今日は、晴天だ。
雲一つない。
それと、同じくらい私には何もない。
それなら最初から空っぽだったら良かったのにね。
そうしたら、こんな気持ちすらならなかったのにね。
その言葉を誰に言うわけもなく、は空を仰ぎ見た。
ギラギラと照らしつける太陽に、目を細めた。
わぁぁ。周りの歓声からは、顔を戻した。
歓声の元を辿れば、山本がいてブイサインをしながら塁をまわっている。
山本が、ホームランをきめたのだ。
敵と思われる選手たちは、さっきのと同じように遠くを見ている。
山本は、ホームベースへかえると、スタンド側にいるたちへ笑いかける。
獄寺は、野次を飛ばし、ツナは、それを押さえ込むのに必死だ。
は、その集団から一段上の場所で、眺めていた。
野球を見に来てくれと、山本から言われはここにいる。
それを断る理由もなく、ここにとどまる理由もない。
は、ただなんとなくでここにいた。
休日の今日に、委員会はあったけどはただなんとなくでサボった。
雲雀先輩のことが恐怖ではないといったら嘘になるが、
あの部屋が骸と過ごしていた空間に少し似ていて虚無感が、広がるのだ。
それに、あの出来事があっても何も変わらなかった周りに
感謝よりもなぜ?という気持ちが強い。
武くんは、知らない。なら、教えてしまえばいいのに。
けど、
は、下の段に座っている茶色い髪の少年を見た。
彼が、言うはずないと分かっている。
そして、私は弱いから彼に責められたらあっさり陥落するだろうということも。
なんだかんだいって、彼は、初めて出来た友人なんだ。
それと、意外なことに獄寺さえ何も言わない。
十代目と犬のような彼なら、
「敵だったのか手前。もう、俺らに近づくな!」くらい言いそうなのに。
現に時々睨まれる。
しかし、それすらも咎めるのが、ツナなのだ。
私は、ツナくんが怖い。けど・・・
ツナが、こちらをみた。
目が合う。にっこりと笑う彼に、私は笑い返す。
けど・・・それと同時に堪らなくなるんだ。
君の優しさに、甘えてしまいたくなる、許されないことだとしても。
ブルブルと携帯が鳴る。
あの人だ。
は、携帯をとらずにすっと席を立った。
何も言わずには、野球場を後にする。
がいなくなったことに気付いたのは、リボーンだけだった。
リボーンは、彼女がいなくなってから、感じる気配に呟く。
「僕がいない間、彼女を壊さないで下さい」
呟きに返された言葉に、リボーンは帽子を深く被った。
彼女の針は、もう動いてしまった。
その後には・・・・・・なにが残るのだろう?
2008・12・3