肉と野菜の焼ける匂いが、埃くさい建物の中に充満した。

匂いの元には、簡素なガスコンロが置いてあり、横に水道がついている
急ごしらえな台所に、一組の男女がいた。

無表情でもくもくと、仕込みをしている頬にバーコードと眼鏡、帽子をかけている少年
柿本 千種。
その横で、少女がさいばしでフライパンの中を一生懸命にかき混ぜている
癖がある黒い髪を結った一本の三つ編みが、手が動くたびに揺れる。
ヒクヒクと、鼻を動かしながらよだれをたらしている城島 犬。

そして、

「おや、昼ごはんですか」

オッドアイで奇抜な髪をした少年を、六道 骸といった。
六道は、少女に皿を渡され笑顔を崩さずにテーブルに並べた。
その姿を見て、城島が慌てる。
少女がここにいてから少しは見慣れたはずなのに、
優しく文句を言わない六道に、心臓をわしづかみにされた気分になる。
自分たちと長年行動していた六道が、優しくないわけではない。
そうじゃない。自分たちに向ける優しさが違った。
つまり、今の六道は城島の目から見て。

「きもいぴょん」

「クフフ、犬、ごはん抜きです」

いつの間にか口に出ていた言葉を、
取り繕うとするが笑顔で吹雪を吹かせている目の前の人に、通用しない。
城島は、昼ごはんをどうやって柿本から奪うか、考えはじめた。

4人が、テーブルにつくと、
テーブルの上には美味しそうなごはん。
少女がきてから、この光景は日常になった。
温かな美味しいごはんを3食食べるということ。

城島は、腹を鳴らしながら目の前の食事を見ている。
少女は、呆れた顔をして、骸を見て。

「骸」

「・・・しょうがありませんね」

そういって、城島の前に料理がでた。奪わなくてすみそうだ。

柿本は、そのやり取りを見て、今更ながりにこの少女が一体何なのか疑問がわく。
骸さまが連れてきた人だから、疑うことはしない。
ただ、はじめてあったと思えるのに
(自分たちは彼女を知らないし、彼女は日本から出たことはないらしい)
この通じ合いは普通ではない。

けど、骸さまが、いいというなら自分は心配しなくてもいいはずだ。
それどころか助かってもいる。
時々、酷いいじめをする骸さまを、とめれるのは彼女だけだ。
それに、ごはん美味しい。


例えば、彼女の服が、並盛中のものであっても。
心配はいらない。


、洗うの手伝います」


・・・だが、犬ではないがこの骸さまはちょっと・・・・・・キモイ。







2008.11.13