「緑たなびく〜」
「・・・・・・変な鳥ですね」
「ヘンナヤツヘンナヤツ」
「鳥に言われるとは、思ってませんでしたよ」
「オマエヘンヘーン」
「・・・・・・から揚げにして差し上げましょうか?」
「・・・・・・ヘンチガウ」
「あら、鳥私の名前を知っているんですか」
「」
「・・・変な鳥」
は、授業をサボって屋上にいた。
決して自分の意図した所ではない。
ただ、顔色を見て周りの人が、保健室に進めたのだ。
武くんなどは、俺も一緒にいくといって聞かなかったが、は笑顔で
やんわりと押さえた。
それから・・・保健室にいるはずの自分はここにいる。
今はまだ行ってはいけない。
カタカタと、震える自分の腕を掴んで
呪文を唱える。
はい、これで大丈夫。
「私は・・・まだ大丈夫」
そういっていたときに、黄色い鳥が飛んできたのだ。
頭の上に。
巣と勘違いされていることに
まだそこまでボサボサじゃないということに
その衝動で鳥を叩き落として虚しい独り言のようなそうでないような
会話が始まった。
それにしても、この鳥頭が良すぎだ。
そして、
「ヘンナカーオ」
「どっかでみたことあるような」
は、片手で鳥をわし掴みした。
ピッと鳥らしい声が聞こえたが、は力をこめたままだ。
鳥が、攻撃に出た。くちばしで突っついてきた。
は、手を離すと鳥は空高く飛んでいった。
それから、タイミングを見計らったように。
白い服をたなびかせ、タバコと酒の匂いが漂った。
「こんなところにいたのか?子猫ちゃん」
「こんにちは、保険医さん」
は、大人の余裕の笑みを子供らしからぬ反応で返した。
「ここは、冷える。患者は患者らしくしとけ」
そういってをみる、保険医・・・ドクターシャマルには
言い知れぬ威圧感があった。
いつからだろう。いつからこの人は分かったのか。
は、笑顔を崩さずに彼を見る。
それから
「患者ではないですよ。ドクター」
シャマルがたばこを口から離した。
煙が空に吸い込まれていく。
短くなったタバコをくわえている彼は、
いつものように女好きさをみさない彼は、
とても大人っぽくかっこいい部類に入るだろう。
いつも、そうしてればいいのに。
もったいないと思いながらもは彼がもてる事を知っている。
きっとこのギャップに惚れるのだろうか。
なんて、考えれるくらいの心は穏やかだった。
彼の目が、とても憂いを帯びていて自分のことをそこまで考えてくれるなんて
なんて、なんて
愚かなんだろう。
ドクター、最初に気付くのは貴方だと思ってました。
貴方は、実の所本当は優しいから隠してくれることも知っていました。
リボーンさえにも教えていないでしょう。
私はあえてそれを、利用してるんです。
だから、私のことを考えないで下さい。
馬鹿な奴、それだけでいいんです。
カタカタと震える腕。
は心の中で呪文を唱える。
『1・2・3・・・はい、魔法をかけたよ』
「俺は、ちゃんはいい女になると思うよ」
「あら、私は今のままでもいい女ですよ」
そういって、微笑んで保健室で紅茶を飲む。
貴方は、とても優しくて愚かな人。
2008・12・11