だからね
本当にあなたの行動が読めない
誰かが後ろかついてくるその後ろで下駄の音がする
もしかして
ふと横を見れば
足の長さが違うのか彼がいた
真っ黒の切れ長の瞳とぶつかる
「はやく戻るよ」
なんで
「まってよ〜恭弥さん」
玲奈の声ではっとする
私にいったわけではない
それと同時に自分にいったのだと勘違いした自分を恥じる
このままじゃダメかな
今日理解した煩わしい感情がかわいいものだと思ったものが
大きくなる前に忘れなくてはいけない
いつのまにか足並みが遅くなっていたのか
玲奈の後姿をみている
そんなの腕を誰かがつかんだ
「」
自分の名前を呼ぶ人間なんて限られていて
は後ろを振り向き自分を呼んだであろう人物の名前を呼んだ
「なに武君?」
「ありがとな。それと一緒に花火見ねぇー?なんか穴場があるらしいぜ」
「けど、委員会が」
と続けようとしたら携帯が鳴った
みれば草壁からで、各自解散とのことだった
もう集合場所についたとはどんだけ足が早いんだあの人はとおもいながら
目の前でにこやかな笑顔をしながらも一向に手をはなすきがない
山本を見ては苦笑しつつも
「いいですよ」
気分転換だと思った純粋に少しだけ自分が落ち込んでいることが分かったから
目の前の少年はやっりといいながら少年らしい笑顔を浮かべている
はその後山本とともに花火を見た
確かに穴場といわれるだけあって綺麗な花火を見られた
実をいえばは花火をちゃんとみたことがなく
口を開けてポカーンとした状況だった
隣にいた山本は笑いをながらそのようすを眺めていた
「す、すごい火薬量」やら「いやにカラフル」とか「音を大きいのなぜ」
やら変な感想をいっていたが目はキラキラして年相応に喜んでいた
帰り道でも、はその興奮を山本に伝えている
「で、あの4回目の丸は」
「うんうん」
頭を撫でられていることに気づいては口を閉じた
それから自分の行動を振り返りあ、穴があったら掘りたい?とへんなことを
思いながら山本をみた
彼は嬉しそうにをなで続ける
「はじめてが同じだって思った」
「え」
「はさなんか大人ぽくてさ俺ばっか子供だなっておもってたから」
「そんなことは」
「なぁ」
暗闇のなかで顔は分からない
けど声色でわかる
いつものヘラヘラとした雰囲気ではなく真剣な声
は山本がずっと聞きたいことがあることに気づいていた
ずっとそれを逃げてきたが、もう逃げれそうにない
は一つ息を吸い込むと顔を山本がいるだろう方向へとむけた
「はい」
「俺さとはダチだからさ。悲しんでほしくないは雲雀がすきなんだろ?」
その問いは色々と含まれていた
彼が天然だなんて鈍いだなんてそんなわけはない
彼はいつでも私を応援し私が傷つかないように二人から離し
そして守ってくれていた
彼が言うところは、なぜ好きなのになにもしないのか
なぜ二人を応援しているのかというところだろう
好きという言葉に胸が痛んだ
あの頃なら笑って言えた言葉が今の私には言えそうにない
だから暗闇で良かった
「武くん私はね
玲奈からなにも奪わないし奪う気もさらさらないんです。
だから私は雲雀先輩を諦めました」
私はそうしなければならない
今日武くんにあってよかった 問いかけられてよかった
じゃなければ自分は最大のミスをしていくところだった
私は最初から恋が成り立たないということを知っていたはずなのに
それに二人でいて彼ははっきり私を嫌いだといった
胸がいたくなろうがかなしくなろうがそれは事実だ
「そうなんか」
小さく悪そうな音色
「はい、すいませんいつも助けてもらって」
「いいんっだよ俺が好きでしてんだからでもさ」
「でも」
「すいませんじゃなくてありがとうのほうがうれしいかも」
「・・・ありがとう武くん」
本当にあなたには救われている私が私でなければきっと
あなたを好きになった
「うん、あ、そうだ」
「はい?」
「来年も一緒に花火見ような」
そういって笑う彼には困ったように笑って何も言わなかった
2008.9.1