それから、私たちは確かな情報を得ないまま屋上へいる。
なぜかって?
短気は損気だと教えてやりたいです。
我が、風紀委員長に。
応接室には、五人とその後来た草壁を含めて、六人いた。
いつもなら、最高4人しかいないので、広い応接室が、狭く感じた。
は、自分の手元に視線が集めていることを知ったが、どうすることも出来ない。
このまま、外にこれを投げれたらどんなに心が軽くなるか。
胃に鈍痛を感じた。
草壁に、貰おうかと彼を見た瞬間に。
彼は、扉を開けた形で止まっていた。
なぜか、ディーノに抱きつかれた。
どうやら、嬉しさを表現したようだ。
何か言葉をいっている。
「知っている人いて良かった〜」みたいなことだと思う。
少し酸欠になったので、聞き取れなかったけど大体そんな感じだろう。
前々から、少々スキンスップが大きい彼をしらない他の人たちの反応は
・・・・・・今この現状を見れば分かるだろう。
まぁ、
草壁の悲鳴じみた声の停止で屋上へ向かえただけまだ冷静だと思う。
雲雀は、ディーノに咬み殺している最中で、
理由は、きっと風紀が乱れたからだと思う。
怜奈からは、蹴られそうになるのを避けて
なんで蹴られそうになったかは分からないが、
日頃のうっぷんばらしのような気がする。
ようやく草壁とダンディーなおじ様なロマーリオの所へ行けば、
二人から、水と胃薬を渡された。
なかなか、優しい人たちだ。
それにしても、中学生とおじ様という差を感じさせない。
すごい二人組みだ。癒される。オアシスだ。
もう、この場所から離れまいと二人の間に入った。
顔がニマニマ笑う。
上からは、
「ボスの嫁〜」とか
「いいえ、委員長の〜」とか聞こえてくるが、幻聴だろう。うん。
目を離していれば、勝敗がついたようだ。
さすが、経験の差がある。ディーノさんが勝ったと、思ったが
負けず嫌いの我ら委員長は、またトンファーを振るおうとするところを、
怜奈が止めた。
「ストップー!!もう、話がすすまないよ。
ほら、二人ともブレイク!ブレイク」
ずいっと、いつの間にか出した救急箱どこから出したのか。
疑問を抱いたが、なぜかロマーリオさんも持っていて
「すまねぇが、ボスの世話を頼む」
と、言われた。そんな素敵な笑顔で言われてしまえば
もう肯定の言葉しか出ない。
くぅー渋い、かっこいい。
草壁は、そんなやり取りをみて後悔した。
委員長、すいません。間に合いませんでしたと。
大きな体に不釣合いな可愛い救急セットをそっと懐に戻した。
が、ディーノに近づき、傷の手当をしようと座る。
キラキラと髪が反射して綺麗。
日本人とあまりにかけ離れた容姿。
口を開けば、子供のように擦り寄ってくる。
「!どうだ、かっこよかったか?俺」
子供がそのまま大人になったような人だ。
けど、憎めない。人がいいといいってもマフィアだが、
何か温かなものを感じる。
私は、彼の笑顔になくした何かを感じながらも
「ええ、かっこよかったですよ」
と嘘をつく。
言えやしない、ちょっとあなたのとこの素敵な人と優しい人に囲まれて
心に安息を抱いていました、などとは。
つい、動揺して消毒液をたっぷりつけた。
悲鳴が聞こえたが、
「早くなおるんですよ。だから、我慢してください」
と、誤魔化せば、触れてくる指。
この人は本当に人を触るのが好きな人だな。
だんだん、犬に見えなくもなくて、
髪を撫でていた、
小さい頃、父と母に犬が飼いたいといったときがあった。
鏡ちゃんのせいで、その話は流れてしまった。
曰く、自分の世話も出来ない奴が世話できるか!とのことだ。
つくづく、昔の鏡ちゃんは、失礼な奴だ。
「、あのさ、その」
声に気付いて、見れば真っ赤にしてるディーノさん。
この人は年上ではなかっただろうか?
これくらいで赤くする人がいるか。
ああ、きっと子供みたいで照れたのかな。
「すいません、つい」
そういって手を離せば、そうじゃないと慌てる。
それから、ちょっと寂しそうに手を見る。
なんだ。この可愛い生物。
そんなやましい感情が出てたのか、
天下の委員長が、凄い勢いで屋上のコンクリートを砕いた。
場所で言うなら、ちょうどさっきまで私とディーノさんがいた場所だ。
さっき怜奈が救急箱をもっていたはずなのに、傷がちゃんと治療されていない。
どかり、と無言で私の前に座る。
なんなんだ。
ずいっ、と救急箱を、私の前に近づける。
直せということか。よく、分からないけど妙な威圧感を感じて
頬の傷に消毒液を塗って、バンソーコーを貼る。
飛んでしまった私の頭は、怜奈のことよりも
この二人の肌のきめ細かさとか髪質の良さとか、
女として負けていないかなどしか考えなかった。
そして、二人とも治療するには近すぎる距離。
二人とも怪我を治療されるのに慣れてないな、と感じた。
2008.12.24