不思議国のアリスは、夢で冒険をし、最悪な最後で夢から覚める。
私は、今も永遠に続く白い部屋の扉を開き続けている。
はやく目を覚まして、と誰かが私をせかす。
分かっている。分かっている!
不思議国のアリスは、夢で冒険をし、最悪な最後で夢から覚める。
だから、私も願った。
目が覚めて、ああ、良かったと思えるような現実を。

だけど・・・



ツナたちの戦いは、終わった。
目をつむったまま横たわる骸に、戦える力などあるわけもない。
ツナは、ドカッと座ると闘いが終わった余韻に浸った。
それと・・・、さっき見た骸たちの過去を思い出していた。
終わったと両手をあげて喜べないのは、そのせいだ。
今は、リボーンとツナだけが動いている。
他のものたちは、骸にとり憑かれてたため目覚めてはいない。
静かだった。今までが、夢であるかのように。
この場所は、ただのぼろい廃屋でしかなかった。
ふと、ツナは、ソファをみた。
白いソファは、始まる前と変わらずそこにあった。
そこには静かに眠ると、の足に覆いかぶさっている雲雀の姿があった。
ツナと、同じ床に怜奈が横たわっている。
骸にとり憑かれて獄寺と同じようにツナに、攻撃をしてきた。
怜奈がここにいて、雲雀があそこにいる。
やっぱりそういうことなのだろか、と勘ぐってしまう。

やめよう。
ふぅと、息を吐く。
上をみれば天井もボロボロで壊れないかと心配になった。
ひび割れを見ながら、ツナは、疑問に思うことがあった。
骸は、だけには憑かなかった。
それはそうだ。
仲間との扱いが違うのは、最初から知っていた。
では、何か?
の、眠りが深すぎることだ。
いくらなんでも、あの乱闘のなかピクリとも動かないわけはないだろう。

「ツナ」

「・・・なんだよ。リボーン」

「復讐者のお出ましだ」

え、と声が出るよりも先に
いかつい機械に覆われた人?が現れた。
真っ黒で機械兵を思わせるそれは、独特の雰囲気を持っており、
ツナは悪寒で両腕を覆った。

「あれは」

復讐者たちは、骸を発見すると、鎖をだし、器用に首に投げつけた。





白い白い部屋は、一体いつまで続くの。
は、叫んだ。
何をいっているか自分でもわからない。
もしかしたら、もう言葉ですらないのかもしれない。
叫んだ。叫んで、


ねぇ、骸。
私たちは、同じじゃないけどとても近いから、そばにいれれるね。
たとえ、壁ごしでもお互いの体温を感じられたね。
一人でも、独りじゃないかった。
私は、弱い。
だから・・・だけど・・・。

現実から目を塞いでもらうほど、逃げたりはしないよ。
だって、私はこうなることを、理解していたから・・・


が、触っていくところから、赤い炎が現れた。
白い部屋が、燃えつくされていく。
は、痛々しい過去と共に、ゆっくり自分が浮上していくのが分かった。


声が聞こえる。
少しの間、一緒にいた骸の仲間の声だ。
やっぱり、そうなったか。
目から、光が差し込む。
さっきまでいた場所が、白かったからまた夢かな、とも思ったけれど、
ひびわれから入る風の感覚と足に感じる体温と重さで、これが現実なんだと
は、笑った。

それから、顔を声のするほうへ向けると、
たった一人の理解者が連れていかれるところだった。

目を見開いた。

まったく無抵抗で、笑顔もなくただずるずると引かれて行く姿を見て
自分の何かが崩れるのが分かる。

そして、
手を、骸に向けて伸ばし、
自分の声だと分かるまでに時間がかかるほどの大声量
ほとんど叫び声に近いそれで名前を叫んだ。



「むくろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!」



声は、届かない。
手も、届かない。





2008・11・26