骸は、完全に眠りに落ちたを膝に置いたまま。
目の前の、敵と向かい合っていた。

銀色に光るトンファーに、赤い血がこびり着き、
黒い学ランに、風紀の紋章が入った腕章。

ギラギラとした獰猛な目は、骸を見た途端なりを潜めた。
正しく言えば、骸の膝を見て。


なんで?


そう、言いたげな唖然とした顔に、骸は笑った。
そして、雲雀は、自分の弱点である桜によって骸にまけた。
まったく立ち上がりもせず、
そして膝に寝ているに優しさを帯びた瞳をやどしながら。


つれてこられた埃くさい狭い部屋。
体には痛みが響く。
負けた。屈辱だ。
その思いを凌駕するくらい、苛立つ。
むしゃくくしゃする。
何週間も、姿を見せずに少なからず自分を心配させた人物は
悠々と、敵である人物のもとで寝ていた。

君のせいで、買出しを頼むのに草壁を呼ばなくいけない。
君のせいで、お茶はこの頃、インスタントだ。
君のせいで、こんな、こんな思いをしなくちゃいけない。

ムカつく。のに、
どうして、倒れるときに桜をみて思い出したのは、
桜が嫌いだという君だったのか。

君は、
僕にはあんな顔見せなかったし、髪を下ろした姿なんて見たことなかった。
ムカツク、殺してやりたいほどに。


君に優しさをむける あの男も。
僕じゃなくてあいつを選んだ君も。

なんで、あいつが僕じゃなかったのか考える僕も。




2008.11.16