彼はいつでも爽やかな笑顔を見せてくれた
とってもまっすぐで純粋なそれを
私はまったく異なるものでかえす
彼が天然?
そんなわけはない
こんなにもみられているというのに
は草壁と別れ違う方向へ進んでいた
なぜか?
別に仕事が終わった訳ではない
といってもほとんど終わったようなものだけど
委員長のお迎えといったところだ
一人でも大丈夫というか、草壁に言いくるめられて行くことなった
としては、だ
行きたくないと思っていたが、口に出た言葉は同意の言葉
本当にどうしたものだろうか
急に自覚してしまった自分の感情を
はやっかいだとおもいながらも、少しだけ楽しんでいてもいた
自分が人の子であることと、思いが通じ合うことはないと知っているからこその
一方通行の思いは色々と押し込めている自分にとって久々の
こうあったかくなるようなむずがゆいようなものなのだ
一番純粋な愛は、片思いだ
そして一番楽しい愛も片思いだと
どこかロマンチストの髭のはえた人物の言葉を思い出して
知らず知らずにはふ、と笑った
こんな言葉を思い出すほどの今の自分の乙女どにそうだった自分は女だったんだと
当たり前な事を思い出しながら
しかし
はその後、その感情が楽しめないほど厄介なものへと発展するとは知らず、
カランと朱に塗られた下駄を鳴らした
そして、がやがやと騒がしい人ごみのなか
一層騒がしい音
どう考えても喧嘩
阿鼻叫喚な現場に遭遇した
はなぜこんな日ですら
彼は、いいえ彼らは戦っているんだろうと
そこまで戦うことが好きなんだろうか
私は、平凡でできればなんにもないそして委員会もない日が好きだ
中心部分では、
パンツ一丁で戦う顔が変わるほどの形相で、
普段の穏やかさにこういう激しさも秘めていたんだと再認識
口にタバコを加えながらどうみても筒状のものがダイナマイトみえる
もしかしてこのごろの地響きは彼が原因か、
だとしたら始末書をつきつけてやりたい
あとどうみても銃刀法違反していてそれなのに笑っている彼は
もしかしなくても私の友人ではないだろうか
なぜだろう彼なら刀を持っていていても笑ってすまされそうなきがする
そして
黒い学ランをなびかせてキラリとひかる銀色のものをふりまわして
赤いものを撒き散らしてる
目は獰猛そのもの
こんな姿に少し胸がうるさくなったのは私ぐらいだろう
そしてその後ろで寄り添うように
着物ははだけすらりとのびた綺麗な足が見える
今その華奢な体や可愛らしい顔からは想像できない
威力の足技で男が沈んだ
その姿は可憐な華だ
二人の姿はまるで一枚の絵でとても似合っていた
そりゃそうだ
二人は恋人同士・互いを愛し合っている
私が望んだ結果の答え
なのに少しだけ胸が痛い
自分がそこにいないから?
自分がそうしたのに?
言いようのない不安感でもそれでいいそれがいい
恋が出来たことが奇跡みたいだから
その思いがとても大切な宝物で
キラキラして綺麗だからそれでいいんだ
それ以上はない
私はあらかたかたづいたその中心へと歩く
なにかを踏んだ
ああ、肉の感触がきもちわるい
戦いが終わっても何かを言い争っている
彼らの姿はとても大切な宝物
私がいなくても彼らはまわって生きていく
それが最大の幸福
は笑顔で歩み寄っていく
最初にその姿に気づいたのは
「よう、」
「武くん。よくわからないけどお疲れ様」
「はは、からもいってくんねぇ?こいつ俺らの金巻あげようとしてんだよ」
こいつといわれてみれば雲雀をさしている
山本の大物加減と雲雀の常識外さをなれている自分をあきれながら
「・・・雲雀先輩」
「それは僕がとったんだから僕のでしょ」
「そうだよ。私たちのものだよ」
「苦労して働いたんですから、労働にはそれ相応の見返りがあるんですよ
彼らに返してくださいというかもうそろそろ終わるので、帰りましょう」
「えーちゃん頭かたい」
らちがあかない思ったはぎゃんぎゃんと叫ぶ玲奈を無視し背をむけて
草壁のほうへ向かった
は雲雀の言葉がくる前に逃げることにしたのだ
一応友人のことも草壁のこともいったしこれ以上要件はない
カラン コロン
なにかが落ちていく感じがする
いろんなものが落ちていく気がした
ああ、なんてわずらわしい
けどどうせこの思いは一時のものだから
2008・9・1