白い部屋の中。
傷一つついてないに、彼は言った。
「さぁ、帰りましょう」
人を安心させる笑みを浮かべ彼は手を、差し伸べた。
今までの全てが、
自転車にあたってスリ傷をつけた程度の出来事だったかのような錯覚を覚える。
その手を、取った瞬間に、はもう以前のに戻った。
体だけで、ココロが空っぽな彼女ではなくなった。
骸なんていなかったように、俺たちとがなんにもなかったように
は、こちらを振り向いて以前と変わらず笑って。
「ご迷惑かけて、すいませんでした」
お辞儀をしたと思うと、そのまま彼と共に出て行った。
「なぁ、リボーン。普通いなくなったら、なんか他にいいようあると思うんだけどさ」
複雑な思いを、抱いたままツナはリボーンに喋りかけた。
「・・・あいつらは、普通じゃないと」
「べ、別にそんなわけじゃないけど、なんか違和感があるんだ」
「ダメツナめ。そこまで分かってるんだったらそーゆうことだ」
「えっ」
「あいつらの関係は、兄妹でもなんでもねぇ。
使命っていうものに縛り付けられてる。一族ともいうがな」
リボーンは、銃の手入れの手を止めた。
「以前、話したとも思うが、京洛家のことだ」
「でも、京洛さんは家を出たって」
「そうだ、しかし名前はまだ京洛のままだ。
あいつは、まだ京洛家の一員で、そして、あの男はソレの主従関係にある。
主が、したことに異を唱える従はいねぇよ」
「・・・そうなんだ」
リボーンは、銃の手入れを再開し、従者である鏡との会話を思い出していた。
の部屋に入る前に、リボーンは一人で鏡とあっていたのだ。
今回のことについて、そして京洛 という人物を知るために。
「あら、あらリボーンって凄腕のヒットマンがこんな可愛らしいなんてね」
「お前こそ、男の割には別嬪だぞ」
「あら、ありがとう」
えらく赤を象徴させた口紅が、弧を描いた。
「本題だ」
「ええ、調べてあるでしょうけど、私はちゃんの従よ。鏡ちゃんって呼んでねV」
「今回の一件、鏡、お前はどう思う」
「どうも・・・どうも思わないわ。私はいつでもちゃんの幸せを祈ってるのよ。
だから、捨てられても恨みはしないし、それどころか追っかけるわね。
けど、本当の所感謝してるのよ?ちゃんが、もし一緒に行ってしまえば
彼女は後悔する。そしたら・・・もう戻ることが本当に出来なくなってしまう」
「?どういう」
「さってと、お話はここでおしまい。私はプリンスを迎えに行かないと、ね」
高いヒールの音が響く。
リボーンは呟く。
「一体何者なんだろうな。京洛 は」
2008・12・1