きしめていて、
スプーンでご飯を食べさせようとする。
はっきり言えば、もう手が動けないほどホールドされているので
動けようがなく雛鳥のように食べさせられている。
どうやら、気に入った人にするのが好きらしい。
イタリア人と日本人の違いを思い知る。
その姿を、帽子をとったギュレルさんとロマーリオは微笑ましそうに見て
そして、
私は、さっと頭をずらした。
この訓練で学んだことはこの人のキレるタイミングだ。
ディーノさんも、髪の毛数本落ちているが、かわしている。
その姿に舌打ちが聞こえた。
舌打ちの先には、恭弥先輩がいてその横に怜奈がいる。
この洞穴の中で、濃いメンバーがそろったものだ。

「君、なにそんな場所で食べてるの」

「・・・・・・何度も言いましたけど、捕まってるんです」

「はい、、アーン」

「ん」

腹が減っては、どうしようもない。
私は、スプーンに乗せられた食物を口にするだけだ。
・・・・・・恭弥先輩から感じる悪寒。
トンファーがもう一本きそうな気がする。

は、もぐもぐと、口を動かし飲み込むと、
雲雀のほうをむいていって。

「だったら、恭弥先輩してくれますか?」

・・・・・・うん、ものすごく疲れてたんだよ。私。
それにすっごくお腹も減ってたんだ。
洞窟の部屋の空気が固まる音がした。

「い「駄目だ。何言ってんだ。恭弥がするわけがない。
腹減ってるんだな。よし、俺が食わせてやる。ほれ、口開けて!」」

恭弥先輩が何かいようとしていたが、その言葉をはねのけて
ディーノさんがスプーンを近づけてきた。
良かった、助かった。殺されるとこだった。



夜、疲れた体には睡眠。と言われてみんな眠りについている。
というか、強制睡眠させられている。
黒い空には、月と星が浮かぶ。
湖は、鏡のように映し出していた。
洞窟から離れた湖の近くに、三人の姿があった。

「で、どうなんだ。二人のほうは」

「正直、難しいわね・・・と怜奈は、能力値が同率でないし
統率はそれよりも難関だわ」

「そうか」

「今は、能力値を出来るだけ、怜奈のに近づけようとしているけど、
はやるきないしね」

「怜奈は、ボンゴレで京洛家だから、マフィアに近い。
けど、は、京洛の名前を失っていないとしても、破門しているし
一般人を巻き込んだのと変わりないことをしている。
はー、ボンゴレのためとはいえ、酷なことをしているな。俺は」

ため息を、吐くディーノに、ギュレルは口に手を当てた。

「あらら、本当は少し嬉しいくせに」

「そ、そんなわけねぇよ」

「いいや、ボス。一緒にいれないって前、呟いてたぞ
奥方にするには、ちょっとはかかわりねぇと、困るしな」

「な、ロ、ロマーリオまで」

「青春ね〜前まで子供だったボスがココまで成長するなんて」

「・・・・・・俺はそんなつもりない」

「「あそこまで、やられたら誰でも気付く」」

「と、いいたいが肝心の本人が分かってねぇな」

「そうね、鈍いわね。
日本人特有かと思ってたけど、二人はバリバリ分かってるもの」

二人は、肩をすくめてみせた。
ディーノは、くずれた顔をなおし、真剣な顔でギュレルをみる。

「俺の話はさておき、ギュレル、二人を間に合わせろ」

ギュレルは、ディーノに向かいあい、手を額の辺りにびっしっと伸ばし敬礼する。

「仰せのとおりに。ボス」



その後二人が去っても、ギュレルはまだ湖にいた。
月と星が光っている。
湖じゃなく空を見あげて呟く。


よりも、怜奈のほうが問題・・・なのよね。
憎んでるなんて、本当に、二人に何があったのかしらね」







2008.12.27