忘れてはいけないものがある

それはとても大切で同時にとても悲しい過去という事実
その事実に縛られている自分を助けてくれる人はこの世界で
誰もいない それは今でも変わらない

なぜならば
自分が助けを求めようとしないから

解決方法はいくらでもあるひとりぼっちでいなくてもいい方法
誰かを求めてしまえばいい
泣き叫んで助けてといえばいい

けどそれをいってしまえば
私は守りたいものを守れなくなる
弱い私が必死になって繋ぎ止めていたものが崩れてしまう


ひとりぼっちは
とても怖くてとても寂しくてでも
その痛みが自分の罪の証だったから
ひとりぼっちは
とてもとても安心できた


何度も繰り返される過去の出来事
静かに私はそれを見る

現実のような夢に私は顔を背けたかった
それでも私は笑いながらそれをみるのだ

いくら続けたかクルクルと廻っていく
現実も夢もただ痛々しく傷ばかり増えていく毎日に
私の守りたい人が泣くたびに私は笑う
傷にも笑顔にも慣れてきた頃だった

あなたがあらわれた

特徴的な笑いと髪と一目あって
私たちは認めた

自分たちがよく似ていることを
行き場のない私たち
誰も頼らない私たち

私たちはたわいもないことを話した
真っ白な部屋で
真っ白な花に囲まれて
はじめて夢が現実じゃないものを見た
楽しかったあたたかった

私はあの時それだけのために生きていた
そういってしまえるほどあそこは求めていたものがあった

ひとりぼっちなのは変わらない
ただ誰も入れない部屋にお隣さんができて
背中にぬくもりを感じられる
そんな位置にいた


彼が笑って

驚くといった日

きっと私はなにか感じていて
それに自分がどうしようかなんてあの頃の私だったら迷わなかったでしょう

今の現実が、あの世界とまた違ったあたたかさがあって
いたみがあってそれを幸福だと思ってしまった私をあなたはきっと笑ってゆるすんでしょうね



忘れてはいけない
けれどすべて忘れて逃げてしまいたい

そんな私の弱さをあなたはしっている
迷う心を知っている

今の現実がとてもあたたかくて前よりもいたくなっていく心があることも知っている
それを幸福だという私の本音をあなたは分かる

だからあなたを逃げることにつかうことにもあなたは自分を悪役にしてまで
守ってくれる

私はそれを知りながらあなたの冷たい手をとるんだ
ああ、なんて弱い私





2008・9・13