朝を起きたら、ポストに変な物が入っていた。
中をみれば、指輪で、変な紋様が入っていた。
半分のそれは誰かとのペアリングっぽくて捨てようと思ったが、
ひらりと、一枚の紙が落ちて、その文字を見てすてるのをやめた。


『応接室に来られたし』


なぜだか、悪寒がする。
厄介ごとに巻き込まれたような。


応接室に行けば、怜奈と雲雀・・・恭弥先輩がいて、
二人は離れた位置で仕事をしていた。
私の気配を前に察知していたはずなのに、
怜奈は私を無視し
恭弥先輩は、さっさと仕事のオーラにかもし出している。

前よりも、ギスギスしているこの場所から、逃げるようにお茶を汲みに行く。
なんとなくOLを味わっている。
ああ、するとお局は恭弥先輩か・・・うん、似合っている。
そんなことを考えているとお湯が沸騰した。
暖めていたポットに、アールグレイの茶葉、スプーン3と適量加えて、
上にティーコージーをかぶせて、砂時計を反対側にして3分待つ。
その間に、三人分のカップに、お湯を入れて暖めて、
そうそう、お茶請けにクッキーを作ったんだっけ。
棚から、皿を取り出しクッキーを、円を描いて並べる。
几帳面ではない、三分は結構暇でなにかしらしたくなる。


そんなことを、している途中。
来客らしい。絶対並盛中の生徒ではないことは分かる。
だって、ノックもせずにずかずかと入ってきてソファーに座る音がした。

・・・ギリギリ四人分はいけるだろうか。
は、もう一つカップを取り出しお湯を入れて暖めた。
雲雀が、追い返さなかったから。


カップを、お盆にのせて戻ると、


「あ!!!じゃねぇか!」

顔を上げれば、太陽のような光を持った金髪と白い肌・・・ここで明らかに日本人じゃない。
そしてジャンバーとジーンズというラフな格好で、若いのがもっと若く見える20代の、
首にタトゥーをいれた、王子様の外見を持った
イタリアンマフィアのボスがいた。
名前は、

「久しぶりですね、ディーノさん」

「お、ちゃんと覚えててくれたのか」

そういって乱雑に髪を撫でる。
カップを先においといてよかった。

「あんなに、言われて名刺まで渡されたら流石に覚えますって」

それ以前に、インパクトのある人物だから忘れないというか、
目が痛くなるほどの笑顔は忘れてたくてもわすれないというところか。
それと、

「なんのよう?」
そういいながら、恭弥先輩はトンファーを振りかぶっていた。
あたったと思えば、いつの間に鞭を出していたのか、
トンファーに巻きついて動きを止めている。

「ワォ」

恭弥先輩は、お決まりの言葉を吐くと、目が変わった。

「いいね。咬み殺してあげる」

「へっ、違うって俺はリングの話を」

「ああ、これのこと?」

恭弥先輩が手に持っているものに、手紙を思い出して
ポケットをさぐる、無機質な感触が伝わる。

「わ、私も持ってるよ」

言う前に、怜奈に言われた。
怜奈も半分のリングを持っている。
2つのリングは、どっちも違うデザインだ。
強くリングを握ったまま黙る。

ディーノさんが、こっちをみている。
あからさまに、顔を逸らす。
嫌な予感がする。
完全に巻き込まれる・・・私はマフィアとか関係ないのに。
そろそろ見ないとディーノさんが、泣きそうな気配がする。
それと、二人のつきささる視線。

参りました。
ああ、この頃コレばっかりだ。
もう、諦めよう。だって、どんなにあがいたってなるようにしかならないのだから。

「私も持っています」

なんの形か分からない紋様が描かれている半分になっているリングを出した。









2008.12.19