必要とされるのは苦手。
だって私は自分の価値を知ってしまったから。
黒い服をびしっときめた赤ん坊。
どこで注文して手に入るんだろう。そんな疑問を毎度ながら抱く。
ソレと共にそんなに出会っていることに嫌気がさす。
そして次の言葉はお決まりの。
「 ボンゴレに入れ」
頭に手をやる。ため息すら出てこない。
「貴方はなかなかしつこいですね」
「ごめん京洛さん」
「ツナ君まで・・・本当に私は弱いんですよ?」
京洛の名前なんて本当形だけなんですよ。
あーもうこれ以上言わせないでよ。
泣きたくても私の顔からは歪な笑いしか出てこない。
とまった時の動かし方を私はまだ見てみぬ振りをする。
「リボーン」
「今日はココまでだぞ」
いつも揺れたとき決まってツナ君が出てくる。
彼は本当に気が付く。
久しぶりに屋上に出てみると柔らかな風が髪を遊ばす。
くせっけな髪は三つ編みされていてもこんがらがってくる。
メンドクサイ。いっそ坊主にでもしようかと出来もしないことを考えると
タンポポ綿毛のような髪を発見。
茶色い毛はサワサワとなびいている。
「ツナ君」
そうっと後ろから声をかけると案の定驚いた顔したツナ君がいた。
「えへへ。久しぶりにツナ君だけと喋った気がしますね」
「あ」
ツナ君はとても決まりの悪い顔をして、こっちまで悪いことをした気になる。
でもはっきりといわなくちゃ。
「ごめんねツナ君。人付き合いそんなによくないから。組織には向かないよ」
「い、いいんだ。リボーンが勝手に言ってるだけだし京洛さんが気にすることないよ」
ブンブンと手が千切れるんじゃないかと思うくらいツナ君は否定してくれた。
子犬と思うのは自分だけではないはずだ。
「ふ、ふ。優しいねツナ君は」
「え、違うよ俺は」
目を泳がす。彼は自分をまだ知らない。
「いいんですよ。
自分がそうだとおもわなくてもありがたく言葉を受け取ってきますって思っといてください
でこっからは独り言です」
言うはずのなかった言葉を言ってしまうほど彼にはなにか魅力がある。
一息をはいて言葉にのせる。
「ツナ君は強い」
「そんなこと」
目でツナ君の言葉を塞ぐ。
「私はツナ君の強さが欲しかった 雲雀先輩みたく強くありたかった
そうすれば・・・・・・喋りすぎましたね」
少しの安堵と後悔が自分を襲う。それを隠すため私は笑った。
「私以外の京洛のものを探してくださいきっと直近くに」
そういって扉を閉める。
少しだけ期待した。けど。
私は・・・・・・
がいなくなった屋上に一人ポツンとツナが立っていた。
彼女の言った言葉を彼女の顔を思い出しながら。
「ダメだったか」
いつの間にか現れたリボーンにツナは驚かなかった。
急に屋上に行けなんて最初から仕組まれている舞台に演出家がいないわけがない。
何度言ったか分からない言葉を言う。
「リボーン彼女はもういいだろう」
絶対ボンゴレにいれると毎度の言葉を言うかと思いきや
「ツナお前から見たはどんなヤツだ」
「なんだよやぶからぼうに」
予想外の問いに驚く
「早く言え」
時間もなくツナはについての人物像を喋った。
「・・・あまり喋らないけど、他の女子みたくうるさくないし大人びてるよな。
変人でもあるけど悪い人じゃない
むしろ・・・・・・いい人だよ」
「ダメツナと言わないしな」
「・・・・・・気付いてたのかよ」
風が揺れる。そう。クラス中の皆がそれどころか全クラスが知っている
有名な自分のあだ名 ダメツナ と彼女は呼ばない。
前にクラスで彼女が話しているのを偶然聞いた。
「なんでダメツナなんですか?」
「なにやってもうまく出来ないからダメツナでしょ」
「う〜分からないですね〜やらないのが一番ダメでしょう。
彼はちゃんと行動してるからダメじゃないと思う」
その言葉にいくどとなく救われていた。そのときの恩というわけでもないのだが、
彼女に迷惑はかけたくなかった。
・・・・・・けど
ツナはずっと京洛と話していて何か違和感を感じていた。
そう、彼女は本当は。
「リボーン、やっぱり京洛さんをボンゴレに入れよう」
独りを嫌ってる・・・と思う。
2008.5.12